サプリメントを使って局地的なアプローチを続けることはもちろん大切ですが、もっとそれ以前の基礎部分に目をつけることも大切です。どこか調子が悪いなと感じたとき、たくさん栄養素を摂ってみたり、いろんなコンディショニング法を試してみたりしますが、根本をたどっていくと、意外にも呼吸という要素に問題があるという話をしました。(関連記事『呼吸で細胞を元気に①』)今回は、呼吸力を上げる=赤血球の質を上げる栄養素についてサプリメントマスターの桑原先生に聞きました。
桑原 弘樹(くわばら ひろき)
桑原塾 主宰。スポーツサプリメント『パワープロダクション』の産みの親。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&トレーナー協会)PDA。武藤敬司氏率いるW-1(レッスルワン)コンディショニングコーチ。国内外のトップアスリートに対して独自のコンディショニング指導を行い、各種スポーツ誌への執筆や講演会を実施するなど多方面にわたって活動中。
赤血球の質を高める栄養素
ヘム鉄
まずひとつ目は、ヘム鉄という動物性の鉄です。これは赤血球の中身の材料で、ヘム鉄を摂ることで、赤血球の中身が充実していきます。ヘム鉄はレバーや魚の血合いに多く含まれているのですが、どちらもやや癖がある食材なので、なかなか毎日それを食べている人は少ないと思います。そこは少しハードルが高いので、サプリメントを活用するといいでしょう。
EPA
2つ目は、EPAと呼ばれる不飽和脂肪酸です。これは赤血球の膜の成分を構成しているものです。不飽和脂肪酸の中でも、特に我々にはn-3系不飽和脂肪酸が足りないと言われていて、そのn-3系不飽和脂肪酸の代表はDHAとEPAです。この2つはもとろんどちらも重要なものなのですが、赤血球の膜の成分として利用されるのは、DHAではなく、EPAのほうです。赤血球の膜にはEPAとアラキドン酸という脂質が多く含まれていますが、EPAはよりサラサラとした脂質なので、EPAの比率が高い赤血球は柔軟性に富んでいるということになります。
赤血球は毛細血管の先の方よりも大きいため、毛細血管の先に到達するためには赤血球そのものが形を変形させる必要があります(赤血球変形能)。つまり赤血球の柔軟性が必要ということです。このようにして赤血球は毛細血管のサイズに合わせて自分の形を変形させて、毛細血管の深いところまで到達して酸素を届け、老廃物を回収しているのです。EPAは青魚などに多く含まれる栄養素なので、日頃から青魚を食べる習慣を持つといいでしょう。青魚が苦手という人は、サプリメントを補うことも問題ありません。
キサントフィル
赤血球は酸素を運ぶものなので、非常に活性酸素に触れやすい状態にあり、活性酸素によって膜がどんどん酸化してしまいます。酸化した赤血球は柔軟性を失うことになります。抗酸化(活性酸素を取り除く)の方法にはいくつかありますが、とりわけ赤血球の膜の抗酸化でいえば、カロテノイドの中のキサントフィルが有効だということが分かってきています。カロテノイドとは、植物などの色素の成分ですが、その中でもキサントフィルが強い抗酸化の力を持ちます。赤いパプリカの色素に含まれるキサントフィルには、特に赤血球に対しての抗酸化が認められています。日頃から色の濃い野菜をしっかりと食べるようにしてください。また、キサントフィルのサプリメントもあるので、利用してみるといいでしょう。
赤血球の質を高めて呼吸力を上げる3つの栄養素
①ヘム鉄で赤血球の中身を充実させる
②EPAで赤血球の膜の質を向上させる
③キサントフィルで赤血球の膜を抗酸化
次回、「さらにパフォーマンスを上げるオススメの栄養素」について解説。
文 Woman’sSHAPE編集部
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