東京都立大学・理学療法学科の神尾先生と大殿筋と尿もれの関係性について共同研究を続けている「SPICE UP FITNESS」。その代表を務める岡部友さんに、その活動の最新状況を聞いた。Part1では尿もれとトレーニングとの意外な関係について。
[初出:Woman'sSHAPE vol.28]
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女性に多い尿もれとトレーニングとの関係とは?
岡部 女性は男性よりも尿道が短く妊娠出産があるなど、骨盤底筋群が機能不全になる=尿もれになる要因が多いんです。トレーニングをして筋肉がつくことで尿もれは改善しそうな気がしますが、そう簡単な話ではなく、トレーニングだけで治るものではありません。むしろトレーニングが尿もれを助長させてしまうこともあります。
──SPICE UP FITNESSでは、2022年から東京都立大学・理学療法学科の神尾先生と大殿筋と尿もれの関係性について共同研究をされていますよね。
岡部 はい。2年前から行っている尿もれ改善の研究ですが、被験者のなかには、コンテストに出ていて週5~6回トレーニングをしていても「スクワットのたびに下着を変えに行くことがある……」という人がいました。神尾先生の研究で「トレーニングによって膀胱を押し下げる身体の使い方は、尿もれを助長するのではないか」と問題視されているのです。
──SPICE UP FITNESSはお尻に特化したトレーニングが有名ですが、尻トレは尿もれにどんな影響を与えているのでしょうか。
岡部 お尻のトレーニングをやるうちに尿もれがなくなった、減ったというお客様が複数いたことがきっかけで、神尾先生との研究は始まりました。でも最初にお話ししたように「この動きでよくなる!」といった神的トレーニングは存在しませんから、人それぞれに合ったエクササイズを組むことが大事です。
──ヨガやピラティスでも骨盤底筋へのアプローチは多いですが、あれもあまり効いていないということでしょうか。
岡部 それについては効果がないという研究論文も多くあります。尿もれ予防のカギをにぎる「骨盤底筋」の運動は1950年にキーガル体操というものが提唱されて、そこから研究が進みました。わかってきたのは「骨盤底筋は単独の運動より周りの筋肉と連動して動く」ということ。ですから今は呼吸筋や内転筋、大殿筋との連動エクササイズが見直されています。そして鍛えるだけでなく、周りの筋肉・筋膜がちょうどいい緊張状態を保てているかも大切になってきます。過度に緊張しすぎていても緩んでいてもだめなんです。ほぐしやインナーを鍛える地味な動きも必要になってきます。(Part2に続く)
取材・文:宮部史 撮影:Ap,inc.
岡部友(おかべ・とも)
1985年12月6日生まれ、神奈川県出身。株式会社ヴィーナスジャパン代表取締役。分子整合栄養アドバイザー。高校卒業後、アメリカで運動生理学、解剖学を学び、フロリダ大学在学中に、プロアスリートに指導できるスポーツトレーナーが保持する資格NSCA-CSCSを取得。女性専門ジム「SPICE UP FITNESS」を東京、大阪、名古屋の5店舗で運営。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演し大きな反響を呼んだ。
IG:@tomo_fitness
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