「産後、なかなか体型が戻らず悩んでいました。ある日、思い立って後ろ姿を撮影してみたら酷いおばさん体型でものすごくショックを受けました……」
朝比奈智紗乃(あさひな・ちさの/33)さんは、ボディメイクを決意したときの思いをそう語った。朝比奈さんは現在、フリーのインストラクターとして多くの体型の悩みを抱える人を支えている。
「正しいダイエットの知識を得ようと資格の勉強を始めました。そして、骨盤や子宮、内臓の位置の調整など『痩せるために身体を整えること』の重要性を知りました。そこで私が行ったのは“一方向に1回下ろすだけのトレーニング”、たとえば床で脚を上げた状態からものすごくゆっくりと降ろしていくといった動作です。1回ずつを5種目だけ。引き締めるだけであれば、これでも十分効果があると分かりました」
これは、『ゼロトレ』という身体を正しい位置に導くことを重視するボディメイク法を考案した石村友見(いしむら・ともみ)さんの提唱する、「ドロップモーション」という方法である。この方法で朝比奈さんは−12kgの減量と、産前以上のスタイルまで戻すことに成功した。
「資格と自身の経験を活かし、同じように悩む方へのコーチングを始めました。私の顧客の方たちは身体の不調や不妊症、私と同じく産後の体型崩れに悩む方など、ただ痩せるのではなく身体を良くしたいと願う方ばかりです。トレーナーとして伴走するなかでお客様が努力して成果を出していくのを間近で見るうちに、ある思いがわきました」
それは、“自分の挑戦は果たして十分なのだろうか”ということだった。
「皆さんの頑張りに対して、自分はそれ以上に頑張れているか。そう思っているときにボディコンテストに出場するお客様の姿を見て、自分も挑戦してみようと思いました」
痩せるためから、魅せるための身体づくりは自重だけでは難しいと悟った朝比奈さんはジムでのトレーニングに移行。ウエイトトレーニングの指導を受けた。そして、11月2日(日)に行われたマッスルゲート静岡大会ウーマンズレギンスフィットネス(全身バランスよく発達し、シェイプされたボディをスポーツブラとレギンスにて競うカテゴリー)163cm超級で優勝を勝ち獲った。
「短期間で実績を出せたのは、トレーニングの効果を最大限に享受できる身体の土台づくりがあったことも大きいと思います。ウエイトを持つ前の可動域をとるストレッチや呼吸法などを大切にしました」
今後も、顧客の頑張りに負けない努力を見せていきたいと語る。
「12月21日(土)のゴールドジムジャパンカップでも、メダルを持ち帰ることができるように引き続き頑張ります。皆さんとても頑張って出場されるかと思うので、自分のなかでも最大限に理想を目指せるように励みます」
そして、これからもかつて自分が悩んでいたのと同じ境遇にある女性の力になっていきたいと朝比奈さんは志を語った。多くの女性が行き当たる「母になることと女性としての輝きの両立」。悩みに潰されず学びを重ね、支える立場になった朝比奈さんの公私ともの活躍を今後も応援したい。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材:にしかわ花 撮影:上村倫代
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用も行うマルチライター。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。