「私、ボディメイクする人のなかでは多分一番くらいに『逆境』の環境にいる気がするんですよね」
そう語るのは、ラウンジ経営者であり自らもホステスをしながらボディコンテストで活躍する、芳村真樹(よしむら・まき/33)さんだ。180cmの長身美脚を武器に、ボディコンテスト『ベストボディ・ジャパン』の地方大会で優勝歴を持つ活躍選手である。しかし、その生活環境はボディメイクにおいては適しているとは言えない。
「朝の11時に起きて夜中の3時すぎに寝る毎日ですし、食事量も食べざるを得ないときと逆に全く食べられないときで毎日乱高下が当たり前ですし、トレーニングしてもお酒をたくさん飲むので、ずっと筋分解していますし、『規則正しい健康な生活』とは無縁です。そんななかでどうやって身体を作っていくかに、ずっとチャレンジしてます」
ボディメイクを始めたきっかけも「お酒を飲んで自制できずに太る」だった。本人曰く、「6000回は色んなダイエットを試みた」とのことだが、どれも続かなかったなか、唯一、お客様に紹介してもらったトレーニングが続いているという。
「今は現役ボディビルダーの方にゴリゴリに指導をしてもらっていて、レッグプレス100kgとか、ハイボリュームのフルスクワットとか、『ベスボ』(ベストボディ・ジャパンの略称)に出てる筋肉量の選手のなかでは相当重さを扱っていると思います。肩もフロント・サイド・リアとがっつりやってます。そのくらいやっても、なかなか筋肉つかないです。本当に生活が整ってないとトレーニングだけでは筋肉つくるのは厳しい」
180cmという高身長のため、周囲には「身長あるから有利だよね」と言われるが、それを覆すほどの逆境のなか奮闘していることがなかなか理解されないのが目下の悩みだという。ポージング練習も毎日欠かさず行い、これ以上はどう頑張っても無理というスケジュールでボディメイクに力を注いでいる。
「それでもやりたいと思うのはやっぱり楽しいからですね。お客さんにもすごく応援してもらってるし、大会間際にはスタッフに運営をお任せしてるので頭が上がりません。その分、オフ期にはめちゃくちゃ働いて恩返ししています」
最もうれしかった瞬間は、グランプリを獲ったことを大切な人に伝えられたことだと語る。
「大人になると、こんなに何かに打ち込んで、ステージで大勢の人前に立って、順位がついて表彰されてなんて経験、なかなかしないじゃないですか。毎日、好きな身体に近づいていくのも楽しいし。心が満たされる感じがします」
悩みは尽きないが、これからもボディメイクと大会挑戦は続けていきたいと語った。「規則正しい生活・栄養の整った食事」がトレーニングに大切なのはおそらくほとんどの人は理解している。ただ、「それができれば苦労はしない」のが現状という人も多いだろう。芳村さんの現状を嘆きつつも可能な限りを目指して頑張っていくという姿勢は多くの人の共感を得るのではないだろうか。
取材:にしかわ花 写真提供:芳村真樹
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用も行うマルチライター。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。
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