座って過ごすことが当たり前になっている現代人にとって、
岡部友(おかべ・とも)
1985年12月6日生まれ、神奈川県出身。株式会社ヴィーナスジャパン代表取締役。高校卒業後、アメリカで運動生理学、解剖学を学び、フロリダ大学在学中に、プロアスリートに指導できるスポーツトレーナーが保持する資格NSCA-CSCSを取得。女性専門ジム「SPICE UP FITNESS」を東京、大阪、名古屋の5店舗で運営。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演し大きな反響を呼んだ。
股関節の動きと、その運動方向が重要
「下半身」の基本フォームで重要になってくるのが“股関節の動きとその運動方向”。一つひとつに解説はしませんが、股関節の形態や構造は他の関節よりも複雑で、人体の関節の中で肩関節の次に自由に動かすことができます。身体が硬い人には意外かもしれませんが、実はかなり自由に動く関節なんです。しかし、柔軟性や筋力の低下でうまく使えてない人も多く、周りの筋肉に負担をかけてしまっていることも事実。ウエイトを重くしていく前に、股関節を意識した下半身の基本フォームを身につければ、ケガもしにくいですし、トレーニングの効果も高まります。股関節につながる筋肉は大腿直筋、ハムストリングス、腸腰筋、内転筋群、そして殿筋群です。この中でも現代の日常生活が原因で、つねに収縮してしまっている筋肉、あまり使われないために、正しい使い方を忘れてしまっている筋肉があります。がむしゃらにトレーニングに励んでも、普段使わない筋肉は勝手に起きてくれません。
日常生活で使わなくなったお尻の筋肉を呼び起こす
そこでポイントになるのが「お尻」。下半身トレーニングのほぼ全ての動きに関わってくる重要な筋肉で、お尻は身体の中で一番厚く大きな筋肉。股関節を意識する基本フォームの中で最も意識したいのがお尻の筋肉(が最大限使われているかどうか)です。
現代人の日常生活でお尻を使う機会は皆無。それは座って過ごすことが当たり前になっているから。この「座る」という行為はお尻にとっては最悪!
普段使えていない筋肉がトレーニング中いきなり使えるわけがなく、むしろ座っていることで、血流が悪くなって、栄養素や酸素もいきにくくなって凝り固まり、腸腰筋や大腿直筋などの股関節を屈曲させる筋肉が、つねに縮んだ状態が続くんです。すると立っているとき、歩いているとき、走っているときなど、本来お尻の筋肉を使う動きで、使われなくなっていきます。使わなければお尻は眠りに入ります。こうなると脊柱起立筋、ハムストリングス、周りの筋肉がサポートに入り、周りの筋肉がオーバーワークし、ケガにつながったり、重りを重くしていったとき、トレーニングフォームが簡単に崩れてしまうんです。この問題を解決するには、うまく使えないお尻を起こすしかありません。
下半身の基本フォームに入る前に、収縮している筋肉はほぐし、弱い筋肉を起こし、使いやすくしてあげることもポイントの一つ。