胸トレで「肩が痛い」「腕ばかりきつい」という悩みは少なくない。そんな中、相澤隼人選手が“教科書シリーズ”として徹底解説したのがディップスである。
相澤選手いわく、「ディップスは胸の種目で、“自分が動く”種目」。ベンチプレスとはまた違う価値を持つこの種目について、優先順位・フォーム・可動域・エラー動作・加重の考え方まで、すべてを網羅する。
【動画】胸の筋肥大に必須の“ディップス”を徹底解説!!(相澤隼人公式YouTubeチャンネル)

相澤隼人にとってのディップスの位置づけ

相澤隼人公式YouTubeチャンネルより
相澤選手の胸トレは現在3種目構成。
• ベンチプレス(2〜4セット)
• インクラインベンチ(3〜4セット)
• ディップス(4セット)
• その後プッシュアップ
トータル約50分〜1時間弱。この中でディップスは優先順位2番目という高い位置づけだ。
理由は明確である。
「ディップスは胸の種目で、唯一自分が動く種目」
多くの胸種目は体幹を固定して末端を動かす。しかしディップス(とプッシュアップ)は身体そのものを動かす。
これは背中でいうチンニング、脚でいうスクワットに近い。
つまり、
• 身体を支える能力
• 体幹と四肢の連動
• 肩甲帯の安定
といった要素が同時に求められる。
得られる恩恵が大きいため、優先度は非常に高い。
ディップスの手幅とバーの選び方
ディップスは器具によって
• バーが開いているタイプ
• ニュートラルタイプ
• 手幅が広い/狭い
• ラック装着型
など選択肢が多い。
手幅の基準
腕が身体に近づくほど動きはナローベンチプレスに近づき、肘を畳む動きが強くなる。
胸を狙うなら、
• 肩幅程度
• もしくは肩幅より拳1個分ずつ外側
が目安。
狭すぎると腕主導になりやすい。
ディップスのグリップの向き

相澤隼人公式YouTubeチャンネルより
基本は「ハの字」気味のやや内旋ポジション。
肩を外旋したほうが大胸筋は伸びるが、内旋でも身体の状態が良ければ十分に伸びる。
重要なのは、
「一番力が出やすい状態で、問題なく動かせること」
力発揮の観点からも、ハの字ポジションが合理的と語る。
ディップスのセットアップと可動域

相澤隼人公式YouTubeチャンネルより
動作の特徴は、
• 可動域は広すぎず狭すぎず
• ボトムが重要
• 上がれなくなるまで追い込む
ディップスは“押し込む種目”というより、
「降りる局面でどれだけ胸が使えているかをみる種目」
疲労が進むと上がらなくなるため、最終的にはパーシャルで限界まで行うこともある。
加重時の考え方
• 加重することが多い(現実的には約30kg)
• 最後の1セットでパーシャルを入れることも
• 加重するとパーシャルすらできなくなる
鎖で加重すると前傾角を保ちやすいが、ディッピングベルトは腰に巻くため重心が変わる。加重しすぎると体幹側が追いつかないため、重量は“いい塩梅”を取ることが重要。
ディップスにおけるストレッチの考え方
大胸筋下部線維のストレッチは強い種目だが、
「伸ばせばいいわけではない」
ダンベルフライで床まで伸ばさないのと同じ。支えられている範囲での最大ストレッチが原則。
ディップスでは前傾角は固定する
動作中、前傾角は変えない。
肩甲帯が安定し、体幹と腕がリンクしていると、
• 前傾を保ったまま下降
• 肘が身体に対して上方向へ動く
• 胸が自然に伸びる
よくあるエラーは、
• 下降時ただ突っ込む
• 上昇時に身体が立つ
• 腕主導になる
終盤の妥協は許容範囲だが、最初から崩れるのはNG。
ディップスのボトムの深さ

ボトムの深さ(相澤隼人公式YouTubeチャンネルより)
目安は、上腕が地面とほぼ平行で、それ以上下げすぎない。
腕が後方に行きすぎると肩甲骨が前に倒れやすくなる。肩関節伸展可動域も関与する。
肩が緩い人は肩を痛めやすく、「胸に来ず肩が痛い」人が多いのもこのため。
ディップスの際に肩甲骨は意識する?
相澤選手は意識しない。
「勝手に最適化されるのが理想」
そのためにも、
• プッシュアップ
• ディップス
• 手押し車などの体重支持系運動
を行い、様々な位置で適応させることが重要。
ディップスでロックアップはする?

相澤隼人公式YouTubeチャンネルより
基本的にしない。
ロックすると姿勢制御に無駄な労力を使う。ブルガリアンスクワットとニュアンスが近い。
ディップスにおける挙上スピードの考え方
• エキセントリックとコンセントリックはほぼ同速
• 疲労でコンセントリックが遅くなる
• 意図的にゆっくり上げているわけではない
「ゆっくり上げるのではなく、ゆっくりになる重量を使う」
多くの人は「ゆっくり見えるから真似する」が、動きが未完成のままテンポだけ真似しても意味が薄い。
エキセントリック重視は否定しないが、“頑張るだけにフォーカスできる状態”がまず優先。
ディップスでの危険なエラー動作
もっとも危険なのは、エキセントリックを支えられず落ちている状態。スクワットで潰される、デッドリフトで制御なく落とすのと同じ。ボトムで大胸筋を断裂する可能性もある種目である。
また、
• 疲労で身体が立つ
• 前傾角を保てない
も典型的エラー。
ディップスの際に視線はどこを見る?
真下ではなく斜め下方向。
ベンチの姿勢の延長線上を見るイメージ。特定の一点を凝視するのではなく、ぼんやり固定。
ディップスのアシステッドマシンはアリ?

相澤隼人公式YouTubeチャンネルより
結論:アリだが微妙。
多くのマシンはアシスト部がバーの真下にあり、本来の前傾姿勢を作りにくい。
相澤選手の見解は、アシストやるならプッシュアップでもいいのでは?という結論だ。
ディップスはベンチの応用が効きにくい“胸のパート2”。ただし自重ができるようになる保証はマシン次第。
ディップスは誰におすすめ?
答えは、
「みんな!」
特殊な種目ではない。削ぎ落とせば基本種目に行き着く。
例えば、
• 胸:ベンチプレス+ディップス
• 背中:チンニング/ラットプルダウン+デッドリフト/ベントロウ
応用はそこから派生。凝ったことをやる前に、まず基本。
ディップスのまとめ
ディップスは、
• 大胸筋下部を狙える
• 自分が動く数少ない胸種目
• 体幹と肩甲帯の統合種目
• 支えられる範囲で最大ストレッチ
• 前傾角固定が最重要
• エキセントリックを制御できないのは危険
• 「ゆっくりやる」のではなく「ゆっくりになる重量」
そして何より、「みんなやってほしい種目」。教科書的理解の上で取り入れたい。
相澤隼人(あいざわ・はやと)
1999年10月21日生まれ、神奈川県相模原市出身。身長164㎝。俳優、パーソナルトレーナー。JBBF(公益財団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)の審査員としても活動中。2021~2023年日本選手権優勝。
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構成:FITNESS LOVE編集部 引用元:相澤隼人公式YouTubeチャンネル『胸の筋肥大に必須の“ディップス”を徹底解説!!』










