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最強握力王がCoC#4を閉じていた!超人的な筋肉を持つ新沼大樹

日本握力界の第一人者の新沼大樹氏が「キャプテンズ・オブ・クラッシュグリッパー(CoC)」の#4を閉じられるようになったという噂を聞き、いてもたってもいられず新沼大樹氏のもとを訪ねた。CoC#4を閉じるには、166㎏相当の握力が必要とされ、世界で公式に5人しか成功していない。本当に閉じることができるのか? そして新沼氏は突然の訪問にもかかわらず、カメラの目の前で本当にCoC#4を閉じてみせたのだ! 昨年から#4をコンスタントに閉じられるようになったという新沼氏は現在、万人向けの握力強化法を模索しているという。はたしてそれは何なのか――。(IRONMAN2014年8月号より修正引用)

取材:IM編集部 撮影:t_SAKUMA

►新沼氏が当時行っていた超オススメのサイクルトレーニング法を公開!

~万人を強くする方法がある~

日本の握力王、新沼大樹が取材陣の目の前でキャプテンズ・オブ・クラッシュグリッパー(CoC)#4を閉じてみせた。しかも閉じた状態で5秒ほどキープするほど余裕があった。新沼氏によると、#4は2年ほど前から閉じられる感触はあり、はっきり閉じたと確信できたのは昨年春のことだという。

「友人にスカイプの映像で閉じた状態を確認してもらいました。そこからは、#4はピーキングしたらほぼ閉じられるようになりました。IRONMIND社の公式ルールではまだまだですが」
2005年のルール改正により、カードセット(※1)で閉じなければいけないという決まりになり、そこから#3の成功者は激減した。#4にいたっては新ルールになってからの認定者は一人もいない。いつか世界で6人目の認定にトライしたいという新沼氏が、この1年で伸びた理由を教えてくれた。

「万人が強くなる練習方法は何なんだろうと考えたんです。握力練習は、ウエイトトレーニングをしている方から見ると特殊なものという印象が強いです。私も昔はそういう気持ちがあり、いろいろな練習を試したのですが、何をやっても伸びない時期がありました。また最初から‟自分は手が小さいから”とか‟指の腱が弱いから”と、自分なりのやり方で練習をする人も伸びない傾向があるということにも気付きました。まずは力を付けるためのトレーニング法をシンプルにやるのがいいのではと思ったんです。それで行きついたのがパワーリフティングのサイクルトレーニングです」

サイクルトレーニングは期間を決めて重量を増減させることで、計画的に重量を伸ばしていくという方法である。新沼氏は5~6年前から少しずつサイクルトレーニングを試してきたという。

「CoCはバーベルのように小刻みに強度設定ができません。ベンチプレスで例えると、150㎏と200㎏で固定されたバーベルしかないようなものです。ですからCoC#3や3.5はシングルレップ用と位置づけ、レップスを行ういわゆる‟トレーニング”では秘密兵器を使います」

ここで新沼氏が部屋の隅から出してくれたのが「Xグリッパー」という一見プレートツリーのような形状のグリップ鍛錬器具である。プレートで負荷を調整し、両手で握ってグリップ同士をくっつけるというシンプルなマシンである。
「これは『アート工房K(※2)』サイトで購入できる器具です。これをメイン種目として、8レップスを2セットやり、次回のメイン重量をつけてメモリセットを1セット行います。補助種目はいろいろやりますが、#4を試すようなシングルレップはまずやりません。そもそも握力だけを強くしようとは思っていないのです。全身を鍛えてボディビルダーのように均整がとれていて握力が強烈に強い、というのが私の理想です」

3分割で3日連続行い、1日休むというのが当時(2014年)の新沼氏のスケジュールである。握力を鍛えるのは最短でも4日に一度のみ。こうすることで腱の疲労をとってサイクル後半のピークを作るという。

「20代前半は毎日CoCを100回握るとか、シングルレップもよくやっていましたが、腱鞘炎になって1カ月休んで振り出しに戻ることもありました。今は腱の調子もコントロールできているし、不思議なことにサイクル後半でも楽に感じるんです。伸び悩んでいる方は、だまされたと思って一度サイクルトレーニングをやってみてほしいです。私はXグリッパーで現在127.5㎏×8レップがベストですが、145㎏×8レップできるようになれば認定ルールで閉じられると思います」

新沼氏がサイクルトレーニングを選んだのは、固定観念を覆したいという思いもあるそうだ。

「握力は遺伝的な要素が強く、鍛え始めたところから2倍、3倍と強くなることはないといわれています。はたして本当にそうなのだろうかと思ったのです。指の骨や腱に対しての筋肉の割合など、大筋群と比較することはナンセンスかもしれませんが、#4を閉じるには、少なくとも一般成人男性の2倍以上の握力が必要です。だからこそパワーリフティングの練習方法を試すことは価値があると思ったのです」

※1:カードセット→CoCグリッパー認定時に使用するIDカードの狭い方をグリッパーの間に差し込んでからスタートして閉じるセットのこと。IDカードはクレジットカードと同じ幅であり、グリッパーがほぼ開いた状態からのスタートとなるため、もう片方の手のサポートできる範囲が大きく限定される。

※2:アート工房K オリジナルトレーニング器具販売で握力界やアームレスラーのあいだで知れ渡っている専門ショップ。オリジナル器具の特注品発注にも応じてもらえる。

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