神経系ピーキングプログラムの活用と「いかに軽く挙がる感覚があるか」を重視

加藤選手はかなり脚を開いたワイドスタンスでデッドリフトを行う。自身の四肢の長さや関節の可動域を考慮した上で最適なフォームを追い求めた方が良いと語る
私のデッドリフト(床引きワイド)の自己ベストは、2019年9月に記録した252.5㎏×8レップです(ラバーマットを使用した状態)。この記録は、パワーリフティングの神経系のピーキングを取り入れたことで達成できました。
記録の推移を振り返ると、体操競技を引退して2〜3年は200㎏付近までスムーズに伸びましたが、220㎏あたりで一度停滞を経験しました。そこで、パワーリフターである双子の兄から教えを乞い、ピーキングを導入したのです。
当初は「目標重量の70%から開始し、8週間かけて神経系をピークに持っていくプログラム」から始めましたが、試行錯誤の結果、私には5週間というサイクルが最適だと分かりました。もし重量が伸び悩んでいる方がいれば、こうした方法による停滞打破は非常に有効な一手になるはずです。

ただし、ボディビルダーは「筋肉の形やバランス」も重視しなければなりません。BIG3以外の種目や弱点部位のトレーニングとの兼ね合いを考え、慎重にボリュームを配分する必要があります。
また、自身の骨格に合ったフォームを見つけることも不可欠です。私の場合、腕が少し長いというデッドリフトにおいて有利な特性がありました。そこに股関節の柔軟性を生かしたワイドスタンス(スモウスタイル)を組み合わせることで、重心とバーを近づけ、腰への負担を抑えつつ下肢の出力を最大化させることができました。

「いかに軽く挙がる感覚があるか」という主観的な指標は、バイオメカニクス的にロスが少ない動きができている証拠です。四肢の長さや関節の可動域を考慮し、自分にとっての最適解を磨き上げることが、怪我の防止と記録更新への最短距離となります。

かとう・なおゆき
1981年生まれ、埼玉県出身。身長161㎝。2015年よりゴールドジムに勤務。現在はアドバンストレーナーとして、トレーニングサポートにあたっている。2019年日本男子ボディビル選手権3位、2025年日本男子ボディビル選手権10位
文:舟橋位於大会写真:中原義史トレーニング写真:北岡一浩 Web構成:中村聡美











