ウエイトトレーニング専門雑誌『IRONMAN』の人気連載「マッスルキャンプ」。世界チャンピオンの鈴木雅選手が大腿四頭筋種目を徹底解説(2017年発売のIRONMANより)。
取材・文:藤本かずまさ 撮影:北岡一浩
プレワークアウト
大腿四頭筋のトレーニング前のウォーミングアップとして実施するといい
インナーサイ
骨盤を立て、背筋を伸ばした状態でシートに座り、ハンドルを中指、人差し指で握る。パットが当たる部分は力まずに、中殿筋などお尻の外側の筋肉の力も抜く。スタートでは前を向き、股関節の内側を締めたときに顎を引く

・お尻の高さ、膝の位置を調整する
・背中を丸めないよう注意

座った際にお尻の位置が低く膝の角度が90度以上になるマシンの場合は、お尻にプレートなどを敷いて、膝の角度がなるべく90 度になるように調整。また、膝の内側にパットが当たると力点が膝周りになり、中殿筋などお尻の外側の筋肉が使われやすくなる。パットが内腿あたりにくるよう、調整用のシートを背部にセット。お尻の後ろに置くと骨盤が後傾しやすくなるので、下はややスペースを空ける

インナーサイは意外と背中を丸めやすいエクササイズ。前傾しすぎず、後傾もしすぎないニュートラルな位置で動作を行うこと
アウターサイ
シートに骨盤を立てて、背筋を伸ばした状態で座る。ハンドルは親指、人差し指で握ると背中を丸めやすくなるため、小指、薬指、中指で握る。動作では脚の側面の力を抜いて、お尻の筋肉でパットを動かすように意識。脚を開いたときには顎を上げる

位置調整が重要

調整用シートで背もたれの位置を調整し、背筋を伸ばせる状態にする。アウターサイの目的は、中殿筋、さらには梨状筋などのインナーマッスルを動かしてあげることにある。それらの筋肉は股関節が伸長したときに働くため、なるべく骨盤は立てるようにする
シーテッドカーフレイズ
ふとももの中心部にパットを乗せ、母指球がフットプレートの中央にくる位置に足を置く。鈴木選手はシングルレッグで行うが、両足で実施する場合は肩幅くらいの足幅で。足の裏の力を抜いてカカトを下ろし、上げたときには少し体を伸ばして顎を上げる。ヒラメ筋は遅筋繊維が多いので、あまり速くは動かさず、一定のスピードで動作を行うこと。

・パットを乗せる位置に注意
・足の裏の力を抜く

膝のあたりにパットがくると大腿四頭筋に力が入り、腓腹筋で押してしまう。また足の裏に力が入りっぱなしの状態ではカカトを下ろせない。パットはふともも中心部の、リラックスして保持できる位置に。ハンドルは親指、人差し指で強く握ると上体が丸くなってしまうので、小指、薬指、中指中心で握る
大腿四頭筋
ここから大腿四頭筋の種目となる。鈴木選手は、自身の弱点という大腿直筋に負荷を乗せやすいレッグエクステンションを1 種目めに持ってきているが、初心者や競技スポーツの補強など、基本的な筋力強化を目的とする場合は、全身運動でもあるスクワットから入るのがおすすめ
レッグエクステンション
・骨盤を立てて(背筋を伸ばして)腹圧を入られるポイントに座る
・ハンドルは小指、薬指、中指を引っかけるようにして持つ。鈴木選手の場合は、ハンドルまで手を届かせようとすると上体が丸まるため、 背もたれのシートを持つことで体を安定させている
・パットが当たる力点分部の力は抜く。つま先を立てると、力点から力を抜きやすくなる。力点に力を入れると、その近くの関節部分、レッグエクステンションの場合は膝関節に負荷がかかる。力点部分の力を抜くことで、体幹部の関節がしっかりと動くようになる
・初動で力点に力を入れてしまわないようにする ため、一度脚を上げて、軽く緩めてからレップに入る。そうすることで大腿直筋に負荷が乗る
・膝からではなく、股関節から動かす。なるべくパットを意識せず、股関節でテンポよく動かす

・膝関節ではなく股関節から動かす
・つま先を立てて力点部分の力を抜く
・背筋を伸ばして上体を丸めないように

座る位置
座る位置が後ろ寄りだと背中が丸まり、前寄りだと動作の際には膝から動かそうとしてしまう。腹圧の入るポイントに座ること

視線とハンドル
無理にハンドルを握ろうとすると背中が丸まって視線が下がり、膝中心の動きになってしまう

STRIVE マシンのカム調整
①中間、②初動、③終動とカムで負荷のピークを調整できるSTRIVE(現PRIME)マシンを使う場合は、カムを「①と③の間の、やや①寄り」にセットするのが鈴木選手のおすすめ。パット自体の重さもあるため、①ではその分の負荷が初動にかかる。初動から終動までムラなく負荷をかけるためには「①と③の間の、やや①寄り」あたりがちょうどよい
レッグプレス
・大腿直筋に効かせたい場合は、肩幅と足幅の中間くらいのスタンスで広すぎると大腿筋膜張筋や内転筋、狭すぎると膝から動くので内側広筋、外側広筋に刺激がいきやすくなる
・足を置く位置は下げたときにちゃんと膝も股関節も曲げられ、腰が浮かない位置に
・骨盤をしっかりと立てて背筋を伸ばし、顔を上に向けた状態で行うとハムストリングスと大腿直筋に効きやすくなる鈴木選手の場合は顔を上げた状態ではハムストリングスに効きやすくなるので、視線を前に向けて行っている
・足の指を開くようにしておくと、足が背屈気味になる。そうすることで股関節から連動しやすくなる

・肩幅と足幅の中間くらいのスタンスで
・骨盤をしっかりと立てて背筋を伸ばし
・足の指を開いた状態で押す

足を置く位置
ハムストリングスに効かせるために上のほうに足を置く人も多いが、腰が浮きやすくなり、また可動域も狭くなる。逆に置く位置が下すぎると、ほぼ膝のみで曲げるような動作になってしまう。骨盤をしっかりと立てた状態で膝関節、股関節を曲げられる位置に

ハンドルの握り方
親指、人差し指で強く握ると背中が丸まり、膝から動いて内側広筋と外側広筋に刺激がいく。小指、薬指、中指を引っかけるようにしてハンドルを持つと、骨盤が立てられ背筋が伸びる

お尻を浮かせない
動作中、お尻は浮かせないように。背もたれの角度が低すぎるとお尻が浮きやすくなってしまう。
逆に高くしすぎると、股関節が屈曲しやすくなって可動域が狭くなる

つま先について
プレス系、スクワット系種目は足の指を開いて行う。そうすることで自然に足首が背屈し、カカトで負荷を支える動作になる。大腿直筋を使う感覚が分かりづらいという人はぜひ試してほしい
スミスマシンスクワット
・バーはハイバーで担ぐ
・スタンスはレッグプレスと同様、肩幅と足幅の中間くらい
・「しゃがむ」ではなく「股関節から折る」という意識で動作を行う
・股関節から稼働させて大腿直筋に刺激を与えるためには、バーに寄りかからないようにする。寄りかかって動作に入ると、膝周りの筋肉に効きやすくなる

・バーはハイバーで上半身は立てて行う
・膝ではなく股関節から動かしていく

バーを担ぐ位置とグリップ
上体を立てるためにハイバーで担ぐ。グリップは、サムアラウンドだと肩が内旋し上体が丸くなりがちになる。なるべくサムレスで行うこと

スタンスについて
足の位置は垂直よりも指1、2本分前に。腰を引く動作になるので少し前にはなるものの、あくまでバーに寄りかからない位置で
スクワット
・力を発揮しやすい楽なスタンスで立つ
・骨盤を軽く後傾させ、楽に構える
・動作中の骨盤の角度は変えない
・担ぎはローバーでもハイバーでもOK

・バーは強くは握らない
・動作中、骨盤の角度は変えない
・足幅も担ぎも、やりやすい位置で

スタンスについて
自然にしゃがむことができて力の入りやすいスタンスで立つこと。力を発揮できないフォームで行うとケガをする危険性もある

バーを担ぐ位置とグリップ
力まないように楽に構える。スクワットが苦手な人は上半身が力みがちになる傾向があり、そのため重心の位置が高くなってしまう。グリップは、強く握ると体幹部分が動かしにくくなるため軽めに
ホリゾンタル(水平)レッグプレス
・軌道がやや円運動を描くので、通常のレッグプレスよりも股関節から動かしやすい
・骨盤を立てて、まっすぐ前を見る
・足の指はなるべく開く
・ロックせずにテンポよく動かす

・背中が丸まらないように視線を前に
・つま先に力を入れず、カカトで押すようにする

視線
視線を下げると背中が丸まってしまうので、視線は前に。ハンドルもレッグプレスと同様に小指、薬指、中指を引っかけるようにして持つ

つま先に力を入れない
通常のレッグプレス同様、つま先には力を入れず、カカトで押す。45 度のレッグプレスよりも股関節中心で動作する感覚がつかみやすく、大腿直筋に効かせやすい
鈴木 雅
1980年12月4日生まれ。福島県出身。身長167cm、体重80kg ~83kg。株式会社THINKフィットネス勤務。ゴールドジム事業部、トレーニング研究所所長。2004年にボディビルコンテストに初出場。翌2005年、デビュー2年目にして東京選手権大会で優勝。2010年からJBBF日本選手権で優勝を重ね、2018年に9連覇を達成。2016年にはアーノルドクラシック・アマチュア選手権80㎏級、世界選手権80㎏級と2つの世界大会でも優勝を果たした。DMM オンラインサロン“ 鈴木雅塾”は好評を博している。
執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。
前週の内容はこちら
▶ボディビル世界王者が解説「大切なのは種目の順番!大腿四頭筋」













