マッスルゲート選手 コンテスト

世界で戦う女子競泳選手がボディコンテストで優勝 肩幅と背中の逞しさで「太っている」と言われたのがボディメイクのきっかけ

「ステージに立ったことで、ずっとコンプレックスだった自分の体型が肯定された気持ちです」

長澤明日香(ながさわ・あすか/44)さんは初のボディフィットネスカテゴリー出場と優勝の感想をそう語った。長澤さんは世界で戦う現役の競泳選手でありつつ、11月3日(日)マッスルゲート静岡のボディフィットネス一般の部に出場。初戦とは思えない肉体美を披露した長澤さんからボディコンテストに挑戦した経緯を聞いた。

【写真】見事な逆三角形で魅せる長澤明日香

「3歳から水泳を始め、現在は世界マスターズ水泳選手権に出場しています。本格的に筋トレを始めたのは3年前で、世界の選手と渡り合える泳力をつけるためです。その過程で女子フィジークの大澤直子(おおさわ・なおこ)選手のセミナーに参加したことが、ボディフィットネスを知ったきっかけです」

水泳に長く身を投じてきた長澤さんは肩幅と背中の逞しさについて、周囲から「太っている」と指摘されることが多かったため、どうしたら痩せられますかと悩みを打ち明けた。そのとき、返ってきた答えに衝撃を受けたという。

「細くなるなんて絶対にダメ。その筋肉をぜひ生かすべきだと強く言われました。女性の筋肉美を競う大会やカテゴリーがあるということも、そこで初めて知りました。ボディメイクの世界は全くの未知でしたが、大澤先生の指導を受けることになり、それこそビキニの買い方から指導をいただきました」

競泳とボディメイクという2つの競技を掛け持つことについて、双方が良い影響を与え合っているという。

「競泳においては、200mバタフライと400m個人メドレーという非常にハードな種目を主戦としているため、筋力をつけることでより強い泳力を得ることができています。ボディメイクでは、減量に苦労を感じたことがありません。たくさん泳げばそれだけで絞れていくからです。また、競泳はひたすら自分の記録と向き合う内向きな熱中であるため、ときにナーバスになることもあります。そういうとき、ボディメイクの華やかな世界観はとても楽しいと感じます」

今、この瞬間を全力で楽しみたい。一度きりの人生を悔いなく過ごしたい。そういう思いで2つの競技に熱中しているという。長澤さんは水泳競技の裏側で30代を両親の介護に費やし、人生や命の脆さ、儚さを見つめ続けた。その体験から、自身の人生を生きること、そして自身の可能性に挑戦することそのものが生きている証であり青春なのだと語る。

「今回、こうやって新しい世界に飛び込んだことで長年のコンプレックスであった自身の体型が武器になる世界に出会えて、視界が晴れたようにポジティブになりました。私は宝塚が好きなのですが、ステージにはタカラジェンヌになった気持ちでした。本当に楽しかったです」

今後も、今回で挑戦権を得たゴールドジムジャパンカップに出場予定のほか、来年のJBBFスポルテックカップ、JBBFジャパンオープンなどにも意欲を見せる。

「水泳とフィットネス、居場所が2つになったことで、より心身が安定して健康になり毎日が充実しています。これからも人生を全力で努力し、謳歌していきます!」

【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。

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取材:にしかわ花 撮影:上村倫代

執筆者:にしかわ花
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用も行うマルチライター。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。

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佐藤奈々子選手
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