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筋力を筋量増加につなげる!クラスタートレーニングの驚くべき効果

オフ期のボディビルダーは、筋量増加に重点を置いたトレーニングプログラムを実践している。つまり、多くの種目を高重量・低レップで行っている。しかし、もし筋力の増加に限界を感じたらどうすればいいのだろうか? 停滞した筋力を再び伸ばすにはどのようなテクニックがあるのか? そんな疑問にぶち当たったら、ぜひ試していただきたいのが今回紹介するクラスタートレーニングである。先週はクラスタートレーニングに基本について解説した。今週はこのトレーニングのメリットから紹介していく。

▶筋力を筋量増加につなげる!クラスタートレーニング【基礎編】

文:Sarah L. Chadwell, NASM-CPT 翻訳:ゴンズプロダクション

クラスタートレーニングのメリット

クラスタートレーニングを行うことで除脂肪体重の増加、筋力とパワーの向上などの効果が期待できるわけだが、他にもメリットがあるので紹介しておきたい。

先週紹介したジョナサン・オリバー博士は、これまでに大学フットボールチームや米国海軍、さらには各種競技のエリートアスリートたちとトレーニングをし、研究を重ねてきた。

博士の主な研究はクラスタートレーニングについてだ。そのため、このトレーニングについて最も精通した人物と言っていいだろう。

そんなオリバー博士が2014年5月に開催されたNSCAのカンファレンスに出席した際、定期的にクラスタートレーニングを用いると、以下のような効果が期待できると述べている。
●ベンチプレスやその他の主要なリフティング種目で出力パワーが増加する。
●ワークアウト中、疲労が増してきても正確なフォームを維持しやすい。
●ワークアウト後の「自覚的運動強度」が抑制できる。
●ワークアウト中、解糖系エネルギーへの依存率が低下し、乳酸が溜まりにくくなる(疲労感の抑制)。

クラスタートレーニングの基本

クラスタートレーニングは多様性に富んでいて、アスリートの目的や身体能力に合わせてアレンジを加えることができる。守るべき要素は以下の3つだ。
①このトレーニング法は、ベンチプレス、インクラインベンチ、ミリタリープレス、スクワット、デッドリフトなどの基本的な多関節種目で用いる。アイソレーション系の単関節種目には適していない。
②選択した種目でこのトレーニング法を用いるときは全レップ、全セットで同じ重量を扱う。③設定した休憩時間は厳守する。エネルギーが余っていたとしても、セット内、セット間の休憩時間を短縮したりしないこと。

クラスタートレーニングの比較実験

筋肥大のための理想的なセット数やレップ数は、筋力を向上させるやり方とは異なる。多くのボディビルダーたちはそう思い込んでいるはずだ。

仮にその考えが正しければ、クラスタートレーニングの入る余地はないわけだが、このトレーニング法がどうしてボディビルダーにも適しているのかについて、オリバー博士は次のように述べている。「筋肥大のプロセスには様々な要因が絡み合っている。それでも、トレーニング歴のある被験者を対象にした研究では、筋力向上に適した運動強度で多関節種目を行うやり方は、筋量増加にもつながることが示されている。

さらに、1回のワークアウトで行われる運動量と、その運動量を完遂するための運動強度は、除脂肪体重の増加に影響をもたらす主な要素でもある」

つまりこういうことだ。
●筋力向上に適したやり方で多関節種目を行うことは、筋量増加につながる。
●高めの強度で、多めの運動量をこなすことは、除脂肪体重の増加につながる。

クラスタートレーニングはまさにこれらを可能にしてくれるのである。

フィットネス業界で活躍する大勢のプロアスリートたちは、量も強度も高いレベルの内容でワークアウトを続けている。

種目数や、種目ごとに行われるレップ数やセット数、使用重量、そしてワークアウト頻度などは、アスリートによって差はあるものの、これらの要素を全て合わせてみると、アスリートが作り上げてきた肉体のレベルに比例していることがわかる。

2019年1月に発行された『メディシン&サイエンス・イン・スポーツエクササイズ』には、34名の健康な男性被験者たちに3種類の異なる量のワークアウトを行ってもらった研究実験が紹介されている。

実験の結果、ワークアウト量に関わらず全員が筋力と持久力を向上させた。そして、筋量に関しては、量が一番多かったグループで最も顕著な増加が見られたそうだ。

別の研究では、従来のセット法で行われるワークアウトに比べて、クラスタートレーニングを採用したグループのほうが最終的に完遂できる運動量が明らかに増加したことが示されている。

しかもこの研究では、1RMの90%の重量が用いられていたことも注目に値する。1RMの90%の重量を使った場合でも種目の総レップ数が増加するなら、クラスタートレーニングへの関心は俄然高まるはずだ。

クラスタートレーニングの最大の長所は、セットの進行に伴って使用重量を減らさずに、しかも特定の種目に行う総レップ数を増やしながら運動を継続させることができる点にある。そのため、筋力と筋量の両方を伸ばしていく効果が期待できるのだ。

時間が節約できる

ここでの「時間の節約」とは、1回のワークアウト時間をいつもより短縮することができるという意味ではない。

例えば100の量をこなすために、今までは週3回のワークアウトが必要だったとすると、クラスタートレーニングに切り替えれば週2回で達成できるということになる。

なぜそういうことが可能かというと、1回のワークアウトで行える運動量が増加するためだ。週単位、月単位で考えれば、トレーニングに費やす時間は確実に短縮されるのだ。

もちろん、頻度は今までと変えずに週3回をキープするなら、運動量を増やすことができるということになる。

量と質、どちらも大切

もちろん、トレーニング量さえ増やせば筋発達がかなうわけではない。1回ごとのレップの質はとても重要であり、対象筋に効かないようなやり方では、時間もエネルギーも無駄に費やすだけだ。

セットを開始して、最後のレップを何とか完遂したとき、自分の1レップ目からのフォームを思い返してみよう。もしかしたら途中の7レップ目あたりからフォームが崩れ、どの部位の種目なのかわからなくなっていないだろうか?反動を使いまくり、全身の力を動員していないだろうか?

言われてみればそんな気がするという人は、10レップまでやっていたとしても、7レップ目以降は無駄になっている可能性がある。それを改善しなければ筋肉は発達せず、それどころかケガの可能性も高まってしまう。

クラスタートレーニングではそのようなことはない。最後のレップまで正しいフォームを意識しながら動作を行うことができるのだ。

なぜそれが可能かというと、数レップごとに休憩を挟むからだ。休憩のたびに気持ちを一新させ、集中力を高め、正しいフォームで動作を繰り返すことができる。

量と質のどちらも犠牲にしたくないのであれば、クラスタートレーニングはまさに打って付けなのである。

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