「ジムへ行きたくない日って、誰にでもあるじゃないですか」
原田直輝(はらた・なおき/38)さんは、継続の秘訣についてそう切り出した。24時間勤務もあるハードな仕事と筋トレを両立しながら、ボディメイクの大会に挑戦している。特別な才能や気合いではなく、自身が大切にしているのは「まずやってみる」というシンプルなマインドセットだという。
疲れていても、まずはジムへ行く
職業を聞いて、驚いた。消防士のように泊まり込みの勤務もある鉄道会社の保守・メンテナンス職で、仕事は泊まり勤務が中心だ。
30歳を迎えた頃、趣味だったスノーボードで体力の衰えを感じたことをきっかけにトレーニングを開始。当初は区のスポーツセンターに通う程度だったが、コロナ禍を機にゴールドジムへ足を運ぶようになり、本格的にボディメイクに取り組み始めた。
現在は、仕事の勤務明けの日を活用しながら、ゴールドジムで週4~5回のトレーニングを続けている。
「そのトレーニング頻度になると、当然、疲れも溜まりますし、眠い日もあります。それでも、自分は『とりあえずジムに行く』ということを意識しています」
そう語る原田さんは、マッスルゲート東京ベイ大会(2026年7月4日(土)、浦安市文化会館)に出場し、クラシックフィジーク一般の部175cm超級とメンズフィジーク新人の部176cm超級の2階級で優勝。見事、2冠を達成した。
「Mr.パーフェクト」の言葉
自身の考え方を変えるきっかけとなったのが、日本ボディビル界のレジェンドであり、「Mr.パーフェクト」と称される田代誠さんの言葉だった。
「田代さんが「FITNESS LOVE」さんの取材でお話しされていた『とりあえずやってみる。やってダメだったら、その日はトレーニングをしない』という言葉に影響を受け、自分も実際にやってみようと思いました。もしできなかったとしても、家にはない(ジムの)サウナに入ってリフレッシュしようと(笑)」
半信半疑で始めてみると、意外な発見があったという。
「どんなに眠くても、どんなに疲れていても、とりあえずジムへ行ってみる。準備運動で体をほぐしていくうちに頭が冴えてきて、案外できるものなんですよね」
● 原田さんが参考にされた取材記事はこちら:
https://www.fitnesslove.net/contestinfo/15954/
用事があって時間がない日は
原田さんは、「時短トレーニング」で知られているボディビルダーの加藤直之選手の考え方も積極的に取り入れている。
「午前や午後に用事がある日は、『時間がない』とトレーニングに行かない理由を探すのではなく、加藤選手のマインドを意識して、いつものトレーニングメニューから種目を厳選したり、セット数やインターバルに変化をつけています。そうすることでマンネリ化も防げて、筋肉にとっても、いつもと違った刺激になっているのでは、と前向きに考えています」
マインドは真似できる
さまざまなトップ選手のセミナーやパーソナルトレーニングを受けるなかで、あることを実感した原田さん。
「トップ選手は、みなさん本当にポジティブ思考なんですよね」
そして、その姿勢は誰でも取り入れられるものだという。
「憧れの有名人の髪型やファッションを真似するのと同じで、マインドは真似できると思うんです」
続ける秘訣は「完璧を求めないこと」
原田さんが、これからボディメイクを始める人へ伝えたいことは、とてもシンプルだ。
「トップ選手の精神を取り入れて、まずは自分もやってみる。それを意識しています。続けられている秘訣は、そのマインドセットですね」
疲れているからジムを休む、気分が乗らないからやめる―――ではなく、「まず行ってみる」。もし本当にできなければ、その日は休めばいい。完璧を求めるのではなく、まず一歩踏み出す。その積み重ねこそが、仕事と競技を両立しながら歩み続ける原動力になっている。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
理工系出版社で数学書の編集者として勤務。ゴールドジムでボディメイクに励み、ボディビル競技に挑戦中。競技者としての経験を生かし、FITNESS LOVEでトレーニングやボディビルに関する取材・執筆を担当。徳島県徳島市出身、神奈川県大和市在住。
取材・文:久米大郎 撮影:北岡一浩











