ボディビルに将来が楽しみな逸材が現れた。23歳以下の選手で争われる日本ジュニア選手権大会で2位、そして8月21日に北九州市で開催された階級別日本一決定戦・日本クラス別選手権大会で重量級の90kg以下級で優勝を飾った榎田大人選手である。コンテストには2020年にメンズフィジークでデビュー。昨年にボディビルに転向し、初戦の日本ジュニア選手権では7位。今年は地元の宮崎県選手権大会、南九州選手権大会で優勝した22歳のルーキーだ。
「兄が先にメンズフィジークをやっていて、その影響で最初はメンズフィジークに興味を持って始めました。ただ、自分はもともと柔道を100 kg級でやっていて、『デカくて強い』ことに憧れを持っていたので、ボディビルをやってみたいと思うようになりました」
榎田選手は実は柔道ではかなり名の知られた存在で、国内屈指の柔道強豪校である神奈川県の東海大学相模柔道部で活躍。卒業後は、井上康生さんが副監督を務める東海大学柔道部に入部。本格的に競技と向き合っていた。そんな榎田選手の目の前に現れたのが、「ボディビル」だった。
「『自分はボディビルの世界チャンピオンになります』といって大学を中退して、ボディビルにきました。中途半端にはしたくないと思い、退路を断つ意味で退学しました」
現在は宮崎のジムでトレーナーとして活動する榎田選手。視線の先にあるのは、同時期に神奈川県内で柔道に励んでいた、あの男の存在だ。
「相澤隼人選手が一つ上の先輩です。高校は違ったのですが、柔道時代に合宿などで一緒に練習させていただいたことがあります。(ボディビルで日本チャンピオンになった)相澤選手にはかなり刺激をもらっています。こんなこと言うのはまだまだおこがましいですが、いつかは勝ちたいです」
榎田選手は今年は日本選手権にも出場予定。柔道では階級が異なったため実戦では手を合わせることのなかった両者。近い将来、相澤対榎田の対決がボディビルで実現するか。
取材・文:藤本かずまさ 撮影:北岡一浩
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