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筋肉の美しさを最大限魅せる宮田みゆき「神様が復帰に導いてくれたように思えます」

数多くのドラマが見られた昨年の日本選手権。選手たちはどのような思いで、あの日のあのステージに上がったのか。ここでは男子ボディビル、女子フィジークの各2位から12位までの選手を単独取材。感動の舞台裏に迫る。

取材:藤本かずまさ 撮影:中島康介

これぞ女子フィジークのポージング

▶女子フィジーク界随一のポージングの伝道師・宮田みゆき選手の美しいステージ【写真】

2021年女子日本フィジーク選手権大会3位・宮田みゆき「復帰に至った大きな理由は3つあります」

私は2017年のジャパンオープンが最後の試合になり、そこで一度引退しています。原因は変形性股関節症の痛みです。脚のトレーニングでは追い込むことができず、女子フィジークの選手としてやっていくことに限界を感じて、引退して指導に専念することを決意しました。ただ「舞台」というものに未練があり、19年と20年にマッスルコンテストのビキニに挑戦しましたが私には向いていないと思い、諦めました。
その後は「私はもう選手ではない」と言い聞かせながら自分自身を納得させていた部分もあったかもしれません。そうした中で今年の春先に長男(智矢選手)と話しているときに、ジャパンオープンのミックスドペアに出ようという話になったんです。母親と息子のミックスドペアは過去にないだろうから、面白いんじゃないかと。でも、その後は全く気持ちが乗らず、減量する気にもなれず、話はそれで終わりました。
ただ、7月の後半になったころ、突然気持ちに火が点いたんです。大きな理由は3つありました。一つは、昨年、私の弟がくも膜下出血で45歳で亡くなったんです。それで憔悴しきってしまった両親を元気づけることはできないかと考えたときに、私の舞台を一度も見たことがなかったんです。会場に招待して舞台を見てもらうことで、元気になってくれるんじゃないかと思ったんです。
そしてもう一つは、私のクライアントさんで、北海道から受けに来てくださる65歳の方がいらっしゃるんです。その方が先生と一度でもいいから日本選手権の舞台に立ちたかったと。また、SNSでパラカヌー選手の瀬立モニカさんとつながったんです。やりとりを通じて彼女はボディビルに興味を持って、大会を生で一度見てみたいと言ってくれたんです。そうした偶然が重なって、「出るべきなのでは」と急にスイッチが入ったんです。トレーニングらしいトレーニングはできませんでしたが、そこから2カ月半で8㎏から9㎏ほど絞って大会に臨みました。
私はフリーポーズをやりたくてこの世界に入ったようなものです。今回は両親を招待しているので、フリーポーズを見てもらうために12位以内には入りたかったです。ただし、決勝に残れるかどうか、不安はありました。今までの私は勝つことを目標にしていましたが、今回は勝つのではなくて「舞台に立ちたい」という気持ちが強かったです。だから、3位という結果をいただけて、自分でも驚いています。今回は私にとっていろんなキーワードがあり、神様が(復帰に)導いてくれたように思えます。ただ、自分の中でのダメ出しが多く、もう一度やり直したいという気持ちもあります(苦笑)。ここからの1年間、股関節を大切にしつつ、今回どうしても納得ができなかった規定ポーズをしっかり取ってやりたい気持ちが強いです。

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