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“絞りの女王”が49歳にして筋肉量アップ 身長別で満票日本一リベンジ遂げた筋肉美

力強く張った筋肉が織りなす優雅な動きに、会場中が息を呑んだ。満場の1位票であった。

「今年は、競技人生で最もチャレンジした年となりました」

【写真】進化した肉体美でステージを舞う原田理香選手

9月8日(日)、男子ボディビルは体重別、女子フィジークは身長別で日本一を競う、日本クラス別選手権大会が行われ、163cm超級で優勝を飾ったのは原田里香(はらだ・りか/49)選手。2021年についで2度目の王座となる。原田選手は“絞りの女王”として、鋭利に削ぎ落とされた肉体に着目されてきたが、今シーズンは筋量も進化を見せている。

原田選手は同大会女子フィジーク37名の参加者のうち、最も長身となる168cm。背の高い選手は構造上、骨が長く従って筋肉も長く伸ばされる。それゆえに筋肉の盛り上がりが強調されづらい(筋量の不足に見えやすい)というのが弱点となるケースが多い。原田選手も例に漏れず、「絞り込みで勝つには限界がある」と感じていたという。日本選手権での最高位は4位。これは本人いわく「コロナ禍で上位入賞者不在による棚ぼたで実力ではない。筋肉量を底上げしなければ上昇は難しいと改めて感じた瞬間」だったという。

その弱点に対し、今シーズンは抜本的なトレーニング改革で臨んだ。我流でのトレーニングから、トップ女子フィジーク選手の多くが師事を受ける“筋肥大職人”本野卓士(もとの・たくし)氏の指導を仰いだ。その内容は驚きの連続だったという。

「スクワットであれば今まではフルの可動域で行っていたのを骨盤を後傾させてのパーシャル、デッドリフトは床引きからトップサイドとなり、さらに足幅を左右でずらし交互に行うなど、これまでの自分のやり方とは全く異なるものでした。また、メニューが大幅に増えて、低・中・高重量×高・中・低レップと日によって細かく内容が分かれます。習得にも実働にも時間を要し、1時間だったトレーニング時間が、ときには2時間近くになることもあります」

がむしゃらな高重量から緻密にコントロールされた理論へ。対極となるトレーニング論に戸惑いながらも、筋肉には確かな手応えを感じたという。実際に、表彰台にて女子フィジーク界のトップ2であり同大会階級別優勝者である、荻島順子(おぎしま・じゅんこ/158cm級優勝)選手、澤田めぐみ(さわだ・めぐみ/163cm以下級優勝)選手と並んだときも、遜色を感じないアウトラインであった。特に、大腿四頭筋、殿筋、ハムストリングの張りと絞りは目を見張る。

原田選手の特筆すべき点はもう一つ、フリーポーズが格段の進化を遂げた。

「フリーポーズは苦手でこれまで主人が考えていましたが、自分自身でテーマを作り一から構成しました。練習も、これまでにないほどしてきました」

カメラを審査員の目線に合わせて設置、動画で撮影したものを何度も見返しては、日々ブラッシュアップを続けた。「女性らしいしなやかさと力強さの調和」のテーマ通り、剛のポージング間の優美なプレアクション、テンポともに素晴らしく、世界観を自身で構築し落とし込んだゆえの自信が垣間見える動きだった。

次戦の本命、身長無差別の頂上決定戦となる日本選手権について原田選手の意気込みは強い。

「不安感が消え、今は非常にワクワクしています。日本クラス別で荻島さん、澤田さんと並べた幸福を今度は日本選手権の場で再現したい。今までで一番自信がある最高の状態で戦えることが、とても楽しみです。ポージングにさらに磨きをかけ、ベストアーティスティック賞があるなら獲れるレベルを目指したいです」

飽くなき向上心と闘志は、絶対頂点を崩すか。華やかなる死闘が幕を開けようとしている。

【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。

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取材:にしかわ花 撮影:中島康介

執筆者:にしかわ花
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用も行うマルチライター。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。

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佐藤奈々子選手
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