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ボディビル鈴木雅✕パワーリフティング荒川孝行「トレーニング効果を最大限高めるサプリメント活用術」

トレーニングさえ正しくできていれば、筋肉は発達すると思っていないだろうか。ここで今一度、コンディションを維持、回復させ、そして筋合成を促す栄養に考えを巡らせていただきたい。ボディビル、そしてパワーリフティングの日本チャンピオンがどのようにサプリメントを活用しているか、すべてのトレーニーの道標になるだろう。(IRONMAN2014年8月号から引用)

取材・文・撮影:IRONMAN編集部 撮影:中島康介(鈴木雅選手)

「毎回同じコンディションでトレーニングすることを考えて、サプリメントを摂取しています」

サプリメント事始め

鈴木 サプリメントといったらやはり最初はプロテイン。当時大学生だったので、なるべくコスト重視の2㎏入りのプロテインを飲みました。
荒川 私も18歳くらいにプロテインを取り始めました。知識もほとんどなかったのですが初心者だったので、それなりに効果があって。それに一線を超えたみたいな自己満足があったのは覚えています。
鈴木 その後頭打ちになったときにクレアチンを試したんですよ。そのときに体重が増えて、重量が伸びましたね。
荒川 今ではパフォーマンスを急激に上げるより、基本的な状態まで体調を戻すということがサプリメント摂取の目的になっています。基本的なサプリメントは教科書通りで、プロテイン、グルタミン、クレアチン、ビタミン、BCAAがメインです。
鈴木 私も毎回同じコンディションでトレーニングするということを考えて、BCAAやグルタミン、あとはビタミンを取っています。なるべくなら食事で補いたいんですけど、なかなかそうはいかないのでサプリメントで補っています。
荒川 試合前は体調維持に、関節のケアやコンディショニングを重視しますね。イミダペプチドやタウリン。グルタミンなどはもう浴びるように飲んでいます(笑)。

栄養とトレーニング、重視するのは?

荒川 若いころに比べて栄養摂取の重要度は増しました。比率でいうと、20歳のころはトレーニング7、栄養が3という感じでしたけど、今は5対5くらいです。
鈴木 私も半々です。トレーニングの精度は確実に上がりましたが、栄養がないと筋量も増えないし、体も回復しない。それにある程度長時間行うようになって、トレーニング中から筋合成、筋発達していると考えると、トレーニングの最中にアミノペプチドと糖分の組み合わせというのをよく利用しています。もちろん、トレーニングがおろそかになっては食事も台無しになってしまうので、同じくらい重視しています。

コンディショニングこそケアとサプリメントの兼ね合いが重要

鈴木 コンディショニングという意味ではグルタミンやビタミンですね。起床時、トレーニング後、夜の3回グルタミンを取っています。オフの時だと5~10gくらいですが、疲れているときには30gくらい。やっぱり筋肉のハリやだるさが少なくなる感じがするのと、いろんなストレスに対抗するためにいっぱい取ります。回復という意味では睡眠の質を高めることが重要ですから、就寝前にマカやビタミンを多めに摂取しています。
荒川 調子を壊さないためにはアルティメットリカバリーを上限の10粒、グルタミンは寝る前に10g、朝は5gくらい。BCAAは気が付いたら飲むような感じです。
鈴木 関節のケアは食事も重要ですよ。脂質や炭水化物を制限すると筋肉や関節が硬くなるので、ケガのリスクも高くなる。致し方ないでは済まないので、ストレッチと、脂質と炭水化物を制限しすぎずうまく波を付けながら減量しています。
荒川 確かに関節は普段のケアや体の使い方、トレーニング前のストレッチなどが大切ですね。サプリメントはケガの予防というよりも保険です。個人的には、アルティメットフレキシジョイントに含まれるMSMは痛みも2~3日で取れる感覚があります。試合前の3週間前になると高重量を扱うので、痛みが出ても出なくても規定量以上に取ってケアしています。

サプリメントの賢い使い方

鈴木 バルクアップしたいときは白米など普段食べ慣れているものを多めに食べていますね。炭水化物が取れていないとタンパク質の吸収が悪くなってしまうので、しっかり食事で炭水化物を取っています。
荒川 私はすぐ体重が減る体質で、体重減とともに筋肉もすぐに落ちます。ウエイトゲインさまさまですよ(笑)。私は代謝が早いので、プロテインで純粋にタンパク質を取るというよりも、その日の食事内容によって変化はありますが、1日300gのウエイトゲインでプロテイン+糖質を取って体重を増やし、維持しています。20代のはじめのころはそれプラスカロリーを計算して、6000~7000キロカロリー取るまでは寝ないという古典的な方法をやっていましたが、今はオンもオフも5000に決めています。
鈴木 私も痩せやすい体質なので、オフは5000キロカロリー以上、減量中は5000以下になるようにしています。やはり最近は、年齢による食欲不振で食べられなくなってきていて(笑)、量より質でいいものを取ろうと。トレーニング前後はウエイトゲインを最大限に活用したり、食事では消化酵素を飲みながら食事したり、トレーニング中に不用意に水分を取りすぎないように気を付けています。
荒川 食べられなくなりましたよね! 年齢による機能面の変化こそ、サプリメントが役立ってくれます。5000以下だと体重も筋量も落ちてしまうので、ウエイトゲインを活用して死守しています。
鈴木 外食はオフのときは基本気にしないですね。タンパク質だけしっかり取るように心がけていますが。減量中は食べられるものだけ食べて、あとはプロテインを持って行って飲んだりしています。
荒川 私もオフは全く気にしません。後で必要な栄養素は補給できますし。でもプライベートではあまり食事に誘われないので、非常に助かっています(笑)。
鈴木 もし誘われたら?
荒川 行きます! 
鈴木 (笑)。荒川さんとは逆に、時間的にこのサプリメント取らなきゃ、今度はこれを取らなきゃと縛られてしまっている人もいます。サプリメントがストレスになってしまっている人には、アミノ酸系など古くからあるロングセラー的なものをしっかり取ることをアドバイスさせていただいています。
荒川 全く同意見です。サプリメントを取りたいのか、体を変えたいのかよく分からなくなってしまっていますね。トレーニングでも同じだと思うんですが、目的は結果を出すこと。理論に縛られるのではなく、何が必要な栄養素かを考え、足りない部分は補うという基本が大切だと思います。


鈴木 雅(すずき・まさし)
1980年12月4日生まれ。福島県出身。身長167cm、体重80kg ~83kg。株式会社THINKフィットネス勤務。ゴールドジム事業部、トレーニング研究所所長。2004年にボディビルコンテストに初出場。翌2005年、デビュー2年目にして東京選手権大会で優勝。2010年からJBBF日本選手権で優勝を重ね、2018年に9連覇を達成。2016年にはアーノルドクラシック・アマチュア選手権80㎏級、世界選手権80㎏級と2つの世界大会でも優勝を果たした。DMM オンラインサロン“ 鈴木雅塾”は好評を博している。


荒川孝行(あらかわ・たかゆき)
1978年3月15日生まれ。東京都出身。ゴールドジムアドバンストレーナー
パワーリフティング競技歴:25年
主な競技成績:
全日本選手権93kg級 優勝5回(2007、2012~14、2017)
世界選手権93kg級 7位(2017)
自己ベスト(フルギア):スクワット327.5kg、ベンチプレス240kg、デッドリフト315kg、トータル852.5kg

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