ゴールドジムアドバンストレーナーでボディビル世界チャンピオンの鈴木雅選手がトレーニングをひも解いていくIRONMAN誌の人気連載『トレーニングアップデート術』から、1分で読めるトレーニングワンポイント解説を紹介するこのコーナー。今回は股関節の「内転・外転」の違いによるロウイングについて。背中のトレーニング効果が変わるので必見です。
ここでは「股関節」とトレーニングの関係性とその応用について解説していきます。股関節の可動には、大まかに言えば「内旋・外旋」「内転・外転」「屈曲・伸展」の3つのパターンがあります。この3パターンの使い方によって体の姿勢は変わっていきます。
今回解説するのは「内転・外転」です。これは簡単に言えば「足幅」です。恥骨筋、内転筋群が収縮し、大腰筋・腸腰筋が収縮すると大腿骨が内転、つまり足幅が狭くなります。中殿筋・大殿筋側部が収縮し、大腿筋膜張筋が収縮すると大腿骨が外転、つまり足幅が広くなります。
よくトレーニングの解説で「スタンスは腰幅程度」などの表現が用いられますが、足幅の一つの基準となるのが「腸骨幅」です。大腿骨は股関節から少し内側に向かってついています。大腿骨のポジションが腸骨幅です。大腿骨の大転子から鉛直方向にある足幅です。
その腸骨幅より狭い足幅になると体を屈曲させやすく、腸骨幅より広い、肩幅の足幅を取れば体を伸展させやすくなります。
これは背中のトレーニングでは重要な要素で、腸骨幅で行えば体が屈曲し、肩甲骨を上げやすくなり大円筋、僧帽筋中部・上部に効きやすくなります。肩幅に開くと体が伸展し、肩甲骨を下げやすくなり、広背筋、僧帽筋下部に効かせやすくなります。
また、腹筋のトレーニングでは足幅を狭くすると上体を丸めやすくなります。上腕二頭筋のトレーニングも、腸骨幅、もしくはそれより少し狭い足幅のほうが二頭筋を収縮させやすいです。
腸骨幅
腸骨幅でのロウイング動作。体が屈曲しやすくなり、肩甲骨が上がりやすくなる。広背筋よりも僧帽筋上部、大円筋に効きやすい。
肩幅
肩甲骨を下げた状態で動作ができ、僧帽筋下部、広背筋に効かせやすくなる。ただし、足幅を広くしすぎると、腹圧をかけづらくなる。足幅は広げすぎないように。
鈴木 雅(すずき・まさし)
1980年12月4日生まれ。福島県出身。身長167cm、体重80kg ~83kg。株式会社THINKフィットネス勤務。ゴールドジム事業部、トレーニング研究所所長。2004年にボディビルコンテストに初出場。翌2005年、デビュー2年目にして東京選手権大会で優勝。2010年からJBBF日本選手権で優勝を重ね、2018年に9連覇を達成。2016年にはアーノルドクラシック・アマチュア選手権80㎏級、世界選手権80㎏級と2つの世界大会でも優勝を果たした。
取材:藤本かずまさ 構成:FITNESS LOVE編集部 撮影:北岡一浩