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IFBBワールドカップ世界女王の志村陽香がぺっちゃんこだったお尻を克服した秘策&フェムケアの大切さ

2024年12月に開催された『IFBBワールドカップ』フィットモデルマスターズの部で見事世界一に輝いた志村陽香さん。9歳の息子さんの子育てと並行して、女性の身体のお悩みに応えるフェムケアサロンも経営。多忙を極める彼女が、弱点のお尻を武器に進化させた秘密、さらに身体づくりの”本質”についても語っていただきました。

【写真】志村陽香さんのキュッと上がったヒップ

インナーへのアプローチが真の健康や美しさにつながる

志村陽香 IFBBワールドカップ フィットモデル35歳以上級優勝

結婚を機にトレーニング開始
スカウトを受けトレーナーに

━━フィットモデル競技でのマスターズ世界一、おめでとうございます。今日は志村さんのフィットネスライフ史を通して、ボディメイクのヒントなどを伺えればと思います。

志村 ありがとうございます。ぜひ、よろしくお願いします。

━━フィットネス競技で活躍中ですが、本誌読者のなかには雑誌モデル時代の志村さんを知っている方も多いかもしれません。

志村 20代の頃ですね。『nuts』という雑誌の専属モデルを3、4年くらいやっていて。「黒肌お姉ギャルのライフスタイルマガジン」というテーマの雑誌で、当時は私もめっちゃギャルでしたね(笑)。

━━モデル時代もスポーツやフィットネスで身体を動かしていた?

志村 身体のことを考えて、そこまで本格的ではないですがヨガはやっていました。トレーニングを始めたのは結婚してからなので、10数年前になります。専業主婦になり時間ができたことから週3、4回ジムに通い出し、トレーナーさんからベストボディ・ジャパンの存在を教えてもらったことがきっかけで、ビキニ競技に挑戦するようになりました。

━━その後、ご自身もパーソナルトレーナーをされていますね。

志村 それも大会出場がきっかけですね。ステージを見ていた方から新しく立ち上げるジムの女性トレーナーにと声をかけていただいて、トレーナーの勉強をし始めました。ちょうどそのタイミングで妊娠したので、トレーナーとしてのデビューは産後。そこから現在まで約9年間、トレーナーや選手の立場でフィットネスの世界に関わっています。

ガリガリでぺっちゃんこ
弱点のお尻が激変したきっかけ

━━トレーニングを始めた当初から、体型の変化はすぐに感じられたのでしょうか。

志村そうですね。最初はマシンやスタジオレッスン中心でしたが、もともと筋肉がつきやすいタイプだったので、得意だった上半身、特に肩や背中が目に見えて変わっていきました。逆にお尻は弱点で、ふだんからガリガリのぺっちゃんこ。大会に出るために身体を絞ったら、さらに小さくなってしまって。

━━ワールドカップでは丸みも高さも理想的な美尻だっただけに、ぺっちゃんこだったとは意外です。

志村 色々な種目を試して自分に合うものを見つけるなど、試行錯誤を続けました。でも、一番変化を実感したのは鈴木雅さんにパーソナルをお願いしてからですね。

━━全日本9連覇や世界選手権優勝の実績を持つ名ボディビルダーの鈴木さんは、トレーナーとしての指導力でも知られていますね。

志村 2024年12月に東京で世界フィットネス選手権が開催されるのを知り、「ぜひ出たい。出るだけじゃなくて絶対に優勝しよう」と決めて、本番1年前の23年11月から月に一度、指導をお願いすることにしました。その1年間はほぼ、弱点であるお尻に特化した内容でしたね。

━━具体的にはどのようなことを?

志村 これまでと一番変えたところが、トレーニング前のケアです。最初の20分くらいを準備運動やコンディショニング的な動きに費やし、そこからトレーニングに入るようになりました。種目についても、鈴木さんは自重メインでフリーウエイトやワンレッグ種目も多いんですね。自分なりに研究してきたことが鈴木さんの理論でより強化されて、大きく変わったというじです。

━━鈴木さんの理論とは?

志村 すごくシンプルに言うと、使えていない筋肉を使うこととインナーもしっかり使うこと。決して負荷の高いトレーニングではないけれど、しっかりケアすることと、使える身体にすることの2点をいつもおっしゃっていて、実践すると刺激の入り方も全然違うんです。鈴木さんからは会うたびに「姿勢が変わった」と言われるようにもなりました。

━━身体のケアや使い方を変えることで姿勢が変わり、それがトレーニングの質の向上にもつながったと。

志村 もともと私は反り腰で、骨盤前傾だったんです。そこが改善されてスクワットなどのフォームも変わったことで、より狙ったところに入りやすくなりました。「ちりつも」ではないですが、そうしたわずかな変化の積み重ねで使える身体になり、絞っても丸みやサイズがしっかり残るお尻に変わっていったのだと思います。

「幸せ」と思わずつぶやく
唯一自分でいられるジム時間

━━約3年ぶりに大会復帰を果たし、見事世界一となりました。ご自身のサロン経営や子育てなど多忙な日々のなか、トレーニング時間をどのように確保したのでしょうか。

志村 サロンに行く前の朝か、仕事が早く終わったら夕方にジムへ行っています。また、息子が週に一度、パパの家へ行くので、息子が夜にいない日は長めにジムでトレーニングします。だから上半身は1、2週に1度、肩と背中は分けずに40分程度ですね。上半身はビキニ競技時代に培った筋量の土台があるので、大きくするというより筋肉を動かすレベルで刺激を入れています。

━━トレーニングを効率的に行う工夫やコツがあれば教えてください。

志村 インターバルをそんなに空けないことと、丁寧なフォームを意識することでしょうか。対象部位に負荷がきちんと乗っていることを確かめながら1レップずつゆっくり目にやっていくと、3セットくらいずつでもしっかり効かせられます。あとは楽しんでやることかな。私、トレーニングの日が楽しみでしかたないんですよ。

━━早く成果を出そうと頑張りすぎて、トレーニングが苦行に思えてしまうこともあります……。

志村 私は苦しいな、嫌だなと思ったことはないかもしれません。シングルマザーでもあるし日々忙しいので、ジム時間が唯一、ベクトルを自分だけに向けられる時間なんです。私にとってはご褒美みたいなものなので、終わったらスッキリするし、やっている途中も「幸せ、幸せ」と心でつぶやいてしまいます(笑)。

人生経験で培った精神力がタフな大会の日々に生きた

━━今シーズンも引き続きコンテストに挑戦するのですか。

志村 今年についてはまだ考えていませんが、フィットモデルの選手のなかに混じると、やっぱり筋量がちょっと多いと感じたので、出るならビキニなのかなと。ただ、去年は時間がないなかでエネルギーを目一杯そそいだこともあり、終わったとき満足している自分もいたんです。あれだけのエネルギーをまた使えるのかなと迷う自分もいますね。

━━それだけ、世界一に向けてやり切ったのですね。

志村 やり切りましたね。昨シーズンは8月の東京選手権、9月のオールジャパン、そして12月のワールドカップと3大会で1位を取れて目標はクリアできたので、自分を褒めてあげたいなって素直に思いました。

━━お話を伺っていると、人生を通じて目標に向かって全力で努力するタイプなのかなと感じます。聞いているこちらまで勇気が湧くような。

志村 たしかに、決めたらやり切るし、こうと決めたらブレない(笑)。すごく集中するタイプかもしれません。正直、以前は自分から進んで何かをやろうという人間ではなかったんですが、離婚してからすごく変わった気がします。頼る人がいないなら自分でやるしかないし、子どももいるので自立せざるを得ない。だから強くなりましたね。女としても母としても、人としても。

━━ステージングからも華やかさと共にセルフスタンディングの強さを感じましたが、もともとは率先して行動する性格ではなかった?

志村 全然なかったです。だから自分のなかにいるもう一人の自分が出てきたような気がしていて。今やっているフェムケアサロンがまさにそうですね。経営なんて一度も関わったことがないのに、いきなり経営者になりましたから。逆境や辛いことを乗り越える過程で精神力が育って、今回のワールドカップでもそのマインドが生きたかもしません。

見えない内側の大切さ
伝えていくことが私の使命

━━志村さんが施術もされるというフェムケアサロンについても、ぜひ知りたいです。

志村 サロンを開くきっかけは4年ほど前、最後のビキニの大会で生理が止まるという経験を初めてしたことです。心配で病院に行ったら「女性ホルモンがゼロ。投薬治療しましょう」と。でも、お薬は飲みたくなかったので、とりあえず節制していた食事を普通に戻しました。ちょうどその頃「フェムケア」という言葉を知ったんですね。

━━女性特有の不調や悩みに関する対処やサポートのことですね。

志村 調べていくうちにデリケートゾーンのケアのことを知り、試しに専用のソープで洗ったりオイルで保湿ケアをしてみたんですね。そうしたら、お薬に頼らなくても生理が戻ったので、体験としてもすごく大切なケアなんだなと実感しました。

━━フィットネス競技者に限らず、生理不順や無月経などのお悩みを持つ女性は多いですよね。

志村 そう、だからこそ生理の大切さを伝えたいなって。自分はフィットネスにも関わって出産経験もあるので、女性のお悩みを解決することや、健康と美容とフェムケアの大切さを伝えていくことが使命かもしれないと。その頃に離婚したことも、いい意味で背中を押してくれて、「経営の経験はないけど、これを仕事にしてみよう」と決めて、3年前にフェムケアサロンを始めました。

━━今では予約が取れないサロンとも。それだけ女性特有の症状に悩む方が多いのでしょうね。

志村 生理痛、不妊、冷え、更年期とお悩みは様々です。膣の硬さは血流の悪さとイコールなので、膣の凝りがほぐれると血流が改善して冷えやむくみも取れますし、子宮がほぐれると癒し効果、多幸感が生まれます。骨盤底筋も締まるのでお尻も上がりやすくなるなど、トレーニングの質も上がるんですよ。

━━ここ数年、フェムケアという言葉が浸透してきていますが、心身両面で様々な効果があるのですね。

志村 生理痛や月経困難症に処方されるお薬にも、子宮に対してリスクが高いと言われるものもあります。身体も病気も、ふだん口にしているもので作られる。言ってみれば私たちの外側って、見えないところで作られているんですよね。

━━見えないところで外側の自分が作られる……ドキッとする言葉です。

志村 フィットネスを頑張っている女性の皆さんには、ぜひ「内側の見直し」をしてほしいと思っていて。筋トレはアウターですが、インナーを大事にすることが実は外側を作る近道。インナーが整っていれば外側に表れやすくなります。内側って、植物でいえば「根」なんです。根がしっかりしていると、樹木も花も逞しく、美しく育ちますよね。

━━ひと口に「インナー」といっても、考えたら色々ありますよね。

志村 インナーマッスルにアプローチするのも内側の見直しのひとつですし、心も臓器も血液も見えない内側から、私たちの外見を形づくっている。食べ物なんて一番分かりやすい内側からのアプローチですよね。筋トレを頑張って鶏胸肉とプロテインだけでOKというのは外側だけのアプローチで、「根」の部分、本質の部分とつながっていない。膣ケアにも言えますが、内側こそ大事にする、内側の力を信じるということが、私たちの真の健康や美しさにつながっていくことを、これからも広く伝えていきたいと思っているんです。

ぺちゃんこから美尻へ
世界一のお尻に変えた尻トレ3選
withコンディショニング

Conditioning
腸腰筋のストレッチ

片膝をつき両手を天井に向けて伸ばしたら、膝をついたほうの股関節から前腿を気持ちよく伸ばす。

Training.1
ワンレッグスクワット

自重または両手に錘を持ち、ベンチに座った姿勢から片足で立つ。カカトでしっかり地面を踏み、体幹のインナーを使ってお尻から立ち上がるイメージで。

正しいフォームで行えるように最初は自重で行い、体幹がブレなくなったら重さを持ってトライ。

Training.2
ケーブルサイドキック


お尻のサイドの丸みを作るトレーニング。立位で両脚を軽くクロスさせ、軸足をしっかり立てたままもう片方をサイドに上げる。続いてお尻の力でゆっくり元の位置に戻す。

 

Training.3
ブルガリアンスクワット


ベンチから1歩半くらいの位置に軸足で立ち、もう片方をベンチに軽く乗せる。軸足の足裏をしっかり床につけ、お尻を斜め後ろに引きながら体軸は真下に下ろすイメージでスクワット。

❌軸足が前に出過ぎると反り腰になり腰に刺激が入ってしまうのでNG。

しむら・はるか
1986年9月24日生まれ。20代の頃、雑誌『nuts』の専属モデルを務める。ビキニ競技出場から約3年後の2024年にJBBFフィットモデルで競技復帰。8月の東京選手権163cm以下級、オールジャパンフィットモデルチャンピオンシップス163cm以下級優勝。IFBBワールドカップフィットモデル35歳以上級優勝。美膣ケアサロンNOL(ノエル)のオーナー。

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取材・文:藤村幸代 撮影:Ap,inc.、中原義史(大会写真)、志村陽香(写真提供) ヘアメイク:松田美穂 Web構成:中村聡美

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