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ジュラシック木澤大祐直伝「背中のトレーニング」におけるチーティング法

ゴールドジムのトレーナー向けの研修の一環として開催されている『マッスルキャンプ』。丸1 日かけてトレーニング実技と座学を学ぶというこの研修では、日本を代表するトップボディビルダーと共にトレーニングを行い、そのテクニックを体感できる。今回は木澤大祐選手による背中のトレーニングテクニック、中でもチーティングテクニックについて余すことなく公開する。(IRONMAN2015年9月号から引用)

取材・文IM編集部 写真:北岡一浩

メインとなる種目では高重量を扱い、チーティングを使って追い込む

今回は背中の種目を紹介しましたが、どの部位でもメインとなる種目では高重量を扱い、チーティングを使って追い込みます。ラットプルダウンでは尻を一旦浮かせてから下に落とす勢いを使って引くというテクニックを使います。そのため膝パッドの位置に余裕を持たせるなどの工夫は必要です。最近は背中のトレーニングでワンハンドの種目をやりこんでいます。以前はワンハンド系の種目はほとんどやっていませんでしたが、可動域を広くとることができ、ストレッチと収縮両方を感じとれるので非常に感触はいいですね。今回、一緒にトレーニングした人は気付いたと思うのですが、種目によってパワーグリップとストラップを使い分けています。ベントオーバーローイングやシュラッグなど高重量を扱う種目や、サムアラウンドで握り込みたい種目をやるときは、やはりストラップのほうが安心感があります。

ラットプルダウン(広背筋中部)6回×4セット

一般的には胸を張る種目だが、木澤選手は胸を張らずに、肘を骨盤に近づけるという動作のみを意識している。肩甲骨は寄せず、できるだけ重い重量でチーティングを使いながら行う。

◆ポイント:シートを低めに設定しておき、引く瞬間に一旦尻を浮かせて、それを落とすタイミングで体を倒して引くと、チーティングの感覚がつかみやすい。

ベントオーバーローイング(広背筋中部・下部)6~8回×3セット

バーをコントロールしながら下ろし、膝下まで来たら伸張反射を使って引く。引きながら上半身を前方に持っていくような意識で行うと、骨盤方向に向かって垂直に近い角度で引くことができる。

◆ポイント:股関節に重心をもってくると安定する。高重量を扱うと背中が立ち気味になるが、骨盤に向かって引くことで、広背筋に効かせる。

ハンマープルダウン(広背筋中部)10回×3セット

プルダウンとローイングの中間のような種目。プルダウンとは逆に、バーを引くのではなく、自分が上がるように動かす。初動では背中を丸めておき、引きながら体を前に移動させつつ、肩甲骨を寄せることで背中の中央部に効く。

◆ポイント:チンニングをするイメージで引くといい。腿をおさえるパッドがあれば、シートはむしろなくてもいいくらい。

ワンハンドダンベルローイング(広背筋中部・下部)8~10回×3セット

ストレッチしつつ、収縮もきちんと意識できる範囲の重量で行う。背骨を中心に引きながら、ダンベルを持っている方の背中を収縮させて、反対側の背中は動かないようにする。

◆ポイント:両足でしっかり立ち、土台が安定した姿勢を作ることで高重量が扱える。

ベントシュラッグ(僧坊筋)8~10回×3セット

直立した状態から肩甲骨を開き、胸椎を支点に上半身を丸めて体を倒し、そこから胸を張りながら肩甲骨を寄せるという、変則シュラッグ。

◆ポイント:倒した上半身の角度のまま胸のみ張る。グリップはサムアラウンドのほうが僧坊筋に効きやすい。

ハンマーワンハンドローイング(広背筋)12~15回×3セット

ケーブルやフリーウエイトではできない、円を描く軌道で効くのがこの種目。体の位置を引きながら微調整することで、より強いストレッチ感、収縮感を強めることができる。

◆ポイント:マシンの軌道は決まっているので、効かせやすい位置に体を合わせることが大切。

ハンマーローロー(僧坊筋・大円筋)10回×3~ 4セット

ベントシュラッグよりも収縮を意識した種目。肩甲骨を寄せることはもちろん、肘を可能なかぎり引ききることで、大円筋も稼働させて動作する。

◆ポイント:伸展から収縮まで、できるだけ可動域を大きくとる。

ビハインドネックプルダウン(大円筋)10~12 回×3~4セット

体を倒さずに、腕が円を描くようなイメージで引いて大円筋に効かせる。大円筋は初動で働くので、数センチしか引けなくなるまで追いこむ。

◆ポイント:引ききったときにグリップの向きが自然な角度になるようなアタッチメントを使うのがおすすめ。木澤選手はパラレルバーアタッチメントを使っている。


木澤大祐(キザワ ダイスケ)
1975年1月9日生まれ、愛知県名古屋市出身。身長170cm、体重82㎏(オン)、オフ(89㎏)医療廃棄物の回収という肉体労働をしながら大会出場を続けていたが、2017年2月にJURASSIC ACADEMYをオープン。2019年4月には独立してオーナーに。爆発的な筋量を誇り「ジュラシック木澤」「東海の恐竜」の異名で多くのファンを持つ。2020年7月7日からJURASSIC KIZAWACHANNEL(YouTube)を開設。登録者数4.6万人。一男二女の父。
主な戦績:1995年 日本ジュニア選手権優勝、2003年 ジャパンオープン選手権優勝、2008・2019年 日本選手権4位、2014・2015・2019年 日本クラス別選手権85㎏級優勝、2021年  日本選手権2位

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