成果を出すことも大切だが、「同じ成果でも最大限に評価される場を探す」ということはそれ以上に重要かもしれない。それはボディメイク競技の世界においても同様だ。
「お客様の指導をするなかで、様々なボディコンテストの団体があってどの大会に出ればいいのかわからないという声をよく聞きます。まず、その団体・カテゴリーでは何が最も評価されるのか。規定ポーズが自分の骨格に合っているかなどで選ぶようにお伝えしています」
横田なおみ(よこた・なおみ/50)さんは30代のころから競技に打ち込み、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)の2級審査員の資格も持つ歴戦のビキニ選手だ。12月22日(日)、ゴールドジム主催のボディコンテスト『マッスルゲート』において日本一を決める『ゴールドジムジャパンカップ』が行われ、横田さんはビキニフィットネス35歳以上160㎝超級で3位を獲得した。
「長年ビキニをやっていて、ふと漫然と出場し続けているなと気づきました。続けるかやめるかのどちらかにしようと決め、ここ数年はしっかりと『勝ちたい』という思いで大会に挑んでいます」
横田さんはスポーツインストラクターとして勤務するかたわら、週に5日のトレーニングを行う。「空き時間はカフェではなくジムに行く」をモットーに、多忙な合間を惜しんで肉体造形に励んでいる。女性の身体づくりは、男性とは全く異なるのだということを腑に落とすことが肝心だという。
「気温、季節、女性特有の周期など良くも悪くも繊細に反応するのが女性の身体です。私のパートナーはフィジーク選手なのですが、全く同じものを食べていても絞れ方が明らかに違い、男性の方がするすると落ちていきます」
「一方、女性は体重が同じ日で肌感が全く違うなど、めまぐるしく流動するなかでたった1日に合わせて成果を出そうと思うと、パーフェクトの出来というのはなかなか難しいです。だからこそ悔しく面白く、競技はやめられないなと思います」
何十年と続けても何が正解かわからない、正解があるとき突然不正解に変わるなど試行錯誤にはきりがないという。そこを紐解いていくのが楽しいと語った。
「これほど大きな努力をするのだから、それが最大限に評価される場を見つけるのはすごく重要だと私は思います。自分の適性を冷静に見極めていくのも長く競技を楽しめるコツですね」
横田さん自身も常に新しい試みを繰り返している。来年はあえて連戦を組んで、減量期を長くすることで脂肪層をさらに薄く仕上げる試みを取り入れるという。「筋肉が落ちるか、脂肪が落ちるか賭けに近いですが挑戦します」と意気込みを見せた。
学び続ける楽しさ、試行錯誤を繰り返し勝てる道筋を体感していく楽しさ。勝負の世界に身を置き続ける人の成長は、年齢を重ねても止まることはない。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材:にしかわ花 撮影:FITNESS LOVE編集部
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用も行うマルチライター。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。