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世界チャンピオン・鈴木雅「失敗はチャレンジの向こう側にある」【POWER WORD ②】

ときに力強く背中を押してくれ、ときに心をほっこりさせてくれる。トレーニングやスポーツで活躍するアスリートの皆さんが発した“POWER WORD”は、きっとあなたの明日への活力になるはず!

文:藤村幸代

ボディビル世界チャンピオンという輝かしい実績はもちろん、今年から読売巨人軍のウエイトトレーニング指導も担当するなど、トレーナーとしても、ますます注目を集める鈴木雅選手(40)。今年2月にも、ボディビル雑誌『IRONMAN(アイアンマン)』に掲載されたインタビュー記事をMLBのサンディエゴ・パドレス所属ダルビッシュ有選手が自身のTwitterで「ぜひ読んでみてください」とお勧めしたことが話題となりました。

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今回のPOWER WORDは、鈴木選手が約3年前に『IRONMAN』で語った言葉です。

2004年、24歳の年に初めてボディビルコンテストに出場した鈴木選手は翌年、早くも東京選手権を制し、2010年から2018年にかけて日本選手権9連覇、2つの世界大会でも頂点に立つなど、つねに右肩上がりで成長し、活躍してきた印象があります。

しかし、「自分を育ててくれた失敗」をテーマにしたこのインタビューで、鈴木選手はいきなり「今でも失敗ばかりしています」と切り出し、これまでの“失敗の歴史”をあげています。

まだ大会に出る前、運動神経、感覚神経が発達していない時期に、トレーニングで扱う重量を落としすぎてしまったのも、そのひとつ。今でいう「効かせるトレーニング」を実践したわけですが、まだ情報があまりない時代だっただけに手探りで行った結果、「一時的に重たいものを扱えなくなってしまいました」。

減量でも苦い経験が。2003年当時、アメリカで流行っていたケトジェニックダイエットをやってみたところ、「筋量をかなり失い、元気のない体になってしまった」。さらに、その数年後、バックプレスの種目に取り組んでいたときには「3日間起き上がれないほど頸椎を痛めてしまいました」。

試行錯誤を繰り返し、鈴木選手はめげなかった。それどころか、「失敗をいつしか成功と考えるようになった」というのです。なぜなら、成功したら「これはうまくいった」で終わるけれど、失敗することで「やらなければよかった」と反省したり、「別の方法でやろう」と新たなアイデアが浮かんだりなど、“次”につながる経験を得られるから。

事実、ダイエットの失敗は自分にとってベストの減量法にたどりつく契機となり、バックプレスの失敗も「原因は肩関節の硬さを考慮しなかったこと」と、自分の身体を見直すための“気づき”を与えてくれたそうです。

「失敗はいろんなところに転がっている。その失敗は何から生まれるのかと言えば、挑戦するか、しないかというところから。失敗はチャレンジの向こう側にあるものです」

世界チャンピオン・鈴木雅選手

それでは、なぜ、チャレンジを続けるのか。鈴木選手の答えはこうです。

「毎年、よりよい方法を求めていきたい。自分をアップデートしていく作業です。そこがボディビルの面白いところでもあります。毎年同じことをやっていたら、同じ結果しか得られません。そこに、どれだけのものを付け加えていけるか。そのためには挑戦するしかありません」

世界一の肉体は、世界中の誰よりも挑戦と失敗を重ねてきた証。その豊かな経験が、巨人軍のトレーニング指導にも、きっと活かされる。


執筆者:藤村幸代
スポーツとカラダづくりを中心にカルチャー、ライフ、教育など多分野で執筆、書籍構成・プロデュースを行っている。神奈川県横須賀市出身、三浦市在住


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佐藤奈々子選手
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