ヒップトレーニングを行っているのに効果がでない方、これから尻トレを極めていこうと考えている方に、必ず覚えてほしいのが「神経への意識」と「股関節の動き」。
オープン時から尻トレに力を入れているSPICE UP FITNESS代表・岡部友さんに、効果的なトレーニングの極意を改めてお聞きしました。
【写真】基本種目にも応用できる!岡部友さんによる最新マシン美尻トレーニング
女子は「オールアウト」を目指す気持ちで
尻トレを続けていても成長が感じられない場合、お尻の筋肉に必要な量だけの刺激が起きていないのが原因です。
「効いている感覚がある」ことと「筋肥大する」ことは別。もちろん効かせることは重要なのですがポイントは、それがきちんと〝もうできなくなる(ダンベルが持ちあがらなくなる)数回前〞まで行えているかです。
例えば10回3セットのエクササイズだったとして、私は1回目に必ずお客様に「効いているか」を確認します。自分の神経と行っているトレーニングがきちんとリンクしているかの確認です。このリンクができていて初めてスタートラインに立てるんですね。ターゲットとした筋肉を使い続けたとき、〝それ以外の筋肉の補助がないとその動きができなくなる〞というところまで追い込む。その状態をセットが終わる直前の2〜3回までにもっていけたら必要な張力が身体に与えられます。10回3セットで行うトレーニングを15回できてしまう重さで10回やった場合、たとえ効いている感覚があっても筋肥大に必要な刺激としては足りていません。
実は男性のほうが「もうできない」のギリギリを攻めることができます。これは脳の構造が違うから。〝防衛本能〞は女性のほうが強いんです。もちろん筋疲労の最中にトレーニングすることは訓練次第で女性もできますが、自分で「もうこれ以上できない!」と思う設定が女性のほうが低い。つまり女性ということを加味すると毎回オールアウトを目指して、やっと最後の2〜3回まで追い込める状態ができると思うんです。それくらい厳しく見ることが大切、という意味です。
具体的な設定としては、最後の1回が挙がるか挙がらないかくらいの重りで一度調整してみる。挙がるかどうかはやってみなければわからないので、最初から(重りに対する)ハードルを下げないでください。そうやって追い込んでいかないと筋肉は鍛えられないんですよ。
筋トレはある意味、身体を痛めつける行為。でも〝キレイに(フォームを崩さず)〞痛めつけて筋肥大を狙うには、最後の数回が不可欠です。尻トレをしていても防衛本能で、お尻以外の筋肉を使って同じ動きをしようとしがちですが、本能に抗っていかなければ正しく刺激は起きません。それが「(尻)部位トレ」の難しさでもあるんですよね。
トレーニングのプログラムを組むときに、すべての種目でオールアウトを意識する必要はありません。そんなことをしたら精神的にも肉体的にも疲れますし、トレーニングが嫌いになってしまう(苦笑)。「今日はブルガリアンで追い込む」といったように、ひとつターゲットを決めるといいですね。それができたら達成感が生まれるし、その勢いを使って他のエクササイズも進められますよ。
「動き」の解像度を上げて自分の「頭」で考える
よく「美尻に欠かせないトレーニング種目は?」と聞かれますが、骨格と脂肪のつき方は人それぞれ異なるため、全員に同じアドバイスはできません。まず、自分の骨格と各トレーニングがどこに効いているかを理解するのが先決です。そのような意味でも、やはり最初は(SPICE UP FITNESSに限らず)プロに頼るのが最短で結果がでる方法だと思います。
見た目を変えるためのトレーニングの場合、一番重要なのは動きではなく、実はそこに至る過程です。一方で見た目ではなく日常生活やスポーツでの動きの改善を目的とした機能的トレーニング(ファンクショナルトレーニング)の場合は、動きが理解できていればOK。
ヒップスラストとブルガリアンスクワットは、股関節への負荷が伸展位でかかるか屈曲位でかかるかで、筋肉の伸縮が変わります。負荷のかかり方が違うんですね(筋肉がストレッチされている時の負荷なのか、収縮しているときに張力が高くなるか)。その人が身体のどの機能を強化したいかによって、どの位置に股関節があるときにトレーニングすればいいかを考えて行うことで機能が改善されます。ですから、歩く・走るという日常生活の動作で考えると、ヒップスラスト、ブルガリアン、デッドリフトはどれも別の動きなんです。
べつにヒップスラストにこだわらなくてもいいんです。でも伸展位で重りがいちばんのせられて効果が高いのはヒップスラスト。伸展位のエクササイズなら、今回紹介している45度ヒップエクステンションも合っています。
要は〝股関節がどんな状態のときにお尻の筋肉に負荷がかかっているのか〞を理解していることが肝!
例えばスクワット、ブルガリアン、デッドリフト。この3種目を尻トレだと思っている人は多いけれど、動きとしては同じカテゴリーのものをやっているだけ。ボディメイク目的でこれらを行うなら、負荷のかかり方(伸展位なのか屈曲位なのか)を考えないと結果は出にくいでしょう。
ここまでの話を読んで「トレーニングって身体よりも頭を使うんだ」と思った方は正解です。最初はとくに難しく感じると思いますが、ここをクリアしない限りトレーニングステージは変わりません。ぜひ頑張ってください。
激変!尻トレBefore&After
SPICE UP FITNESSのもとでトレーニングをした方の
お尻ビフォーアフターを厳選!
激変!尻トレBefore&After

ゆきさん(20代)(原宿店)
進化するために行ったアプローチとは?
「食事管理で減量しつつ、中殿筋を張らせないようにお尻を丸くしていく」

うにちゃんさん(50代)(名古屋店)
進化するために行ったアプローチとは?
「お尻のトップを上げていくことと、丸くするために下部上部に必要な種目を時期によって変えて行う」
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【岡部友の尻トレ完全版】効果が出ない尻トレに終止符!「頭」を使った尻トレ最新講座【実践編】
おかべ・とも
1985年12月6日生まれ、神奈川県出身。株式会社ヴィーナスジャパン代表取締役。分子整合栄養アドバイザー。高校卒業後、アメリカで運動生理学、解剖学を学び、フロリダ大学在学中に、プロアスリートに指導できるスポーツトレーナーが保持する資格NSCA-CSCSを取得。女性専門ジム「SPICEUPFITNESS」を東京、大阪、名古屋の5店舗で運営。NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に出演し大きな反響を呼んだ。IG:@tomo_fitness
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取材・文:宮部史 撮影:田中郁衣、岡部友(写真提供) Web構成:中村聡美