女性のがん罹患数で最も多いのが「乳癌」だ。ベストボディ・ジャパン日本大会の会場で出会った大畑たまき(おおはた・たまき/51)さんも乳癌と闘う一人。6年前に右胸を切除し、乳癌のステージ4と戦っているが、「今までで一番面白く生きている」と笑顔で答えてくれた。そして、その隣には一緒にボディコンテストに挑戦する娘・大畑なのは(22)さんがいた。
骨盤に転移したなら筋肉を鍛えるしかないでしょ!
6年前に乳癌と診断された大畑たまきさんは2年前にさらなる追い打ちをかけられる。
「2年前の検診で赤信号(乳癌ステージ4)。骨盤への転移が発覚しました。恐れていた再発と転移に心の置き場所を失い、毎晩毎晩泣きました。自分はみんなと違う世界に生きている、そんな風に思っていました」
しかし、たまきさんは癌と戦うために“鍛えること”を選択。当時のインスタグラムには「骨にきたなら筋肉鍛えるしかないでしょー!と思ってジムにきました!」と元気な姿を投稿している。
たまきさんはトレーニング中は胸の痛みも気にならないという。
「右の乳房切除リンパ節郭清してから胸回りが引きつってるような感じがあります。でもベンチ台に寝転んで1kgのダンベルを持ってストレッチするだけで随分楽になりました」
三角ビキニで娘と並んでステージに立つ
トレーニングを始めてから約1年経った2022年のベストボディ・ジャパン宇都宮大会に初挑戦し、予選通過。
「せっかくトレーニングしていてステージ4ならば、何か新しいことをしようとベストボディ・ジャパンへの挑戦を決めました。入賞はできませんでしたが、決勝では念願のビキニを着ることができて良かったです。ちなみに初めてのステージのヘアメイクは娘にしてもらいました」
2023年には京都大会で初入賞を達成し、沖縄大会でグランプリ、長野大会で準グランプリを獲得。それ以上に嬉しいことが水戸大会ではあったという。
「娘のなのはと一緒に大会デビュー、2人で入賞を果たしました。また一つ夢を叶えることができ嬉しい気持ちでいっぱいになったことを覚えています」
なのはさんがステージに立つ理由は「癌と戦う母とたくさん思い出を作りたいから」だというが、その思いにたまきさんは喜びを噛み締める。
「娘とコンテストに挑戦できるのはとても嬉しいことです。親孝行な娘で私は幸せです」
さらに世代別でステージに立つベストボディ・ジャパンだが、大畑たまきさんとなのはさんはいずれも看護師をしているため、ベストボディ・ジャパン職業別&ジャンル別大会では並んでポージングを披露した。
目標はプラチナクラスでビキニを着てステージに立つこと
「プラチナクラス(60歳以上)でもビキニを着てステージに立ちたいです」
たまきさんは今後の目標をこのように話すが、そのきっかけには同じ病気を抱える選手の存在があった。
「同じ乳癌で治療とコンテストを両立しているロココさんはプラチナクラスで戦っています。私の目標の一人で私もプラチナクラスで頑張りたいです」
2年前に乳癌の最終ステージになったたまきさんだが、今はジムに行くこと、コンテストに挑戦することが原動力になっていると力強く語ってくれた。
「ジムには週2日くらいしか通えていないのですが、ジムに行くと元気な人たちの空気感に励まされて元気をもらいます。右胸を切除してから6年が経ちますが、今ままでの人生で一番面白く生きています。来年も鍛えた身体でステージに立つことが楽しみです」
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取材・撮影:FITNESS LOVE編集部 写真提供:大畑たまき
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