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「肩の筋肉のシルエットを確実に変える」世界王者鈴木雅が教える三角筋側部と後部のトレーニング

肩と腹筋はメンズフィジークの選手たちの間でも重視されている部位。「腕を真上に上げる」「脊柱を丸める」など、どちらのトレーニングも動作そのものはシンプルであるが「収縮ポジションで負荷が抜けてしまう」「腹筋よりも先に腰にきてしまう」という人も少なくないだろう。狙った部位にしっかりと効かせる術を鈴木雅が紐解く!

取材・文:藤本かずまさ 撮影:北岡一浩

三角筋側部は肩関節の外転(横方向に腕を開く動作)、後部は肩関節の伸展(後方に腕を引く動作)と水平伸展(水平外転= 「T」の姿勢から後方に腕を引く動作)に関与している。トレーニングではサイドレイズやラテラルレイズ、リアレイズなどの種目がそれに当たる。ここではノーチラスのラテラルレイズ、リアデルトフライのマシンを用いて解説する。

ラテラルレイズ

三角筋側部の種目。骨盤を立てて座り、腹圧をかける。「腹圧をかける」とは一般的にはお腹をへこませるドローインのイメージが強いが、骨盤底筋群を引き上げて骨盤を安定させ、お尻を締めて腹圧をかけていく。詳しくはIRONMAN2019年5月号「トレーニングアップデート術 骨盤」を参照。座った段階では肩が下がった位置にあるため、鎖骨から肩関節を横に開いてスタートポジションをつくる。その状態を維持し、ハンドルを持つ手ではなく肘が主導するイメージで上腕を上げる。トップポジションでは三角筋側部を収縮させて少し止める。

座り方が重要!

骨盤を立てて座ることで腹圧をかけやすくなる。膝は開きすぎない。ラテラルレイズは遠心力が働く動作になるため、腹圧をかけてないと僧帽筋で外に向かう力を支えることになり、三角筋よりも僧帽筋に効いてしまう。

シートの高さについて

シートの高さはパッドが肘の少し上あたりにくるように上腕の中央から少し肘寄りの位置にくるポジションに設定する。

ちょっとしたひと工夫

ノーチラスのシートが柔らかくお尻が沈んで骨盤を立てにくい場合の対処法。小さめのシートを敷いて段差をつくると、股関節の角度が浅くなり骨盤を立てやすくなる。

ワンハンドで行う場合

ワンハンドで行うことで支点が肩関節になり、三角筋に負荷を乗せやすくなる。その場合、実施した側のお尻に重心を置く。右で行う際には右のお尻に重心を置くようにする。

グリップについて

ハンドルを持つグリップも重要。ノーチラスのマシンのハンドルは上腕を上げた際に手の甲が天井を向く角度に設計されているが、マシンによってはNG例のように小指側が下、親指側が上になるものもある。その角度では三角筋側部からは負荷が抜けがちになるため、ハンドルを握らずに手首をまっすぐに保った状態で動作を行う。無理にハンドルを持つ必要はない。

リアデルトフライ

立って行う場合

三角筋後部の種目。ハンドルを持つ手が肩のライン上にくるようにして構える。いわゆる「前にならえ」の高さ。この段階では肩関節がマシンの支点の内側にあるため、鎖骨から肩関節を横に開いてスタートポジションをつくる。肘が体の外を通る軌道を描くように腕を広げていく。肘を遠くにやるようなイメージで。

座って行う場合

〇OK

座って行う場合、腹圧をかけて体幹を支えないと遠心力が働くため肘の軌道を確保できなくなる。骨盤を立てた状態で、腹圧をかけやすい状態で行うこと。

✕NG

写真のように骨盤が前傾もしくは後傾した状態では腹圧がかけられず、三角筋よりも僧帽筋に効いてしまう。

次週は→腹筋の動作を徹底解説!!


鈴木 雅(すずき・まさし)
1980年12月4日生まれ。福島県出身。身長167cm、体重80kg ~83kg。株式会社THINKフィットネス勤務。ゴールドジム事業部、トレーニング研究所所長。2004年にボディビルコンテストに初出場。翌2005年、デビュー2年目にして東京選手権大会で優勝。2010年からJBBF日本選手権で優勝を重ね、2018年に9連覇を達成。2016年にはアーノルドクラシック・アマチュア選手権80㎏級、世界選手権80㎏級と2つの世界大会でも優勝を果たした。DMM オンラインサロン“ 鈴木雅塾”は好評を博している。


執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。

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