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メリハリボディの条件『PFCバランス』ってなに?【桑原流・ボディメイキングの鉄則】

女性向けのコンテスト機会の増大やトレーニング環境の充実により、女性の美的感覚はここ数年で劇的に変化しました。今は女性も筋肉をつけて美しくなる時代。

今回は女性のための筋肥大をテーマに話を進めていく。

<本記事の内容>

女性でも筋肉をつけることが美しいという時代の背景

筋肉のつき方は男女差はあるものの年齢は関係ない

栄養で意識すべきこと

女性でも筋肉をつけることが美しいという時代の背景

この数年、時代の流れもあると思いますが、女性の美的感覚や美に対するスタンダードが大分変わってきたと思います。
数年前まではいわゆるファッション誌のモデルさんが女性の憧れの対象で、細い脚や体、要は痩せている体が女性にとって良いという風潮がありました。
でも当時、私が指導していたミスワールドの日本代表の選手からのニーズはそれとは全然違っていて、むしろもっと筋肉をつけたいということでした。 大きいところは大きく、締めるところは締めたい。引き締めるところは引き締めつつ、筋肉も欲しいということでした。彼女からのリクエストはそれがすなわち、ミスワールドやミスユニバースにおける世界的な美のスタンダードだったからでしょう。

そして今、フィジーク、ビキニ、ベストボディなど女性にとってもボディビル以外のコンテストがどんどん一般的になっています。ただ単に痩せていればいいのではなく、ある程度は筋肉もついてないと美的に評価されないようになったんだな、と。まさに時代が、特に女性に対する美のスタンダードが大分変わってきたんじゃないかなと思います。

この変化の要因は、先ほども話したようにコンテストも含めて、一般的な女性も“見る”だけじゃなく“見られる”側になるようになったことも大きいでしょうね。またゴールドジムを筆頭に本格的なジムの普及や、24時間制のフィットネスジムの増加など、トレーニングそのものが身近になったことも大きな要因だと思います。「トレーニングする」ことのハードルが下がって身近になり、女性でもトレーニングができる環境がこの数年で劇的に変わったと思います。

筋肉のつき方は男女差はあるものの年齢は関係ない

女性と男性の筋肉をつける上での違いは、女性の方が圧倒的に男性ホルモンの量が少ないことですね。女性にももちろん男性ホルモンはあるのですが、男性と比べると量が少ないので、単純に男性より筋肉は大きくなりにくいです。でも言い方を変えれば女性にも男性ホルモンはあるわけで、ある一定の環境さえ整えてあげれば、必ず筋肉はつきます。

それともうひとつ、これは男女問わずですが、実は筋肉をつけることに年齢はあまり関係ありません。例えば、お肌のたるみやしわといった類のものは年齢に対してだんだんと抗えなくなっていきますが、筋肉の場合はつきやすい・つきにくいの効率はさておき、女性でも年齢を重ねても必ずつきます。ですから根本的に自分の体型を含めて美しい体を目指すのであれば、やはり筋肉は意識すべきでしょう。

ここからは具体的に女性が筋肉をつける上でのポイントを説明したいと思います。

栄養で意識すべきこと

まずトレーニングを行う上での大前提として、トレーニング以外の部分になるのですが、しっかりと栄養を意識しなければなりません。
栄養で意識すべきことは2つ、充足度バランスです。

1.充足度

現代は飽食の時代が故に、栄養素の過剰摂取という、飢餓の時代では考えられないような状況が起きています。そのため、例えば糖質制限によるダイエットという発想が生まれたりと、常に栄養を摂りすぎているという感覚が一般的にあるかもしれません。
しかし栄養の充足度を一日を通じて見ると、栄養の充足度が足りていない時間帯も意外にもたくさんあるのです。その代表的なものが朝(午前中)です。晩御飯を食べて一晩寝て、もし何らかの理由で朝ごはんを抜くようなことがあれば、前日の晩御飯から昼御飯までものすごく時間が空いてしまい、この時間は栄養が充足されていないことになります。
一日トータルで見れば栄養の充足度が足りていたとしても、細かく時間を区切ってみれば、栄養が足りていない時間帯があることが分かると思います。
逆に充足度が足りすぎて、栄養を過剰に摂りすぎやすい時間帯もあります。典型的な時間帯は夜でしょう。どうしても現代社会は夜型であり、晩御飯を食べ過ぎる傾向があるので、夜は食事のボリュームを絞った方がいいケースが大半です。
このようにざっくりと朝は栄養不足で、夜は栄養過多という傾向があるのですが、これはみなさんの生活リズムで変わってくると思います。
ですから一日の中の単位時間、大きく分けるなら朝・昼・晩、朝・昼・トレーニング・晩など、一日を何分割かして、それぞれ分割したブロックごとに充足度が足りているか、あるいは過剰じゃないかを意識することがポイントですね。

これは細かいテクニックになるのですが、多くのスポーツ選手やアスリートは試合の3時間前に固形物の摂取をストップし、3時間以上は何も食べない時間を作らないようにしています。
食事と食事の間の時間が空きそうな場合は、ミールリプレイスメントやエナジージェルのようなサプリメントを活用するのもありですね。

 

2.バランス

たくさんある栄養素の中で、それを大別していくと軸になるのは3大栄養素の糖質、脂質、タンパク質です。
この3つはそれぞれに役割を持っていて、簡単に説明すると糖質は速攻型のエネルギー、脂質は貯蓄型あるいは持続型のエネルギーで、タンパク質は体の材料になります。
この役割をより効率よく発揮するためのバランスがあり、それはエネルギー比にして糖質が一日の50~60%脂質が25%以下タンパク質が15%以上というもので、これが所謂、PFCバランス(エネルギー産生栄養素バランス)です。

このPFCバランスを整えていると、それぞれの栄養素が体の中で最も活躍しやすい環境となり、それが代謝を高めるということになります。PFCバランスを整えることが大前提なのですが、目的に応じて意図的にPFCバランスを崩すことがあります。

例えば糖質制限ダイエットはエネルギーの主役である糖質を入れず、本来貯蓄型の脂質を速攻型のエネルギーとして使うことで脂肪を減らすというやり方です。
これはこれで一つのやり方ではあるのですが、今回のように筋肉をつけることを考えているのであれば、PFCバランスをしっかり整えることで代謝の高い、それぞれの栄養素が本来の力を発揮できる状態にしておくことをおススメします。

筋肥大という言葉を使うと、たくさん食べよう、カロリーをたくさん摂ろうという発想になる人が多いですが、ただ食べる量を増やすだけでなく、どういうバランスを摂って食べるかが重要なのです。PFCバランスが整った食事を長く続けていれば、代謝のいい体になり、いざPFCバランスを崩して体重を落とそうとしたときにもスムーズに体重が落ちます。そういったことも含めてPFCバランスの整った食事を摂ることが大切です。

改めて総括すると栄養の充足度とバランスという二本柱を、自分のライフスタイルに合わせて照らし合わせる。これが筋肉を大きくする栄養面でのポイントです。

 

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Woman'sSHAPE vol.17 掲載  Illustration : JUNKO

桑原 弘樹(くわばら ひろき)
桑原塾 主宰。
スポーツサプリメント『パワープロダクション』の産みの親。
NESTA JAPAN(全米エクササイズ&トレーナー協会)PDA。武藤敬司氏率いるW-1(レッスルワン)コンディショニングコーチ。国内外のトップアスリートに対して独自のコンディショニング指導を行い、各種スポーツ誌への執筆や講演会を実施するなど多方面にわたって活動中。




佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手

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