加齢とともに崩れゆく体型。鏡に映るゆるんだお腹や、着られなくなった服に落胆しつつ、「自然の摂理だから」と諦めるのはまだ早い。40代、運動歴なし、筋量が少なく体脂肪が多い“隠れ肥満”に悩まされていた女性が、人生初のジム通いから1年10カ月で大変身を遂げた軌跡を紹介したい。
「40代になってから、体型がどんどん崩れていくのを感じました。自己流のダイエットでは体重が全く変わらず、リバウンドの繰り返し。もう限界でした」
そう語るのは、看護師・なおさん(46)。標準体重の範囲内にも関わらず、身体のあちこちには弛みが。糖質制限や極端な食事制限など様々なダイエットを見よう見まねで取り入れるも、ことごとく失敗していた。また、疲れやストレスの捌け口は帰宅してからの「食べる」しかなく、このままでは絶対に変わらないとジム通いを決意した。
運命を変えたジムとの出会い
なおさんの人生が大きく動き出したのは、ゴールドジム札幌大通を訪れた日だった。それまで3カ所のジムを見学したが、どれもしっくりこなかった。マシンに貼ってあるQRコードでトレーニング動画を見て覚えるジムは難しそうで、他は年齢層が「高すぎるor低すぎる」とあまり馴染めなかった。
「諦めかけていたとき、ゴールドジムで出会った女性トレーナーに衝撃を受けました。あまりにもきれいで、こんな風になりたいと一目惚れ。しかも私より年上で、私と同じくらいの年齢から筋トレを始めて人生が変わった経験をしていると知って、勇気が湧きました」
自身に適した食事管理法やトレーニングを学び、ダイエットからボディメイクへと知識をアップデートして取り組み始めた。そこから1年半でなおさんは劇的な変化を遂げる。
「とりあえずジムに行く」が継続の鍵
なおさんにボディメイクを挫折せず続けられたコツを聞くと、「とりあえずジムに行く。それだけです。行けばやるからです」とシンプルな答え。
「私の場合はジム選びを妥協せず、あんな風になりたいと思える方や丁寧な指導がある環境を選んだことも後押ししてくれたと思います。パーソナルトレーナーとしてついていただいている方も女性選手を多く育てたプロフェッショナルで、最初からこの方に教えてもらえたのは奇跡だったなと思います」
ジムで毎日のように見かける美しい女性選手たちにも大いに刺激を受けた。自分もいつかああなりたいと自然とジムに足が向いたという。トレーニングは週に5日、1回1時間ほど。ストレス解消法は「食べる」から「動く」になった。
「仕事後の筋トレはとてもいい気分転換になりました。仕事で疲れてジムに行くのは大変かと思ったけど、むしろスッキリ元気になれます。休日は朝イチで通うのがルーティンになりました」
体重差はたったの1kg、しかし体脂肪率10%ダウンで別人シルエットに
なおさんのビフォーとアフターの体重は、実はわずか1kgしか減っていない。変わったのは体組成の比率だ。筋肉は脂肪と比較して小さく重いため、筋肉量が多ければ同じ体重でも引き締まったスタイルとなる。なおさんの例がまさにそうだ。筋肉が増え、体脂肪が減少した結果、シルエットがシャープに激変した。
「筋トレが生きるように、食事も高タンパク・低脂質に変えました。私は鶏むね肉や豚もも肉、牛もも肉を低温調理で放ったらかしにしつつ、家事をこなす工夫が効きました。また、たんぱく質はお金がかかるので、夫とのドライブがてら漁港に魚を買いに行って自分で捌き食費を抑えたりもしました」
運動と自己管理を続けて1年半、体脂肪率は10%近くの減少を見せていた。全身もったりと覆っていた脂肪は姿を消し、鍛えた筋肉が姿を現した。なおさんはその勢いで大会にもチャレンジ。スポーツウェアでボディバランスを競うレギンス部門に3回の出場を果たした。
※体脂肪率の変化は市販の体組成計によるものです。
「筋トレを始めてメンタルが強くなったと思います。自己肯定感が上がって、挑戦する気持ちが湧いてくるようになりました」
なおさんは今、新たな目標に向けて動いている。それはビキニフィットネスデビューだ。初戦となる4月12日のマッスルゲート栃木大会に向けて最後の絞り込みに励んでいる。
「私もいつか、私の人生を変えてくれたトレーナーさんのように誰かに夢を与えられる存在になりたいです」
諦めを過去にして、未来の夢に向けてなおさんは真っすぐ歩んでいる。今日、あなたがジムに行く。その一歩が、同じく夢につながる一歩になるかもしれない。
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取材:にしかわ花 写真提供:なお
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。