12月17〜19日の3日間、東京の有明コロシアムで開催された『IFBB世界フィットネス選手権&男子ワールドカップ』。さまざまなカテゴリーとクラスがあり、ダブルやトリプルでエントリーしている選手も少なくない。
2023年10月に行われた『アーノルドクラシックヨーロッパ』(以下、アーノルド)で3位の成績に輝いた川口知子(かわぐち・ともこ/40)選手にとって、今大会は自身2度目の国際大会となる。川口選手はフィットモデルとビキニフィットネス、それぞれ年齢別と身長別を合わせて4つのクラスに挑戦。
特にフィットモデルでは年齢別・身長別ともに2位の座に輝き、2つの大きな銀メダルを手にした川口選手は「海外の審査員の方々にも評価していただけるんだ、とすごく自信につながりました」と声を弾ませた。
アーノルドから今大会まで、最後の方はオフの日をしっかり取り入れていたという川口選手。「今シーズン、減量が進まないときにオフを入れたらストンと落ちた」という経験から週に2, 3日は休みを入れるようにして最後の大会に臨んだ。
さらに今回挑戦したのはドレスの色。これまでの川口選手といえば赤やピンクなど、キュートな色味のドレスを着ていることが多かったが、今大会ではグリーンのドレスに身を包んでいた。その理由を伺ってみると、10月のアーノルドにあったと言う。
「アーノルドでも年齢別のクラスに出場しましたが、全然見てもらえずサードコール(※)だったんです。そのときはピンクのドレスを着用していて、私が着ると少し子どもっぽく見えてしまったのでは、と思って。今回は大人っぽさを見せるためにあえて緑を選びました」
※上位と思われる選手からファーストコール、セカンドコール……と呼ばれていく
自身の競技生活の中で初めて選んだ色だったが、狙いは的中。さらに当日合わせていたピアスは、世界女王・安井友梨選手から借りたものだったという。大会当日まで悩んでいたそうで、持参していた3種類のピアスを手にして安井選手に相談。すると「こちらはどうですか?」と安井選手が持っていたピアスを手に提案してくれた。
「私のドレスの胸元にあしらったオーロラのストーンと、安井選手の長めのオーロラピアスがすごくマッチして。恐れ多かったんですが、胸をお借りするような気持ちで使わせていただきました。今回のメダルは安井選手のおかげでもあります」
川口選手が今大会でも大切にしていたのは自身の出番だけでなく、さまざまな選手と話す時間。どんなトレーニングをしているのか、どんな気持ちで競技をしているのかなどを聞くことで、自身の刺激や学びにもなるのだそう。川口選手の心に特に刺さったのは、ビキニフィットネスの小竿愛子選手だと話してくれた。
「初めてお話した選手でした。小竿選手は『自分で研究するしかない』と、審査員の資格を取られ、審査員からどういうふうに見えているのかなど非常に勉強熱心で。私は『エクサイズ』の柏木先生に指導いただいているので、分からないことはすぐに聞けるという恵まれた環境にいます。小竿選手とのお話は、自分に足りない部分があると気づかせてくれました」
2024年、川口選手にとっては海外で3大会、国内ではハイレベルな全国大会を3大会出場するという駆け抜けた1年だったことだろう。この長きにわたる大会挑戦の物語は、これから心身ともにさらなる成長の予感をさせてくれた。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材・文:小笠拡子 撮影:中原義史
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