「もしあのとき、勇気を出してボディコンテストに出ようと決めていなかったら、今の私はいなかったと思います」
そう語るのは、2月28日(土)に大阪府で開催された『マッスルゲート高槻大阪大会』で、ドリームモデル部門に初挑戦したかほりん(41)さん。パーソナルトレーナーとして活動しながら、競技歴4年目を迎えた。これまでFWJのビキニでマスターズクラス2位となった実績を持つが、今回はこれまでの延長線上ではない新たな舞台に踏み出した。

ドリームモデル部門は、筋肉量や華やかさだけではなく、女性らしさや気品、優雅さ、そして表情や立ち居振る舞いまでが問われるカテゴリーである。ビキニ競技とはまた違う魅力が必要とされるだけに、初挑戦となった今回は戸惑いも大きかったという。
「今までやっていたビキニとは全く違っていました。女性らしさや気品、優雅さが、ポージングや身体づくり、表情にまで求められるのでとても難しかったです。でも、普段から女性としての美しさに必要なことが詰まっている感じがして、すごく奥が深くて楽しかったです」
人生に失望していた時期に出合ったコンテスト
かほりんさんがボディコンテストの世界に足を踏み入れたのは、人生に失望していた時期だった。
「子どものころから複雑な家庭環境で育った影響もあって、対人関係も仕事もうまくいかず、うつ病になったことがありました。人生に失望していたときに、パーソナルトレーナーの方がコンテストに出ようとしていて、それを見て私も目指そうと思ったんです」
最初から前向きだったわけではない。人前に出ることも、人と関わることも怖かったというかほりんさん。
「最初はグループレッスンに行くのも怖かったですし、人ともうまく話すことも難しかったです。でも、トレーニングを続けていく中で少しずつ変わっていきました。今ではたくさんの人と交流して接するのが好きになりました」
身体が変わったことはもちろん大きい。だが、それ以上にかほりんさんの中で大きかったのは、積み重ねた経験が自分を信じる力に変わったことだ。
「自信を持つのは簡単なことではないと思います。でも、どんなにしんどいトレーニングも、つらい減量も何度も経験してきたことで、自分自身を信じられるようになりました。それが一番の自信になりました。そして自信を持てるようになると、自分を好きになれました。結果として人生が楽しくなったんです。あのとき、人生に失望していた私が勇気を出してコンテストに出ようと決めてくれたことに、お礼を言いたいです」
現在はドリームモデルと並行して、ビキニ競技にも取り組んでいる。そのため、女性らしいしなやかさだけでなく、ビキニに必要な筋肉量も落とせない。トレーニングは週5回、部位別に分けて行っている。
「筋肉量も必要なので、週5回で部位別にローテーションしながらトレーニングしています。特に私は肩の筋肉が付きにくいので、肩は念入りにやっています。あとはお尻も、背中も……あ、全身ですね(笑)」
食事もまた、日常から徹底している。減量期だけ特別なことをするのではなく、普段から身体を整える食習慣がベースにある。
「私は普段からお菓子やジャンキーな食事をほとんど口にしません。ラーメンやコンビニ食、ファストフードを食べる習慣もないんです。もし食べるなら、それはもう大イベントですね。減量中も、食事の軸は大きく変わらないですね。魚、牛肉、鶏肉、玄米、野菜、汁物をバランスよく食べています。減量中はそこから量を調節する感じです」
今回初挑戦したドリームモデルについても、その魅力に強く引かれているようだ。
「このカテゴリーは本当に奥が深いです。まだまだですが、ドリームモデルというカテゴリーももっと追求していきたいと思いました」
人生に失望していた時期を越え、自分を信じられるようになった先に、新たな挑戦がある。かほりんさんが最後にくれた言葉は、フィットネスの世界に興味を持ちながらも、一歩を踏み出せずにいる人の背中を押すものだった。
「もしフィットネスの世界に挑戦するか悩んでいる人がいたら、勇気を出して一歩踏み出してほしいです。その一歩が、人生を変える一歩になるはずです」
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材・文:柳瀬康宏 写真撮影:岡暁
『月刊ボディビルディング』『IRONMAN』FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格は、NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット、リフォーマー。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動もしており、2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに毎年挑戦している。










