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「高重量の使用は筋肥大に結び付く」加藤直之のベンチプレス講座

今回のテーマはベンチプレス。恐らく、トレーニーに最も人気のある種目なのではないだろうか。ジム内で、順番待ちの列ができることも珍しくない。だが、肩や手首のケガをしやすい種目でもあるのも事実。正しいフォームで、効果的にできているだろうか? この機会に、基礎から見直しをしよう。(IRONMAN2018年7月号から引用)

文:木村卓二 撮影:みつる、北岡一浩

高重量を扱うことは筋力向上につながり、それが筋肥大にも結び付く

大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋をターゲットとするベンチプレスですが、BIG3の中では、楽な種目と言えるかもしれません。他の2種目と異なり、股関節の屈曲〜伸展が伴わないため、呼吸が激しく乱れることがありません。結果が出やすいことも、人気の理由かもしれませんね。私も好きな種目です。
特に、若い方や初心者の方であれば、適正なフォームを身につけていただいた上で重さにこだわった方がいいと思います。高重量を扱うことは、筋力向上につながりますし、それが筋肥大にも結び付くからです。ただし、ケガをしないように注意しましょう。
動作範囲は、肘を伸ばし構えた姿勢から、バーが胸につき、再び構えた姿勢に戻るまでです。
今回は、お尻をベンチにつけての方法を説明しますが、お尻を上げるフォームとは、骨盤の位置が変わります。お尻をつけると、つま先から頭の方向に力がかかる形になりますが、この力で体が滑らないよう、肩甲骨を台に押し付けるようにする必要があります。
胸を張ったまま、あごを引くように頭部を前屈させると滑りにくくなり、姿勢が安定します。つま先で床を蹴りながら頭の方向にかける力と、あごを使い肩甲骨を押し付ける力を合わせて、バーベルを上げる方向に働かせます。

➀ベンチプレスの基本

肩甲骨の内転を保ちつつ、肩の真上にベーベルがくるように肘が伸び切るまで上げる。バーベルを下ろすのは、上腕が体幹に対して70 ~ 80 度あたりが目安。そのため、下ろす位置は、必ずしも体のアーチの1番高い位置にはならない。45 度ぐらい(体の下側)に下ろすと、胸へのストレッチがかかりにくく、また動作距離は長くなる。効かせつつ距離を短く、安全にストレッチをかけられる位置に下ろす。

◆手の幅

上腕を水平にし、肘を直角にした位置で握る。中指か薬指がバーベルの81㎝ラインにかかる位置が目安。広めに持つ場合は、81㎝ラインに人差し指をかける。

◆体の位置

挙上して、バーベルがラックにギリギリ当たらない位置。遠すぎても近すぎてもダメ、ラックアップしやすい位置を探る。

◆セーフティーバーの高さ設定

胸を張った状態で、胸より下、鼻より上の位置に調節する。

◆握り方

ハの字に手首を回内させ、橈骨の真上にバーベルを乗せる。手のひらを垂直にすると、動きが生じ、集中できなくなる。親指、人差し指、中指の3本でしっかりと握る。

◆アーチのつくり方(その1)

ブリッジを作るとき、肩甲骨が下がっていることが大事(下制)。下背部に拳が1つ入るぐらいのブリッジをつくる。

◆アーチのつくり方(その2)

肩甲骨を内転させ、内に寄せる。背中を緊張させて土台をつくり安定させ、大胸筋を働かせる。

◆NGポイント

肩が上がり、脇が開く位置(90 度)に下ろすと、肩をケガしやすくなる。 また、親指を巻かないサムレスグリップは危険。

次回は➤➤➤②大胸筋下部&上部、③補助種目を解説!


加藤直之(かとう・なおゆき)1981年生まれ、埼玉県出身。身長161㎝、体重69~71kg(オン)74~75kg(オフ)。トレーニング以外の趣味:子どもの寝顔を見ること。「親バカです(笑)」
主な戦績:
2005年千葉県ボディビル選手権優勝/2008年関東クラス別選手権75kg級優勝/2011年関東ボディビル選手権優勝/2012年ジャパンオープン選手権優勝/2013年日本選手権9位/2014年日本選手権11位、日本クラス別選手権70kg級優勝/2019年日本選手権3位、日本クラス別選手権70kg級3位、2021年日本クラス別選手権優勝、日本選手権4位、IFBB世界選手権40ー44歳80㎏以下級3位


執筆者:木村卓二
TVディレクター、記者として活動。複数言語に通じ、「究極のトレーニング」を求め、研究と取材に勤しむ。有資格パーソナルトレーナーとして、格闘家などへの指導も行う。

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