コンテスト

ダンベルベントオーバーロウイングの動作を鍛える

ダンベルの良い点は手のポジションが自由な状態でエクササイズを行えることにあります。バーベルを使ったベントオーバーロウイングではグリップの選択肢は「順手(プロネイテッドグリップ)」もしくは「逆手(スピネイテッドグリップ)」しかありませんが、ダンベル・ベントオーバーロウイングはさまざまな角度でダンベルを挙げることが可能になります。

文:井上大輔 <NPO法人 日本ファンクショナルトレーニング協会>

骨盤と肩の最適なポジションをつくる

例えば、大胸筋や広背筋が発達しているトレーニーの場合、(写真1−1)のように肩関節が内旋の傾向にあります。なぜなら大胸筋も広背筋も肩関節の内旋筋だからです。肩関節が大胸筋と広背筋に引っ張られて内旋しているということは、肩関節が「正常にはまっていない」状態にあり、その場合広背筋を発達させることは難しくなります。

1-1 肩関節が内旋している姿勢。手の甲が前を向いている傾向にあります。

そしてプロネイテッド(順手)グリップ(写真1−2)は肩関節の内旋をより強めてしまう可能性が高くなります。

1-2 肩の内旋が強まった順手のベントオーバーロウイング

肩をできるだけ内旋させないように行うために、スピネイテッドグリップ(写真1−3)でベントオーバーロウイングを行うこともできますが、ダンベルのほうが肩関節の角度はより自由になります。

1-3 スピネイテッドグリップのベントオーバーロウイング

そしてバーのポジションですが、バーベル・ベントオーバーロウイングは体の重心の前でバーベルを挙上するフォームになり、そのため重心が前に引っ張られ、腰にかかる負担は大きくなります。ダンベルは体の真横でダンベルを挙上することができるので、腰の負担を軽減することができます。つまり、ダンベルを用いることで、体の自由度が高まり、重心や骨盤や肩のポジショニングを最適な位置で行うことが可能になると言えます。今回はダンベルを用いたベントオーバーロウについて解説していきます。

ダンベル・ベントオーバーロウイングの効用

・広背筋の強化
・上肢帯の安定性の向上
・体幹の強化

ダンベル・ベントオーバーロウイングの行い方

初めにダンベルを握る際のグリップの確認です。ダンベルを握る際は(写真2−1)のように、正しく握ります。特にストラップを多用するトレーニーはグリップが疎かになり(写真2−2)のようなグリップになってしまいがちです。特に肩関節が正しくはまっていないと、このようなグリップになるので注意が必要です。

2-1 正しいダンベルの握り方

2-2 間違ったダンベルの握り方

そしてダンベルを持ったまま、直立して体幹がまっすぐな姿勢を確認してから(写真2−3)骨盤を後方にスライドします。(写真2−4)そのまま肩甲骨を寄せないでダンベルを引きます。ダンベルはニュートラルグリップで挙上し、自身の肩が一番スムーズな状態で挙上できる角度を探してください。

2-3 最初に腹圧が入りやすい正しい直立姿勢を取る

2-4 そのまま骨盤を後方にスライドしてから、ダンベルを引く

首はまっすぐにします。顎が上がった状態では首の後ろの僧帽筋や肩甲挙筋が緊張するので、広背筋から刺激が逃げてしまう可能性があります。
この連載では何度も申しますが、広背筋は肩甲骨の動きにほとんど関わっていないので、肩甲骨を寄せるのではなく、肩甲骨を固定してダンベルを挙上すると、より広背筋の発達に効果的になります。

●リグレッション(原点回帰)とプログレッション(エクササイズの発展)
●ダンベル・ベントオーバーロウイングのリグレッション
●ダンベル・ベントオーバーロウイング (骨盤固定)(写真3−1)

3-1 骨盤を固定したダンベル・ベントオーバーロウイング

体の軸が安定していないトレーニーは、壁に骨盤を固定してベントオーバーロウイングを行うと良いでしょう。その際壁を殿部で押して、上体は殿部から離すように引っ張り合いながら行います。
ダンベル・ベントロウを正しく行うためには、腹圧を入れる、正しい重心を取る、肩甲骨を固定する、などたくさんの注意点がありますが、それらを正しく行うことで、より機能的な体を手に入れることができます。難しいですが、ぜひチャレンジしてみてください。

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佐藤奈々子選手
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