コンテスト

手術後、初めてのステージで3部門表彰台 身体を壊したからこそ伝えたい「無理をしないことの重要性」

「今回の目標は、まず元気に身体を動かすことでした」

そう穏やかに語った石田陽子(いしだ・ようこ/45)さん。しかし、その一言の裏には、想像を超える経験があった。

【写真】石田陽子さんの健康的な背中で魅せるバックポーズ

石田陽子さん

石田さんは2024年に初めてボディコンテストへ出場し、2大会を経験。そのわずか1週間後、突然、体調を崩して救急搬送され、その後、開腹手術を受けることになった。

競技どころかトレーニングからも約1年間離れることとなり、昨年、秋になってようやくジムでのトレーニングを再開。マッスルゲート東京ベイ大会(2026年7月4日(土)、浦安市文化会館)は、復帰後の初めてのステージだった。

「まずは身体を元気に動かせるようになること」。その小さな目標を積み重ねた先に、この日のステージがあった。

トレーナーとの二人三脚

復帰までの道のりは決して一人では歩めなかった。

普段、トレーニングをしているゴールドジムでは、小林弘典トレーナーをはじめ、多くのジム仲間が温かく支えてくれた。さらにご両親も体調を気遣いながら競技への挑戦を応援してくれたという。

「一人では決してここまで来られませんでした。今日ステージに立てたのは、ジムのみなさんや家族、ずっと見てくださったトレーナーさんのおかげです」

以前から身体の故障や体調不良に悩まされることも少なくなかった石田さん。復帰後は身体の使い方から見直し、怪我をしにくいフォームづくりにも取り組んだ。

今年のマッスルゲート埼玉大会(2026年5月17日、久喜総合文化会館)のボディビル一般75kg以下級で優勝を果たした小林トレーナーに相談を重ねながら、大会に向けて「私に合った身体の使い方」を教わった。

そうして迎えた復帰の舞台。石田さんは、ウーマンズレギンス163cm超級優勝、同50歳以下級2位、ウーマンズレギンスフィットネス163cm超級2位と、3部門で表彰台に立った。

手術によって一度は遠ざかったステージ。しかし、自分の体と向き合い、一歩ずつ積み重ねてきた時間は、本当の強さとなって実を結んだ。

焦らずに、身体の声を聞く

食品業界で企画開発の仕事に携わりながら、大会へ向けた準備を進める日々。仕事とトレーニングを両立するためには、時間を確保することも大きな課題だった。

その中で石田さんが最も大切にしたのは、「健康第一」という考え方だった。

前回は短期間で減量を進めたことで身体に大きな負担をかけてしまった経験がある。その反省を踏まえ、今回は約5カ月かけてゆっくりと減量を実施。トレーニングも無理をせず、常に身体の声を聞きながら進めたという。

「以前は結果を急いでいました。でも今回は焦らず、無理をしないことを意識しました」

手術を経験したからこそ、「鍛えること」と同じくらい「身体を守ること」の大切さを実感した。

一歩ずつ積み重ねた先に

インタビューの最後、ジムでトレーニングに取り組む方へのメッセージを求められると、「私、口下手なので」と少し照れた表情を見せながらも、丁寧に言葉を選びながら、ご自身の思いを語ってくれた。

「病気をしたり、歳を重ねたりして、身体は変化していきます。でも、私自身、一歩一歩積み重ねてきたからこそ、今日こうしてステージに立つことができました」

手術によって一度は止まった競技人生。それでも焦らず、自分の身体と向き合いながら積み重ねた時間は、再びステージへ戻る力となった。

石田さんの復活は、病気や怪我で思うようにトレーニングができず悩んでいる人にも、「また始めることができる」という力強いメッセージを届けてくれる。

【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。

執筆者:久米大郎
理工系出版社で数学書の編集者として勤務。ゴールドジムでボディメイクに励み、ボディビル競技に挑戦中。競技者としての経験を生かし、FITNESS LOVEでトレーニングやボディビルに関する取材・執筆を担当。徳島県徳島市出身、神奈川県大和市在住。

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取材・文:久米大郎 写真:FITNESSLOVE編集部

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