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「uFitトゥース!」オードリー春日も愛用のケアブランド作った筋肉社長の情熱

ひと区画歩けば目にするようになったフィットネスジム。日本でトレーニングの重要性が浸透しつつある今、健康意識の増進に伴いボディケア市場もまた活性化を見せている。

【写真】自らも筋トレに励む林慧亮さん

様々なケアグッズが台頭するなか、タレントでありボディビルダーとしても活躍するオードリー春日俊彰さんと、元卓球プロ選手で混合ダブルス金メダリストの水谷隼さんが愛用者として話題となった新興メーカーがある。

製品考案のきっかけは社員の食生活

TVCM『uFitトゥース!』シリーズが全国放送されるなど、発足から4年で一大ケアブランドに急成長を遂げた『uFit』。その生みの親である、株式会社MAKERS代表の林慧亮(はやし・けいすけ/31)さんが最初の製品を思いたったのは、ふとしたことだった。

「弊社のラインナップのうち、最初に着手したのは“完全栄養食”なのですが、これはとある社員の不摂生をなんとかしてあげたいと思ったことがきっかけです。毎日、菓子パンとエナジードリンクで過ごしている彼を見て、簡易に摂取できて栄養を完備した食品があればいいのにと思いました」

林さんは当時、本業としていたマーケティング業のほか、パーソナルトレーナーとして人々の健康に携わってきた。現在、YouTubeで配信するトレーニングチャンネル登録者は35万人近くにのぼる。“健康”というものに興味をもったのは、自身が高校・大学とバスケットボールでプロを目指していたことから、青年期より肉体について考える機会が多かったからだという。

「コンサルタントとして、パーソナルトレーナーとしてと多様に人と関わるなかで、やはり自分は人の身体に関わる仕事が好きだということ、健康であることは豊かな人生を送るための根幹だという思いが強くなりました。そこで、健康という分野に対して自分が社会に最も貢献できることは何かを考えたとき、個人へのサービス提供ではなく、もっと多くの人に関与できるケア製品の開発・販売をしようと思いつきました」

未知の分野へゼロからのスタート

完全栄養食の次に展開することとなったマッサージガンの開発にあたり、のちに企業方針となった「どんなこともまず自分たちでやってみよう」という社訓が生まれた出来事があった。先駆者にアドバイスを求めた際、『一度、製品に関する全ての工程を経験したほうがいい』と言われたのが発端だった。

「部品の発注・開発を海外企業と行うと決めたころでした。通常、海外との交渉は輸入代行を通すのがどのメーカーでも常識です。ただ、僕はそのアドバイスをむげにするわけにもいかず、言葉どおりにやり遂げようとしました。想像以上の過酷さでした。手配、関税手続きなど一から手探りで進め、届いた際にはX線検査にも立ち会いました。なかでも強烈に記憶に残っているのは、何百という荷物を手積みで1人で運搬したことです。なんとか成功はしましたが、本当にしんどかったです。でも、そのおかげで未知の分野に対しても『きっとなんとかできるだろう』というチャレンジ精神が培われました。これが現在の経営方針の礎です」

果敢な製品展開の一歩目は、愚直ともいえる素直さだった。

トップアスリートに支持される製品への挑戦

当時、ボディケア用品は玉石混交で粗悪な出来のものも多かったという。そこで林さんは試作品を様々な分野のトップスポーツアスリートへ送り、忌憚のない意見を聞いた。

「たとえばマッサージガンひとつにしても、押し込んだときの振動の強さ、疲れず持ち続けやすい重心はどこかなど、最も肉体を酷使するプロフェッショナルに細かくヒアリングを重ねて改良を続けました。本当に良いと思ってもらえるものを、自信を持って出したかったからです」

自分自身が使うだけでなく、家族に薦めたくなる商品であること。それが『uFit』のコンセプトだ。その実現は、意外な反響によって叶うこととなった。

「主要購買層は20代から40代のアクティブに運動する方達なのですが、次第に10代や80代といった方達から使用者アンケートが届くようになりました。経緯を聞くと、『親や子どもに薦められて・プレゼントされて』ということでした。大切な人へこそ薦めたくなる製品にというコンセプトが生きて顧客に届いているのだとわかり、とてもうれしかったです」

現在も、『uFit』は空手やサッカーやカヌーといった15種目のスポーツアスリートや、川崎フロンターレやジュビロ磐田を始めとしたJリーグやBリーグなどスポーツチームへのスポンサードを通じ、製品改良を続けている。『uFit』が目指す未来像を聞いた。

「ケア・コンディショニングの重要性を、もっと一般に広めていきたいと思っています。日本は健康保険が堅実であるゆえに、予防という概念がまだ一般的ではありません。結果、実寿命と健康寿命に10歳もの乖離があります。その差を少しでも縮めたい。健康に不可欠な運動を気持ちよく安全に続けるためのケアの大切さをより周知し、生活のパフォーマンス向上に弊社の製品を役立ててもらいたいです」

ただ生きるのではなく、健康に生き続けるということ。長寿大国である日本の抱える大きな課題だ。林さんはその課題をともに乗り越えるパートナーでありたいという願いを、今日も黙々と形にし続けている。

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取材:にしかわ花 写真提供:林慧亮

執筆者:にしかわ花
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用も行うマルチライター。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。

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