2018年、世界マスターズメンズフィジーク50歳超級を制した上中一司選手が本格的にトレーニングを始めるようになったのは40歳を過ぎてからだという。仕事と両立しながら競技と向き合う上中選手に大会前の取り組みについて聞いた。（IRONMAN2019年2月号から引用）
取材・文：IM編集部 撮影：中島康介
ジムに通い始めたのは43歳になってから。
運動不足の中年が50代で世界チャンピオンに
――コンテスト歴はどのくらいになるのでしょうか。
上中 2013年にベストボディ・ジャパン大阪大会に出たのが最初です。私は43歳になってジムに通い始めたんです。週に１、２回通えればいいだろうと思っていたんですが、使用重量が伸びたり回数が増えたりするところに面白みを感じるようになり、２年くらい続けたときにジムのトレーナーから出場を勧められました。
――学生のころにスポーツは？
上中 高校まで野球をやっていました。大学生になりテニスを始めて、社会人になってからも細々と続けました。また、中学のころから自宅で腕立て伏せと腹筋だけはずっと続けていました。中学生のころはプロレスラーかプロ野球選手になりたかったです。
――ジムに通おうと思ったきっかけは何だったのでしょう。
上中 運動不足の解消です。お腹周りの脂肪が気になるような体型になってしまったので。だから、初めてベストボディに出たときは、場違いなところに来てしまったと思いました。結果は、準決勝までは進めたんですが、決勝の６人には入れませんでした。でも、その６人の体を客席から見て、１年ほど頑張れば、あの枠に入れるんじゃないかと思ったんです。具体的な目標設定ができました。そして翌年の大阪大会で優勝でき、日本大会で２位になれました。そこからさらに本格的に取り組むようになりました。
――トレーニングの頻度は？
上中 現在は週に５〜６回です。会社の用事が入ったり、疲労が溜まっていたりするときは休みます。分割は「胸+ 肩（フロント）+ 上腕三頭筋」「背中+ 肩（サイド＆リア）+ 上腕二頭筋」「脚」の三分割です。フィジーカーは脚をやらない、と言われるのもシャクなので脚の日も設けるようにしました（苦笑）。
――食事はどのようなものを？
上中 普段は外食なので、減量期は焼き魚定食などタンパク質が多く脂質が少ないものを食べるようにしています。揚げ物などは食べません。大会１カ月前からは、会社にお弁当を持っていくようにしています。世界マスターズの前は、妻に負担をかけたくないという思いもあり、ファイトクラブというメーカーのサラダチキンが１つで40ｇのタンパク質を摂れて、常温で長く保存もできるので、昼食にはそれを食べていました。
――そこで炭水化物は摂らないのですね。
上中 １日の食事としては、まずは起床後にプロテイン。朝食はキャベツ、タマネギ、トマト、キノコ類、海藻類、この５種類が入ったサラダを食べます。それから出勤して、オフィスに常備している素焼きアーモンドをつまんで空腹を紛らわします。昼食は、サラダチキンとコンビニのサラダ。また素焼きアーモンドをつまみながら、夕方にプロテインを飲んで、仕事を終えてジムに行き、そこでおにぎり２つとプロテイン。１日のカーボはそれだけです。そしてトレーニング後にプロテイン。自宅に戻り、就寝前にまたプロテインを飲みます。
――１日の睡眠時間は？
上中 ５時間半くらいです。慣れているからかもしれませんが、疲れて頭がボーッとするようなことはありません。
――減量幅はどのくらいなのでしょうか。
上中 10㎏を少し切るくらいです。最後の１カ月間はHIITも取り入れて２〜３㎏ほど落とします。
――40代になって本格的なトレーニングを始めて50代で世界チャンピオンになる。夢のある話です。
上中 そう言っていただけるのはうれしいです。世界マスターズには日本代表として派遣していただき、各カテゴリーのトップの方とチームとして同じ時間を共有できたのがとてもうれしく、また楽しかったです。自分がこのような経験ができるようになるとは思ってもみませんでした。ぜひ今年も選んでいただけるように頑張ります。
上中一司 （うえなか・ひとし）
1967年9月29日生まれ。京都府出身。身長180㎝／体重75kg（オン）84kg（オフ）
主な成績：
2014年ベストボディ・ジャパン大阪大会グランプリ
ベストボディ・ジャパン日本大会凖グランプリ
2015年ベストボディ・ジャパン神戸大会グランプリ
ベストボディ・ジャパン大阪大会グランプリ
ベストボディ・ジャパン京都大会準グランプリ
2016年関西オープン選手権メンズフィジーク176㎝超級優勝
オールジャパン・メンズフィジーク選手権40 歳超172cm 超級５位
2017年オールジャパン・メンズフィジーク選手権40 歳超172cm 超級４位
2018年オールジャパン・メンズフィジーク選手権50 歳以上級優勝
関西オープン選手権メンズフィジーク176㎝超級２位
2019年オールジャパン・メンズフィジーク選手権50歳以上級優勝
2021年オールジャパン・メンズフィジーク選手権50歳以上級優勝
