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上半身をパワフルな印象にする「首の筋肉の鍛え方」

ボディビルダーが一番軽視しているのは首ではないだろうか。例えば、全身でぶつかり合うようなフルコンタクト競技では積極的に首を鍛える必要がある。それは、首の強化が身体全体のケガ防止に役立つからだ。実際、首が強いアスリートは安全に競技を行えるだけでなく、脳しんとうを回避することができ、結果的には選手生命を延ばすことにもつながる。ボディビルディングはライバルとぶつかり合うような競技ではない。それでも、首の筋肉は上半身にパワフルなイメージを与える要因の一つであることは間違いない。また、首の筋肉が発達していると、僧帽筋から肩への流線型が強調され、これも芸術的なシルエットづくりに役立つ。

文:William Litz 翻訳:ゴンズプロダクション

何年にもわたり、首のトレーニングについては賛否両論があった。首のトレーニングには大きな危険が伴うというのが反対論者の主張だ。確かにレスリングの選手たちはブリッジをよく行うが、バランスを崩したり、角度を少しでも間違えると、致命的なケガにつながったりする。

美しい肉体を作り上げることを目的としているフィジーク系トレーニーが首を鍛える場合、レスラーやフルコンタクト競技のアスリートとはワークアウト内容がやや違ってくる。少なくともブリッジのようなトレーニングはフィジーク系トレーニーには不要であろう。

首を鍛える方法

【4ウェイネックマシン】
例えば、4ウェイネックマシンという首を強化するためのマシンがある。多くのジムに設置されているのはハンマーストレングス社のものだが、首を強化する目的のために作られたマシンは、その他にも数多くのメーカーから発売されてきた。

マシンの名称からも分かるとおり、このマシンは首に負荷をかけながら前方、後方、左右に首を倒す動作が行える。この種目だけ単独で行ってもいいし、僧帽筋の種目と組み合わせて行うのも効果的だ。

【マシンがなくても行える首のトレーニング】
マシンがなくても首のトレーニングは行うことができる。必要なのはベンチ台、そして負荷にするためのプレート、もしくはバンドなどだ。

まず、ベンチ台にあお向けになり、ベンチの端から頭部だけが出るようにする。額の上にタオルを乗せ、その上にプレートを乗せて落ちないように両手で押さえる。頭部をゆっくり下方に下ろしたらトップまで持ち上げる。必ず軽めのプレートを使い、ハイレップで動作を繰り返そう。非常にシンプルな動作だが、効果的に首の筋肉を鍛えることができる。

プレートの代わりにバンドを使うこともできる。ベンチ台の脚でバンドを固定し、輪の部分を額にかける。頭を下ろしたときにバンドに緩みが出ないように、あらかじめバンドの長さを調節しておく。バンドの張力に抗いながら、ゆっくりとした動作で行う。

パートナーがいれば、首の疲労度に合わせてバンドの張力を加減してもらえるので、より安全に行うことができる。

【アイソメトリックホールド】
前述した4ウェイネックマシンを使って、首に最も強い負荷がかかるポジションで動作を停止し、その状態を30~60秒間保持する方法も首の強化に非常に役立つ。

このテクニックは、プレートやバンドを使って行う場合も活用できるのでぜひ試してみよう。

【バンド・サイドローテーション】
バンドの片方をパワーラックや固定された家具などにくくりつけ、もう片方を側頭部にかける。バンドの張力に抵抗しながら首を横に傾け、頭を肩に近づけるようにして側屈させる。反対側も同様にして行う。

【バンド・リトラクション】
バンドの片側をパワーラックや固定された家具などにくくりつけ、もう片方を後頭部にかける。アゴを上げて頭を後方に倒したら、バンドの張力に抵抗しながらゆっくり顔を正面に向ける。

イスやベンチ台に座って行ってもいいし、スタンディング姿勢で行うこともできる。動作を伴うやり方の場合は必ずハイレップで行うようにしたい。後屈させた状態を保持するアイソメトリックホールドで行ってもいい。

【首の種目の注意点】
首の種目で高重量は扱わないこと。運動量については、4方向の動作をそれぞれ1~3セットも行えば十分である。

4ウェイネックマシンのような首専用のマシンがなくても、先に解説したようにバンドや軽いプレート、ベンチ台があれば自宅でも行うことができる。ジムでは首の種目までとても手が回らないという人は、首のワークアウトだけ自宅で行うのもいいだろう。

大切なことは、首の強化を軽視したり疎かにしないことだ。首を強化することは様々なケガの防止になり、さらに首から僧帽筋、肩へと流れるようなシルエットづくりに役立つことを忘れないでほしい。

最後に

カーフ、前腕、首は、上腕二頭筋や胸筋、背中のように発達が目立つ部位ではない。しかし、隙のないバランスの取れた身体を追求しているなら、これらの部位をないがしろにすることはできないはずだ。

これらの部位をワークアウトするのに長い時間は必要ないし、工夫すれば自宅でも行うことができるので、日々のスケジュールに簡単に組み込むことができるはずだ。

目立たない部位でもしっかり強化すること。これらの部位がしっかり発達していれば、結果的にケガの予防にもつながり、トレーニング歴や競技年数を延ばすことにもつながるはずだ。

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執筆者:William Litz
カナダのウィニペグで活動する有資格のパーソナルトレーナー。過去10年以上にわたり、フィットネス系雑誌やオンライン雑誌にトレーニング関連の記事を執筆してきた。ボディビルに精通しており、熱狂的なボディビルファンでもある。


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