競技アスリートに「ケーブルトレーニング」が効果的な理由

スポーツ選手がよく使うトレーニング器具は「フリーウエイト」と「ケーブルマシン」の2つになります。フリーウエイトで重力を最大限に利用し、ケーブルマシンで慣性をつくり出します。では、慣性をつくり出すとはいったいどういうことでしょうか。

文:井上大輔 <NPO法人 日本ファンクショナルトレーニング協会>

おすすめ記事  【疑問】ボディビルダーの筋肉は使えないって本当?

アスリートに必要な、慣性を生み出すケーブルトレーニング

フリーウエイトを用いたトレーニングの負荷は重力に従い真下の方向にかかります。ボディメイクが目標の人は重力を利用して筋肉に負荷をかけ、筋肉を肥大させます。また、スポーツ選手など体の機能性を高めたい人は、自身の体重に対してバーベルなどの重りを使ってわざと体重を重くするように仕向け、それに負けないように体を動かすことを目標にします。たとえると「重力の大きい星に行きスクワットをやりこんだあと、重力の小さい地球に戻ると体が軽く動かせるようになる」という理屈です。しかし、スポーツには重力以外にも負荷がかかります。それが「慣性」です。

例えばダッシュをした状態から急にストップするとき、重力の他に、進行方向への慣性がかかります。電車が急停車したとき、進行方向へ飛ばされそうになるのと同じです。スポーツは激しく動いている以上、多くの場面で慣性が生まれてきます。そして急に止まるためには、慣性に打ち勝たないとならないのです。ではその慣性は筋力トレーニングを行う上で、どのように生じさせればよいのでしょうか? その一つの答えがケーブルのマシンを使うことです。

ケーブルマシンのカムを下の位置に設定し、写真のようにスプリットスクワットを行うことで、進行方向と重力の両方のベクトルに負荷をかけることができます。(写真1−1)また、このタイプの負荷のトレーニングを行うことは、一般のトレーニーにも利点があります。それはこのタイプの負荷がかかることで、お尻を後ろに引くことが容易になるということです。前回の連載にも書いたように、お尻を後ろに引くことで、股関節の「ヒンジ(蝶番)」が形成され、スクワットやデッドリフト、またはスポーツにおける「アスレチックベースポジション」(写真1−2)の姿勢が取りやすくなるのです。

ケーブルのカムを下にすることで、慣性と重力の両方の負荷
がかかります。

股関節のヒンジが必要なアスレチックベースポジション

今回はスポーツの減速のトレーニングにもなり、ヒンジの形成にも効果を発揮するケーブルフロントスクワットについて解説していきましょう。

ケーブルフロントスクワットの効用

股関節の伸展力の強化
殿筋、ハムストリング、体幹の強化
ヒンジ動作の向上
スポーツにおける減速動作の向上

ケーブルフロントスクワットの行い方

ケーブルフロントスクワットのスタートポジション

写真のようにケーブルのカムを下の位置にセッティングし、ハングポジションで固定します。(写真2 −1)そこから殿部を後ろに引きながらしゃがんでいきます。(写真2 −2)そのとき体幹を潰そうとする負荷がかかるので、体幹はニュートラルポジション(中立位置)を維持するように行います。

ケーブルフロントスクワットのフィニッシュポジション

リグレッション(原点回帰)とプログレッション(エクササイズの発展)

ケーブルフロントスクワットのリグレッション

①ケーブルRDL(写真3 −1)

ケーブルRDL(リグレッション)

ケーブルを用いて両足でのRDL(ルーマニアンデッドリフト)を行います。注意点はお尻を後ろに突き出し、体幹をまっすぐに維持することです。ハングポジションで行うより、体幹への負荷が軽減されます。

ケーブルフロントスクワットのプログレッション

①オーバーヘッドケーブル

オーバーヘッドケーブルスクワット(プログレッション)

フロントスクワット(写真3−2)ケーブルを持ち、肩関節を屈曲した状態(バンザイの状態)でスクワットを行います。このエクササイズは、体幹に加え、肩関節の安定性も必要とされます。体全体の固定力、特に後方についている筋肉が協調して動きますので、機能的であり、行うことが難しいエクササイズになります。スポーツ選手がよく使うトレーニング器具は「フリーウエイト」と「ケーブルマシン」の2つになります。フリーウエイトで重力を最大限に利用し、ケーブルマシンで慣性をつくり出します。ケーブルがない場合はチューブで代用もできますのでスポーツを行っている方はぜひチャレンジしてください。

おすすめ記事 50歳でムキムキに!たった3カ月の筋トレで人生を変えた男【筋トレで大変身!ビフォーアフター】

井上 大輔(いのうえ・だいすけ)
兵庫県神戸市出身。滋慶学園大阪ハイテクノロジー専門学校スポーツ科学科トレーニング理論実習講師/整体&パーソナルトレーニングジムを経営(兵庫県明石市)/ NSCACSCS/NPO 法人JFTA 理事長/17歳よりトレーニング開始。大学卒業後、スポーツクラブに就職、スポーツコンサルティング事業にかかわる。同時に操整体トレーナー学院学長松下邦義氏に師事、操整体について学ぶ。/2006年NBBF 全日本選手権 第6位。
NPO法人 日本ファンクショナルトレーニング協会 TEL:078-707-3111

|ビフォーアフター関連の記事

 

ピックアップ記事

関連記事一覧