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スクワット300kg!最も記録が伸びた方法をトップリフターが伝授!

山本俊樹のボックススクワット(クリックすると拡大します)

――2年前に取材させていただいたとき、偶然その取材日にベスト記録の283㎏に成功されたのを覚えています(アイアンマン2015年6月号掲載)。そこから17㎏伸ばしたということですね。

山本 そうです。あのときもスクワットの記録が伸びていました。「とにかく重たいものを担ぐ」ということをやっていましたね。

――具体的なメニューを教えていただけますか。

山本 フルスクワットは70㎏、120㎏、170㎏でアップセットを行います。そこから220㎏で1、2本やって、メインは240㎏で5本5セット。5本ができない重量ではやらないようにしています。5セットの内容は240㎏で3セット、250㎏で2セットという組み方が多いです。そのときの調子で240㎏1セット、245㎏2セット、250㎏2セットなど変化をつけることもあります。その後に短いインターバルのセットを行います。

――そのあとに⁉

山本 はい、10本3セットを1分インターバルでやります。重量は190㎏、200㎏くらいです。このメユーは週に3回行うんですが、それ以外の日はできるかぎり体を休めます。週に3回、スクワットをやるために練習場にいく、という感覚でした。

――ウエイトリフティングのオフシーズンの合宿中限定のメニューなのですね。

山本 ちなみにハーフのボックススクワットは毎日やっていました。ボックススクワットは“トレーニング”というより、“日課”として行っていました。

――毎日⁉すごく気になるのですが、それで肋骨回りや腰を痛めたりしないのですか?

山本 うーん…、僕自身は感じたことはないですが、さすがに長い期間やると体に負担がかかると思います。僕の場合は毎日行うのはだいたい2、3週間、長くて1カ月です。また毎日やらなくても、週に1回ハーフ、週に2回フルという組み合わせでも効率よく鍛えられます。母校(日体大)のウエイト部の学生にもやらせているのですが、「毎日はできない」と言われます。ハーフは週3回くらいにとどめて、2日はフルというのもいいと思います。重量の組み方の目安は、自分がフルで挙げきりたい重量、それが10本できれば十分だと思います。僕は300㎏を挙げたかったので、300㎏から重量を上げていき、最終的には320㎏くらいでセットを組んでいました。


――山本選手のスクワットのフォームは、横から見ると上体が反っているように見えます。どのような感覚で担いでいるのですか。

山本 息を吸って体幹を固めると同時にお尻を後ろに突き出して背中のアーチを作ります。呼吸と一緒におヘソを中心に体幹全体を固めていくようなイメージです。

――呼吸は?

山本 扱う重量にかかわらず、可能な限り大きく息を吸い込みます。肩甲骨と骨盤回りを固めて、一気に吸います。

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――シューズに関しては?

山本 もちろんウエイトリフティング用のシューズを使いますが、地面をしっかりととらえたいので、カカトは高くて底面はフラットなシューズが使いやすいです。

――「しゃがむ」という動作はどういった意識ですか?

山本 股関節を開いた状態から膝を外に出していく、という感覚です。開いた股関節にお腹を入れています。相撲の「股割り」に近いイメージだと思います。立つときは、脚というより「お尻で押し返す」という意識で行っています。

――あの試合以来、300㎏には挑戦したことはあるのですか?

山本 やっていないです。フロントスクワットばかりやっていました。ウエイトリフティングの補助種目という観点から言えば、バックよりもフロントスクワットのほうが重要なんです。シーズンの4月から11月まではバックスクワットはほとんどやりません。今はウエイトに集中していますが、機会があったらまたパワーリフティングの試合も出たいですね。 

山本俊樹(やまもと・としき)
1991年9月8日生まれ。兵庫県出身。身長171㎝、体重100kg。日本体育大学卒。ALSOK所属。
ウエイトリフティング男子96kg級。全日本選手権大会では3連覇を含む6度の優勝(2012年・2014年・2016年~2018年・2020年)。2017年、2019年はアジア選手権3位に。19年の世界選手権では男子89㎏級でスナッチ160㎏、ジャーク208kgのトータル368kgで5位。ジャークでは1位となった。2016年にはパワーリフティングのジャパンクラシック選手権に出場。


執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。


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