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BIG3ではなくBIG4を!背中のトレーニングの目玉種目「チンニング」で背中をもっと広くする

日本ボディビル界のトップ選手であり、厚みと丸みが特徴的な加藤直之選手。BIG3にこだわった選手として有名だが、加藤選手は3種目に加えてもう1種目、『チンニング』を含めて‟BIG4”と呼んでいる。ここでは、加藤選手がこだわるBIG4のうちのチンニングを解説する。

取材・文:藤本かずまさ 撮影:岡部みつる、北岡一浩

チンニング(ターゲット:広背筋、大円筋)

BIG3の唯一の弱点と言えるのが、それらの種目だけでは広背筋のストレッチが弱いという点です。広背筋をストレッチし、また強く収縮させることができる種目が、自重トレーニングの代表格でもあるチンニングです。私はBIG3にチンニングを加え、「BIG4」という考え方をしています。トレーニングの時間がなく限られた種目数しか行えないとなった場合は、この4つを選択します。
チンニングはある程度の筋力がないとこなせない、中級者以上向けの種目と言えます。また身体が固定されているラットプルダウンよりも動作中のバランスが取りづらいため、背中の大筋群だけでなく肩関節腱板周辺の細かな筋肉も鍛えられます。
できない人はマシンのアシストを使うか、パートナーがいる場合は補助をしてもらうのがいいでしょう。それでも身体を上げられない場合は、床に足をつけた「斜め懸垂」でフォームをつくり、筋力を高めていきましょう。
身体を樹木にたとえると、BIG4は強い幹を、その他のフリーウエイトやマシントレーニングは枝や葉をつくっていく種目になります。枝や葉を広げていくためには、まずは強い幹が必要です。他の種目の基礎を身につけることもできるので、この小冊子を機にBIG4にも取り組む方が増えればうれしいです。 

チンニングの基本

肩幅より拳一つ分から二つ分ほど広い手幅でバーを握る。完全に脱力してしまうのではなく、背中に負荷を乗せた状態でぶら下がる。そこからバーに向かって身体を引き上げていく。

引き上げる位置

バーを鎖骨の下に近づけるようにして身体を引き上げる。背中は丸めず、胸を張るようにする。

◆ポイント

●幅は肩幅より拳一つ分、もしくは二つ分ほど広く。
●可動域を広く取りたい場合は拳一つ分。
●自重で15回ほどできるようになったら加重し、負荷を上げる。
●バリエーションとしてグリップを使い分ける。

グリップについて

オーバーグリップ:チンニングでは肩関節の内転(バンザイから腕を横に下ろす)、伸展(バンザイから腕を前に下ろす)の動作を伴う。オーバーグリップで握り、肘を仙骨へ近づけるように動作すると、広背筋をしっかりと収縮できる。

アンダーグリップ:アンダーグリップでは伸展の動きが強くなる。スタートポジションで広背筋のストレッチ感は強いが、前腕の回外が大きい。手首に痛みが出る場合は無理をしない。

パラレルグリップ:手のひらが向き合うパラレルグリップでは、オーバーグリップとアンダーグリップの中間の軌道となる。スムーズに動作が行える。


加藤直之(かとう・なおゆき)1981年生まれ、埼玉県出身。身長161㎝、体重69~71kg(オン)74~75kg(オフ)。トレーニング以外の趣味:子どもの寝顔を見ること。「親バカです(笑)」
主な戦績:
2005年千葉県ボディビル選手権優勝/2008年関東クラス別選手権75kg級優勝/2011年関東ボディビル選手権優勝/2012年ジャパンオープン選手権優勝/2013年日本選手権9位/2014年日本選手権11位、日本クラス別選手権70kg級優勝/2019年日本選手権3位、日本クラス別選手権70kg級3位、2021年日本クラス別選手権優勝、日本選手権4位、IFBB世界選手権40ー44歳80㎏以下級3位


執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。

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