年齢は挑戦を笑わない。自分の理想を追いかけ走り続ける人の瞳は、永遠に少年・少女の熱を宿している。
「自分がここまでボディメイクにハマるとは、トレーニングを始めたころは全く思っていませんでした」
小原三三代さん(こはら・みさよ/50)さんは、コンテスト歴4年。47歳から『サマースタイルアワード』(以下、SSA)に出場し、毎年、筋肉量を大きく増やして新しいカテゴリーに挑戦し続けている注目選手だ。
「子どもの習い事でキックボクシングジムに付き添っている間、手持ち無沙汰なのでそのジムのスタジオレッスンを受けたのがトレーニングのきっかけです」
そのころ、小原さんはかなりふくよかな体型だった。しかし、入会たった3カ月後で別人の変化をみせる。
「参加したのはクロスフィットというすごくハードなレッスンでした。色んな身体の動作に荷重を加えて絶え間なく動き続けるんですが、ついていくだけでも相当キツくて、ウエイトトレーニングをがっつりやってる今よりも私にはしんどかったですね」
その過酷さは体型に顕著に現れていた。週に2回、食事制限は一切せずで3カ月−14㎏。自身の変化に驚く小原さんにトレーナーは大会への出場を勧めた。そこから小原さんは本格的なステージ用の身体を作るためにパーソナルトレーナー探しに奔走する。
「SNSで見つけた良さそうな方に、片っ端から連絡をとって体験を受けました。重視していたのは、『自分の理想とする身体へのプロセスに的確な指導をくれる人』です。質問に対して曖昧に答えたりごまかしたりせず、はっきりとした指導方針を立ててくれる方を探しました。また、半年から1年通って指導の相性を実際に体感しました」
そうして巡り会ったのが、現在指導を受ける波多江祐直氏だ。コンテスト選手やプロアスリートへの指導をメインとし、特に女性選手のボディメイクで実績を残す名コーチとして知られる。小原さんは波多江氏のもとで、自分の求める肉体を追求してきた。小原さんは来年、SSAで最も筋肉量が多く全年齢で競うカテゴリー『ベティ』へ挑戦するため、昨年の5月から増量を始めている。
「初めてコンテストを見たときから、マッシブな身体を持つ選手に憧れがありました。ボリュームを増やしたトレーニングに合わせて食べ込んで現在は8㎏の増量をしていますが、昔のようにたるんだ感じはないところに自分の身体の発達を感じます」
トレーニング時間は全力で集中し続けられる1時間程度。短時間のため種目を3つほどに絞る代わりに、1種目を5セット以上のボリュームで臨んでいる。午前にトレーニングを固定しているのは睡眠の質を阻害しないためだ。7時間超の睡眠でハードなトレーニングに対応するためのリカバリーをはかる。そして、食事は大量の白米、鶏胸肉、ツナ缶といったボディビルダーさながらの生活を送っている。
「体調はとてもいいです。昔、細身を競うコンテストに出場したときは食事を減らしすぎたストレスで夜中に意識朦朧でコンビニに行って買い食いするといったこともありましたが、今は減量末期も白米をしっかりとっているのでボディメイクを始める前より元気に過ごせています」
50歳を迎えた身体で20代、30代といった若手と同じステージで戦うために、できることは全て行うという意気込みを見せた。
「ただ、成績にこだわっているわけではないんです。去年より進化している自分がいると客観的に判断され、自分でも納得できるのが一番大事です。挑戦した甲斐のある適切な努力ができていれば、成績はついてきてくれると思っています」
自分史上最高の自分を目指し、小原さんは今日もトレーニングに励んでいる。
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマー・スタイル・アワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
取材:にしかわ花 写真提供:小原三三代
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用も行うマルチライター。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。
-サマスタ選手, コンテスト
-サマースタイルアワード, SSA