「『さすがビキニ選手』と言われる剣道家を目指し、『さすが剣道家!』と言われるビキニ選手を目指したいです」
昨年、オールジャパンフィットネスチャンピオンシップス45歳以上160cm以下級で3位入賞したビキニフィットネス選手の内藤香(ないとう・かほり/48)選手は剣道錬士でもある。
「剣道錬士とは、指導力や識見、人格などを備えた剣道人としての完成度を示すもので、六段以上の高段者に与えられる資格です。称号には『錬士』『教士』『範士』の3種類があり、範士が最高位の称号になります。現在私は錬士六段ですが、七段を目指して修行中です」
ビキニ競技と剣道の組み合わせ。内藤選手によると、この2つには共通点があるという。
「まったく正反対の競技のようにも思いますが、幼少期から続けている剣道では仲間と切磋琢磨して目標に向かい毎日稽古していました。ビキニ競技でもコツコツとトレーニングを重ねて日々進化を目指す点では同様だなあと感じています」
また、剣道には「心技体」と同様の意味のことばがあるそうだ。
「剣道では『気剣体の一致』と言って、これができていることで有効打突(試合で一本と認められる正しい打ち)が認められます。ビキニでもメンタルの充実、ボディメイク、ポージングと、すべてがバランス良く一致してはじめて評価していただけるものだと思います。剣道で学んだ『気剣体の一致』が、ビキニでも同様に生かせているのではないでしょうか?」
「また、ビキニ競技のためのトレーニングをするようになって、ターゲット部位を意識すること、ポージングの際の重心の乗せ方など考えるようになりました。そのことによって剣道においても、重心やどの筋肉を使うのか?など客観的に考えるようになりました。剣道でも美しい姿勢は重要です」
剣道の稽古と筋トレとの両立について。
「剣道の稽古は週に1回〜2回程度で1時間〜2時間、普段の筋トレはレッスンの合間に週3回、1時間です。それ以外に20年、ずっと同じトレーナーに週1回1時間のパーソナルトレーニングをお願いしています。ビキニ競技のためのトレーニングとしては、弱点である肩とお尻に力を入れてがんばっていますが、基本的には健康第一でメニューを作っていただいています。筋量もメリハリも、もっと進化できるはず!と信じて、今シーズンさらにパワーアップしたいです」
このほか、スポーツ専門学校で講師をしているため、生徒達と一緒にボディメイクについて考えながらトレーニングしているそうだ。
「今年は東京選手権とオールジャパンに向かってトレーニングをしています。年齢を重ねると、今までとは何かと変化もありますが、それも一緒に楽しんで自分の心と身体に向き合えたら良いなと思います。またポージングの精度を上げることにも集中して取り組んでいこうと思っています」
ビキニ競技と剣道。そして内藤さんは現在、フィットネスインストラクター、フィットネストレーナーとして活動している。
「ヨガ、ピラティス、エアロビクス、パーソナルトレーニングなどを指導する中でとにかく健康が一番!元気が一番!をお伝えしつつ、一人でも多くの方に運動することの楽しさに触れていただきたいと思っています。ビキニフィットネスという競技を通して私自身が挑戦し、筋力トレーニングやダイエットについて体験したことや感じたことをお客さまとシェアして、何かしら皆さまのきっかけになっていただけるように頑張っていきたいと思っています。みなさん一緒にトレーニングしましょう!」
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材:あまのともこ 撮影:中島康介 写真提供:内藤香