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「3カ月で15㎏増量して6カ月で25㎏減量」世界で活躍する若き筋肉彫刻家の壮絶な話

五味原領選手

デビュー6年以内のトップ選手たちが、大会に初めて出場したときのことを振り返る。大会までに準備したほうがいいこと、知っておいたほうがいいことは?さらに、初めて大会に出る人に向けたアドバイスをしてもらった。今回は昨年のジャパンオープン選手権クラシックフィジーク覇者・五味原領選手だ。

取材・文:IM編集部 撮影:中島康介 写真提供:五味原領

「減量幅を大きくし過ぎて精神面にもかなり影響が出てしまった」

私は体操競技でケガをしてしまい、リハビリとして大学のトレーニングセンターに通っていたところ、当時バーベルクラブに在籍していた先輩に勧誘されてボディビルに興味を持ちました。また、勧誘してくれた先輩が学生ボディビル選手権に出場していた姿を見て、自然とステージに立ちたいと思うようになっていきました。
初めて大会に出ると決めてから、3カ月間で約15㎏増量、その後6カ月間かけて約25㎏減量しました。初めての減量だったため体重の下限は作らずに、最大限絞り切ろうと減量に臨みました。10㎏ほどはストレスなく簡単に落ちますが、10〜15㎏を超えてくると途端に減量が難しくなり、何をやっても停滞するようになり、精神面にもかなり影響が出ました。
ポージングは毎日練習していました。初期のポージングを見ると酷いものですが、練習の成果が出て、ステージに上がるころには、ある程度、誤魔化せるくらいの出来となっていました。しかし、今考えるとまだまだ練習が足りていなかったと思います。ステージに立ってみないと分からないことも多いですが、ポージングは考えて練習することができれば誰でも上手になり、順位に直結してくるため、優先度を上げても取り組むべき点だと考えます。
タンニングは4カ月間行いました。コスチューム(ボディビル競技用パンツ)はフィットビートさんで購入しました。普通の黒のビルパンの生地感が好きではなかったためベロアを選びました。
増量時、減量中盤まではほとんどの情報を自分で調べ、ネットの情報や書籍などを読みこんで知識を得ていました。終盤になり停滞してから、バーベルクラブ顧問の岡田(隆)先生や先輩、相澤隼人選手らにいろいろなアドバイスをいただき、なんとか停滞期を越え、大会の準備も間に合わせることができました。
初大会の反省点は、まず減量幅を大きくし過ぎた点です。減量において最も大切な点は精神面だと感じます。心が安定していれば減量は不思議とうまくいきますし、停滞しても精神面をしっかりケアし直すことで停滞期から抜け出すこともできます。ただ、減量幅が15㎏を超えると精神面を正常に保つことが難しくなっていきます。
現在は精神的に異常が出るほどの過度な減量は行わないようにしています。精神面の異常が出てくる兆候として、暇さえあれば大会後に食べる食事のことを考えていたり、携帯の写真フォルダが美味しいもので埋まってきたりすると危険です(笑)。ポージングに関しては、まだまだできたとも思いますが、やっておいて良かったです。
ポージングだけでも大きな差が生まれ、ステージ上で審査に影響します。残念ながら初心者で完璧なポージングができる人はほぼいません。初心者の方が多く出場する大会だった場合、完璧でなくともある程度ポージングを練習してくるだけで大きなアドバンテージになるかと思います。
大会が近づくにつれて疑問がたくさん湧いてきます。まずは、とにかく自分で調べ、分からなければ周りにいる大会経験者に小さなことでも質問し、疑問を早い段階で潰すことがお勧めです。大会までの計画を細かく立て、何かトラブルがあっても落ち着いて対処できるように策を準備しておくことで精神的なストレスを減らせます。
時間もお金も多くかかるため、自分の生活を圧迫せずに大会へ出場することは難しいですが、悪い影響が出ないようにコントロールすることは可能です。精神面をしっかりとケアして、楽しく大会を迎えられるように頑張ってください。


ごみはら・れい
1997年12月26日生まれ(24歳)、身長169.5cm、体重68~70㎏(オン)80㎏(オフ)、トレーナー。トレーニング以外の趣味はラジオ(リトルトゥース)、映画、音楽。
初大会と結果●関東学生ボディビル選手権4位
主な戦績●2021年IFBB世界クラシックフィジーク選手権171㎝以下級4位、ジャパンオープン選手権オーバーオール優勝、東日本選手権オーバーオール優勝、2020年ゴールドジムJAPAN CUPクラシックフィジークオーバーオール優勝、2019年日本ジュニアボディビル選手権優勝、全日本学生ボディビル選手権準優勝

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