以前、女性のためのトレーニング専門誌である『Woman's SHAPE & Sports』にて、過去に難病に侵されながらも、克服してビキニフィットネスに挑戦する一人の女性が取材された。現在はフィットネス競技だけではなく、SNSでも精力的に活動し、自己発信を行っているが、ビキニ競技選手としての成長は著しい。その名は山之内瑛美。
取材・文：月刊ボディビルディング編集部 撮影：中島康介
「自分を変えたかったからこそ、ビキニフィットネス出場を決めました」
30歳のときにダイエットトレーナーになるため始めたダイエットが運動を始めるきっかけでした。早くに結婚、出産して10～20代は家庭を優先してきたので、30代は自分がやりたいことをしようと決めていました。また、痩せて自信を持ちたかったんです。
当時は食事とランニングに取り組んでいました。トレーナーになることを目標に本を読んだり、SNSを見たり、自分なりに努力して55kgだった体重を短期間で51kgまで減らすことができました。しかし、痩せたけど全然なりたい体型ではなく……（涙）。もとがペラペラだった上半身、胸はさらになくなりガリガリに。逆に細くなって欲しかった下半身は痩せていない、むしろ筋肉がなくなりポヨンとした質感に。体重減少に効果が出ているんだ！と嬉しい反面、食事制限をしていたので食べたらまた増えてしまうのではないかという恐怖心から、それが怖くなってしまいました。
当時1年早くトレーニングを始めていた夫に筋トレを勧められ、そこから私も一緒にジムに付いて行ったり、本格的にトレーニングを始めました。パワーラックでスクワットに取り組みましたが、最初は20kgのシャフトすら重くてしゃがむのが精一杯でした。最初の半年間はジムでバーベルスクワットと自重スクワットをメインに、BIG3も教えてもらいながらやっていました。
現在は4分割で、背中、胸、肩、下半身で、週5日トレーニングしています。週1日所属している横浜マリントレーニングジムでパーソナルを受け、残りの4日は自宅近くのジムで教えていただいたことを実践して自主トレしています。
現在の課題は下半身です。身体が硬く、股関節周りを動かす動作をしていなかったため効かせたい部位にうまく効かせられなかったり、可動域が狭かったり。今はストレッチや身体のケアをして柔軟性を高めながら、マッスルコントロールができるように練習しながらトレーニングしています。
ビキニ競技に出場するうえで、内気で人前に立つのが苦手なうえ目立つのが嫌な自分だったので、ビキニの挑戦は私にとってはすごく勇気のいることでした。そんな自分を変えたかったからこそ、出場を決めました。初めての大会は2020年横浜オープン予選落ち。次のマッスルゲート東京で6位入賞、クオリファイを手にし、ゴールドジムジャパンカップへ。結果はまたしても予選落ち。
駄目な自分を見たくないから競技はもうやめよう、そう思っていたところ、FROM THINK特別賞をいただき、雑誌ウーマンズシェイプに掲載していただけることになりました。この賞がなければ競技はやめていたと思います。
翌年再び挑戦し、2021年神奈川選手権で5位。東日本選手権では4位に入賞し、オールジャパンのクオリファイを手にしました。トップ選手を間近で見れるチャンスだと、結果よりも経験のために挑戦したオールジャパンで6位に入賞できました。正直、「私が？」という気持ちでいっぱいでしたが、そこから私の心に火が付きました。本気で競技に取り組んだら、どこまで変われるだろうと。そからお世話になっているマリンジムの谷澤一矢会長にパーソナルをお願いして、一から競技に向けた身体づくりを始めました。
今はとにかくポージング練習に取り組んでいます。マッスルコントロールと苦手なビキニの所作が課題なので、動画を撮って修正を繰り返しています。ちょっとの位置の違いで見え方が全然変わるので身体に覚えこませています。また、身体の柔軟性向上に力を入れています。
今年の目標はオールジャパンで3位以内に入り、グランドチャンピオンシップスに出場することです。昨年のオールジャパン以降、真剣に競技に向けて取り組んできました。谷澤会長にはこれでもかってくらい本当にお世話になりっぱなしなので、結果でお返ししたいです！
そして今後の目標は、世界選手権に出場することです。まだまだ課題がたくさんあり夢のような目標ですが、一つひとつクリアして代表として選ばれる選手になりたいです。あんなに自分に自信がなく、人前に立つのが苦手な私がここまで前向きになれたのは、トレーニングと競技に出会えたおかげです。競技に理解のある家族にも感謝です。そして、今すごく楽しいです！
