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トレーニングキャリア30年ベテランボディビルダー木澤大祐の減量の到達点

日本選手権17大会連続ファイナリストで、昨年は自己最高位の2位に躍進。47歳にしてなおも進化を続ける“ ジュラシック” 木澤大祐選手。トレーニングキャリアは30年以上、長きにわたる経験とトライ&エラーの中から導き出した減量の法則と哲学とは。

取材・文:藤本かずまさ 大会写真:中島康介 トレーニング写真:岡部みつる

――肉体労働に従事していた当時とジムオーナーになられた現在とは生活環境が異なるため一概には比較できないかもしれませんが、日本選手権で4位(08年)から11位(17年)まで順位を下げてもがいていた時期と、上昇気流を掴んだ18年以降とでは減量方法を変化させた部分はあるのでしょうか。
木澤 今振り返ってみると肉体労働時代は、減量がどうこうよりも自分がやっていることに対して明らかに休息が追いついていませんでした。減量はできても疲労した状態が続き、ステージで筋肉に張りがないような状態でした。

――疲労を溜めながら減量を進めていたということですか。
木澤 日本選手権に出るようになってからは、明らかに絞りが甘かったという年は一度もありません。ただ、単に脂肪が落ちて皮膚が薄くなっても、あまり身体がよく見えないときもあれば、逆にすごく仕上がって見えるときもあります。順位を下げていた時代に比べて今のほうが明らかに絞れているかというと、そうではありません。また筋量が増えたわけでもありません。ステージで映える身体というのは、まずは脂肪が少ないこと。その上で筋肉に張りがあって元気な状態であること。限界ギリギリでフラフラになりながら絞るのではなくて、元気に調子よく絞っていくことが大事です。

アイアンマン2022年7月号

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――カツカツの状態で絞るとトレーニングにも支障が出そうです。
木澤 まず何よりも、減量中はトレーニングが一番大事です。トレーニングがしっかりとできないと、筋肉も残りませんし、ダイエットも停滞してしまいます。絞るとなると「減量」だけにフォーカスしがちですが、ボディビル競技の場合は「トレーニングありきの減量」なのです。トレーニングがしっかりできていないと絞れないし筋量も落ちてしまいます。

――これまでにうまくいかなかった経験は?
木澤 あります。22、23歳くらいのころには3カ月間カーボゼロ、脂質もゼロという無茶なダイエットもしました。それこそササミとサラダだけのような食事です。トレーニングが全くできなくなりました。そして、絞れないのに体重だけは落ちていく。もう別人のように痩せ細ってしまいました。

――減量の進め方の一つの目安として「トレーニングがしっかりとできている」かどうかは重要なポイントとなるのでしょうか。
木澤 もちろん重要ですが、オフの間のトレーニングと同じ強度を維持するのは難しいです。本当は1レップも落としたくはないのですが、それはさすがに無理があります。例えば、ある種目を4セットやっているとします。僕の感覚では、オフの間に1セット目で10回挙げられていた重量が8回とか7回くらいしか挙げられなくなるのは許容範囲内です。3回とか4回しかできなくなってしまうようなら、ダイエットに問題があると思います。3セット目、4セット目にパワーがオフシーズンに比べ顕著に落ちるのはエネルギーが不足しているので仕方がない面もあります。

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