コンディショニング ピラティス トレーニング器具

身体の不調を改善!初めてのマシンピラティス体験レポート(前編) ―読者モデルが実感したパーソナルセッションの魅力―

「体の左右差が気になる」「姿勢を整えたい」そんな悩みを抱える方に注目のピラティス。株式会社Aulii代表でDKPilatesマスタートレーナーの辻茜さんに、マシンピラティスのパーソナルセッションの一部をご紹介いただきました。
カウンセリングを受けるのは、ヨガインストラクターで本誌読者モデルの大槻直奈(なな)さんです。
体の不調、お悩み改善のプロセスを前編・後編に分けて詳しくご紹介します。【最新号『Yoga&Fitness』vol.13より】

 

悩みは「左右差」や「姿勢の歪み」!セッション前のカウンセリングが重要

体験者:ヨガインストラクターで本誌読者モデルの大槻直奈(なな)さん

「側弯症や側弯気味の方からご相談を受けたとき、最初にチェックするのがこの姿勢での身体の状態です」と辻先生。両手を伸ばしてクロスし、そのまま背中を丸めるように前屈する。

辻:直奈(なな)さんは、背骨が左右どちらかに曲がっている側弯(そくわん)がお悩みだそうですね。

なな:歩き方がおかしいと以前から言われていて、写真を撮ってみると「これが私?」と驚くくらい右脚だけ内側に入っていたんです。ヨガでも、シルシャーサナ(頭立ちのポーズ)で身体をまっすぐ伸ばしているつもりが、骨盤と脚が曲がっているような姿勢になってしまって。

辻:ちょっと動作確認をしてみましょう。両手をクロスして、背中を丸めながら前屈してください。(上の写真)
背中の左側のほうが高いですね。先ほども少しお話を伺ったのですが、おそらくななさんの場合は先天性ではなく、「機能性側弯」といって、身体の使い方などにより大人になってから側弯症になったのだと思います。

なな:生活習慣やスポーツなどで、だんだんと左右差ができた?

辻:その可能性が高そうです。右脚が大腿骨内旋していますが、もともと関節が柔らかく、股関節全体が自由自在に動いてしまうのでは?

なな:そういえば子どもの頃、過伸展が原因で左上腕を複雑骨折したことがありました。

辻:やはり、ななさんの持っている骨格自体が「ハイパーエクステンション」といって、関節の可動域がもともと広いんですね。身体が硬い人ならこれ以上曲がらないという可動域でも超える素質を持っている。

なな:でも、ヨガを始める数年前までは、なぜか前屈で手が床につかなかったんです。だから、自分ではそれほど身体が柔らかいという実感はなかったですね。

辻:筋肉は柔軟運動をしないと柔らかくならないので、ハイパーエクステンションでも筋肉が硬いままの方もいます。でも、靭帯や関節の可動域は素質として柔らかいので、関節がいつもゆるんでいるような感覚がある人は多いですね。

なな:スポーツ歴でいうと、中学時代は卓球部でした。それも身体の左右差と何か関係がありますか。

辻:ワンハンドのスポーツは身体のゆがみが付き物ですから、多少はあると思います。もともと過伸展のところに、ワンハンドのスポーツで過度に身体を踏ん張ったりしているうちに、靭帯などが一定方向にずれる癖がついてしまった。それが現在の左右差のベースになっている可能性もあります。たしかに、肋骨や骨盤も右方向に回旋気味ですね。

なな:ヨガでも右の側屈がやりづらいです。ただ、これでもヨガを始めてからだいぶ改善できてはいるんですよね。

:前側を見ると鎖骨は平行なので、ヨガの成果も十分出ていますね。ただ、右の股関節が内旋しているので、左の股関節に体重を乗せづらいようです。まっすぐ立てなくて右側に傾くと、上半身がバランスを取ろうと左に傾いてしまう。

なな:その姿勢が癖になって側弯を作ってしまうんですね。

辻:身体はつねに斜めのラインでジグザグに使われているので、左右差の解消には上半身の背骨まわりと下半身の股関節まわり双方のアプローチが必要です。まずは股関節から動かし方を学んでいきましょう。

ななさんのチェックの結果は?

「 背中を丸めたとき、右側が下がっていますし、右大腿骨の内旋が見られます。また、立位を見ると肋骨や骨盤も右に回旋気味なので、今回は右股関節に寄りがちな重心をセンターに戻す練習を中心にワークをしていくことにしましょう」(辻先生)

 

左右差改善に向けた 体幹〜下半身へのアプローチ

まずはピラティスの代表的なマシンである「リフォーマー」を使い、両膝にボールを挟んでのフットワーク。つま先をフットバーに乗せて両膝を曲げ伸ばしするシンプルなワークだが、脚を動かすのではなく、骨盤全体を左右均等にマットに押し付けながら動くイメージを持つことで、左右の股関節を均等に使う感覚をつかむ。

続いてもリフォーマーでのフットワーク。今度は両手でピラティスサークルを掲げ、片足を上げて膝の曲げ伸ばしを行う。ななさん の場合、いつも右股関節に体重を乗せ気味なので、ここでは左のお尻、そして右の肋骨をマットに押し付けながら、可動式のマッ トを身体の背面でしっかり押して、戻す。このワークで左の股関節に体重を乗せる感覚をつかむ。

ピラティスのマシン「チェア」を使ったワーク。右手を挙げた立位の姿勢を取り、左脚でゆっくりペダルを下げたら、そのままペダルをゆっくり上げていく。左右両方の脚で、骨盤を回旋させないようにまっすぐペダルを上げ下げすることで、腰から太腿の付け根に伸びる腸腰筋を左右均等に動かす練習をする。

左右差改善に向けた 背骨まわりへのアプローチ

チェアを使い、多裂筋など背骨まわりの筋群に柔軟性と強さを持たせる側屈のストレッチ。左の肋骨を自分で押し上げるようにして左手でペダルを押し、自力で元の位置に戻る。ななさんの場合、右の肋骨が潰れ気味なので、戻るときは右肋骨を膨らませるように戻していくことがポイント。左右両方行うことで、縮んでいた腸腰筋と大腿四頭筋も気持ちよく伸び、均等な長さを取り戻すことができる。

チェアの座面にうつ伏せになり、背筋群と腹筋群を使って足部から頭部までが一直線になるように姿勢をキープしたら、手でペダルを押し、戻す。最初は両手で、慣れてきたら片手でペダルを押し戻すが、代償運動で左右どちらかの骨盤が浮かないように意識して行うことで、身体の傾きが改善されていく。

樽を切ったようなカーブが特徴の補助器具「アークバレル」を使う側屈のストレッチ。横座りの姿勢を取り、腰から腰部にかけて背骨のすぐ横に伸びる多裂筋を意識しながら、ゆっくり上体を下ろし、同じく多裂筋を使い上体を上げる。柔軟性だけでなく、背骨まわりの強さもつけ、姿勢をセンターに保つ力を養う。

バレルのカーブを利用した背中まわりと腹筋群のワーク。顎を引き頭を上げた状態から、腹筋群を使いゆっくり自力で頭を下げていく。起き上がるときは胸椎を1つずつバレルから離していくイメージで。繰り返すことで背骨まわりの柔軟性と共に、自分でコントロールする力がつく。

さぁ、1時間のセッションで体はどのように変わったのでしょうか?
結果は後編へ!!>>

取材・文藤村幸代 撮影中原義史

辻茜(つじ・あかね)

株式会社Aulii代表取締役。幼少よりクラシックバレエを始め、松山バレエ学校、同バレエ団を経て、パリに留学。その後渡英。Vienna Festival Balletにてソリストとして活躍中の怪我を機にピラティスに出合う。渡米し、ピラティスをDolly Kelepeczに従事。ネバダ州立大学公認 DK Body Balancing Pilates を取得。2016年乳がん学術学会にて、乳がん術後ケアのためのピラティスについて発表。
医療と連携し、マタニティーピラティスや乳がん術後ケアピラティスも手がけ、女性のためのヘルスケアプログラムを制作、院内の講座を行なっている。整形外科医との医療連携も行い、術前術後のメンテナンスとしてのメディカルピラティスの導入や、アスリートのためのメディカルピラティスも行う。2020年より、国内最大ピラティスイベント「Pilates Festa」を主催。

本記事を掲載している『Yoga & Fitness vol.13』のご購入はamazonが便利です♪

-コンディショニング, ピラティス, トレーニング器具
-, , , , , ,


おすすめトピック



佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手