コンテスト

筋トレ初心者必見!ボディビル世界王者が解説する「分割法」「セット数」「インターバル」などの考え方 

鈴木雅選手が自ら実践し、効果的な種目を紐解く大人気連載「誌上マッスルキャンプ」も今回で最終回。最後となる今回は、実際のトレーニングの進め方について解説していきます。これまで紹介されてきた種目を取り入れながら、ぜひ実践してみてください。

取材・文:藤本かずまさ 撮影:北岡一浩

分割の考え方

これはトレーニング全般について言えることなのですが、「超回復」と「オーバーロード」の関係から考えていきます。

まず超回復の基準ですが、筋肉痛が治ったか治らないかではなく、以前よりもレップス数が伸びているか、あるいは少しでも重たいものを挙げられるかということが大事です。そこでは以前と同じ可動域、感覚で挙げていくことが非常に大切で、それが可能となる回復の仕方をベースに分割を決めていくようにします。

つまり、肩の翌日に胸、胸の翌日に上腕三頭筋がくるという組み方では、ターゲットとする筋肉が疲労している状態でトレーニングすることになってしまいます。

週3回トレーニングを行っている人は、ほとんどの場合、3分割で組んでいると思います。通常ならプッシュ系、プル系という分け方をしていくと思いますが、だいたいトレーニングとトレーニングの間隔は1日ないし2日は空くと思います。

1回のトレーニングでしっかりと刺激したいなら胸、そのあとは上腕三頭筋ではなく上腕二頭筋を行います。そして、背中の日に上腕三頭筋を行う。補助筋が疲労していないので、そのほうが重たい重量を扱えるはずです。

脚は脚だけの日でいいと思うのですが、では肩をどこに持っていくかという問題が出てきます。

三角筋は「前部」「側部」「後部」と分けられます。プッシュ系を行う胸の日に肩の前部、プル系の背中の日にリア、そしてサイドレイズ系だけを脚の日に持ってくるという分け方でもいいと思います。連続してトレーニングができるようなら胸・肩・三頭のプッシュ系、背中・二頭のプル系、そして脚の日という分け方もできます。ベストな状態でトレーニングできるように、回復のことを考えながら分割を考えていきましょう。

レップス数、セット数の考え方

私は基本的には、筋力を伸ばすことを目的としたセット・レップス数、肥大させるためのレップス数・ セット、パンプさせるためのレップス数・セットで組むようなかたちで行っています。

回数は筋力をつけるなら5RM前後、肥大させるなら種目にもよりますが6~12。パンプ目的なら10~30です。種目にも適材適所があって、例えばベンチプレスで大胸筋をパンプさせようとしたら、先に前腕や体幹が疲れてしまいます。パンプさせるなら、アイソレート種目のペックフライなどの方が有効です。

逆に筋力を伸ばしたいならパワー系のスクワット、デッドリフト、ベンチプレスなどのフリーウエイトでおこなうようなコンパウンド種目を中心にやっていきます。

そして肥大や筋破壊を狙うならば、それに準ずる種目。脚ならばレッグプレス、ハックスクワット、背中ではラットプルダウン、ロウイングなどですね。

強度に関しては、例えば「5RM×3セット×重量」という考え方をしていきます。使用重量100㎏ならばトータル1500㎏になります。

例えば筋力系に偏ったトレーニングをしている時期に「10RM×70㎏×3セット」で2100㎏。これでは量が多すぎます。

ではパンプ系の種目、「15RM×40㎏×3セット」で1800㎏。これは少ないので、セット数を4から5に増やしてなるべく2000㎏くらいに近づけるようにします。

基本的には、このトータルの量を大きく変動させないようにしていきます。筋力が多い時期はパンプを少なくし、パンプが多い時期は筋力を少なくする。体の調子を見ながら進めていきます。

ピリオダイゼーションは有効だとは思いますが、仕事をしながらだと取り入れるのが難しいです。仕事で中枢神経がたいへんに疲労するので筋発揮したいときにできないという状況があります。寝不足だったり、仕事が予定通り進まなかったりもしますのでなるべく調子を見ながらやっていくほうがいいと思います。

インターバルの考え方

筋力を伸ばす種目を行うときはインターバルをしっかりと取らないといけません。私は3分以上は取るようにしていますが、5分以上取ると集中できなくなってしまいます。

肥大させるときは短くしますが、1分以内にはならないように。1分以上、3分以下に収まるようにします。パンプ系のときは40~60秒ほどです。

インターバルで注意しなければならないのは、息を切らせながらトレーニングをしている人は少ないはずです。ですが、心臓を強くしたりアミノ酸の合成率を高めたりするには心拍数を上げていく必要があります。

トレーニングは、パートナーがいなくても、一人でもしっかりとやらなくてはいけません。一人でちゃんとトレーニングができて、インターバルもしっかりと考えられているトレーニングが一番いいと思います。

トレーニング時間の中で、その大半を占めているのはインターバルの時間です。いかにインターバルを考えて行うかというのは、時間の使い方の面からでも重要なことだと言えます。

適切なトレーニング時間とは?

集中できるかできないかが問題で、できていればいいと思います。人によって集中力は違いますし、集中できていないと1セットがしっかりできていないですよね。

トレーニング時間が1時間半を超えると男性ホルモンが低下するというエビデンスがあるのでその時間以内に収めたいですが、そういった情報にとらわれすぎるのもどうかと思います。適切な時間は「しっかり集中できて、体にエネルギーがある時間」ということでいいと思います。長ければいい、短ければいいということではありません。

続けてお読みください。
▶【動画】ボディビル世界王者・鈴木雅が細かく解説「簡単にできるゴムチューブを使った背中のトレーニング」

鈴木 雅
1980年12月4日生まれ。福島県出身。身長167cm、体重80kg ~83kg。株式会社THINKフィットネス勤務。ゴールドジム事業部、トレーニング研究所所長。2004年にボディビルコンテストに初出場。翌2005年、デビュー2年目にして東京選手権大会で優勝。2010年からJBBF日本選手権で優勝を重ね、2018年に9連覇を達成。2016年にはアーノルドクラシック・アマチュア選手権80㎏級、世界選手権80㎏級と2つの世界大会でも優勝を果たした。DMM オンラインサロン“ 鈴木雅塾”は好評を博している。


執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。

-コンテスト
-,




佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手