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筋肉モリモリに憧れた48歳会社員 躍進を遂げたダークホースが世界の舞台で銅メダルを手にした軌跡

12月17〜19日の3日間、東京の有明コロシアムで開催された『IFBB世界フィットネス選手権&男子ワールドカップ』。最終日となる19日に行われたボディフィットネスでは多くの日本人選手が活躍した。なかでも2023年から2024年で飛躍を遂げた大久保裕美(おおくぼ・ひろみ/48)選手は今大会でもマスターズ3位、158cm以下級4位の成績を収めた。

【写真】モリモリの筋肉を持つ大久保裕美選手

「ボディフィットネス全体で見ても好成績ですごい」と大久保選手自身も話し、2023年度に出場した『アーノルドクラシック・ヨーロッパ』と比べて、日本人選手が多かったことで「各カテゴリーがバラエティーに富んで楽しかった」と言う。

また、大会前日の16日には競技を通じて知り合った人々が大会ボランティアをしており、思いがけぬ再会で気持ちが奮い立ったそうだ。日本開催ならではのモチベーションアップとなり「海外で戦うのとはやはり気持ちが違いますね」と大久保選手。大会の結果もさることながら、それ以外でも得たものは大きかったそうだ。

「19日には男子ボディビルやウーマンズウェルネスのカテゴリーも行われ、普段見ることがないカテゴリーの身体を間近で見ることができたのも面白かったですし、鈴木雅さん(元世界チャンピオン)にオイルアップしていただいたことも世界選手権ならではの交流だと思います。男子選手とも直接お話しましたし、大会期間中同室だった女子フィジークの阪森香理さんからは競技に向かう姿勢を学ばせていただきました」

普段は金融業界でフルタイム会社員として働いており、トレーニングはダイエット目的で開始。コンテスト出場に全く興味がなかったものの筋肉モリモリの身体に憧れていたそうで、通っているジムのトレーナーから「出なよ」と背中を押された。2022年5月から選手育成で定評のある『フルブローン』で指導を受け、2022年10月の北区オープンボディビル・フィットネス大会でコンテストデビュー。これはJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)の選手登録をしなくても参加できる大会で、初出場にして優勝を果たす。

選手登録をした2023年は、9月のオールジャパンの身長別で3位、年齢別で優勝というダークホースっぷりを発揮。10月のアーノルドクラシックの身長別で2位、年齢別で4位という結果を受けて大久保選手は「最初は自信がありませんでしたが、日本人でも評価されるんだ!と感じました」と話す。

さらに2024年のシーズンに向けて大久保選手は背中とハムストリング・お尻を中心に、全体的なバルクアップを試みた。結果、9月のオールジャパンのマスターズで優勝、一般の部で3位を獲得し「全身まんべんなく筋量がアップした」と評価をもらったという。また、無差別級の戦いとなる10月のグランドチャンピオンシップス(以下グラチャン)では2位となり、2023年の6位から大躍進。

「2024年の目標が12月に開催される世界選手権への出場だったので、出場資格を頂けて安心しました。また、正式に日本代表に選んでいただけてうれしかったです。ただ、グラチャンから世界選手権までの2カ月半は正直、精神的にキツかったですね。モチベーションを保つのに苦戦しました」

そう話す大久保選手は、最後の舞台に向けて1回増量を挟んでから減量を開始。しかし「夏に減量するのと冬に減量するのでは感覚が違った」と言い、カーボの量を調整し最後の身体づくりを行って迎えた大会当日。「世界選手権でメダル獲得」という自身の目標を達成したものの、大久保選手の向上心は止まらない。

「メダルは頂けましたが、もう少し頑張れたよな……と思ったのも事実。2025年は背面の筋量を増やし、さらにステージングも学んでいきたいです。性格上、女性らしい振る舞いが苦手なので(笑)。しなやかさを改善し、去年よりインプルーブした姿になりたいですね」

大久保裕美選手

JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。

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取材・文:小笠拡子 撮影:中原義史

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