ボディビル日本王者相澤隼人が「これはヤバい!」と実感した背中のトレーニング

世の中には、様々なトレーニング理論が存在する。本誌でも取り扱っている筋膜連鎖や、ハイインテンシティトレーニング(HIT)もその一つだ。○○式というトレーニングに一度は目を引かれたことがあるのではないだろうか。今回は井上浩選手が行うIH式トレーニングを行った。井上選手は、11年連続でミスター日本ファイナリスト、17年連続で日本クラス別選手権優勝という輝かしい成績を持っている。今回のIH式では、井上選手の強みとも言える広い背中に焦点を当て、背中のガチンコバトルを行った。IH式では基本的にマシンのトレーニングになると聞いていたが、実際に行ったトレーニングはまさにマシンを用いた種目そのものであった。トレーニングを始めたばかりの人には少々難しい動きになると思うが、今回のガチンコバトルを通してIH式の「ヤバさ」を実感できた。もちろんいい意味でのヤバさだ。そのヤバさとはどのようなものか。以下、この日に行った種目の説明である。

取材・文・トレーニング実施:相澤隼人 撮影:月刊ボディビルディング編集部

井上浩選手に必死についていく相澤隼人選手

しっかり引ききれ!①ダイバージングロウイング

狙う部位:広背筋・僧帽筋

背中の第3種目は、ストライブマシンを用いたロウイングである。このマシンもダイバージング機能が搭載されており、ストレッチポジションでは手幅が狭く、収縮ポジションに移行するにつれて手幅が広がっていくのが特徴である。この種目でも第一種目同様、一人ネガティブトレーニングを行なっていく。種目の進行の仕方も、基本的にはストライブのラットプルダウンと同じように進行していく。ここで行いたい動きは、ワンハンド・ダンベルロウイングのようなトレーニングの動作である。つまり、このマシンを用いてワンハンドロウイングを行う際は、引く方でない手をフレームにつき身体を支えることが望ましいのだが、この種目でも両手vs片手のトレーニングを行う為、両手で引いた後にフレームに手をつくことは動作がブレやすく困難になる。そこで両手で引いた後、ネガティブをかけない方の手は胸パットに肘ごと当てて動作が進行していく。

第1種目同様に、まずは両手で引いてきて片手で戻すという一人ネガティブを行う。その後両手で重量を落としながら行い、最後は30 レップス行って1セット終了する

1セット目はネガティブをかける左手と同じ側の左臀部をシートから降ろし、しっかりと足で踏ん張り体幹を支える。これはバーの正面に身体が来ないと怪我をする恐れがあるため、身体ごと引く方にズラすそうだ。右手も使い両手でめいいっぱいの重さを引き、右肘を胸パットに当て、バーが身体から離れないように耐えていく。左腕で6回引いた後は右腕に切り替え、同じ動作を6回繰り返す。その後は同じ重量で両手を使い6回引き、重量を落として両手で6回、さらに重量を落とし最後は30回行う。最後の30 回は身体をパットに沿わせる形で引く。つまり突っ込んだような姿勢になるということだ。こちらのマシンの軌道は下から上に上がる形になる為、僧帽筋上部まで刺激を入れることができる。

両手で引く場合、上体を反らせて引いてくるが、最後の30 レップスは身体を突っ込ませた形で引いてくる

1、2セットはラットプルダウン同様、重量に特化したトレーニングとなる。特にこの種目に関しては、重量を扱えば背中を使わざるを得なくなる。3、4セット目は重量を落とし、引く方でない手での補助は行わず、ワンハンドロウイングのような形で種目が進行する。回数の設定は1、2セット同様である。
種目が進行するにつれて心拍数が上がり、全身から大量の汗が噴き出てきた。それに追い討ちをかけるかのように、最後の30回を行うと、これでもかというほどの背中全体のパンプ感を得ることができた。

しっかり引ききれ!②プーリーロウイング

狙う部位:背中全体

本来であれば、前記の三種目でIH式背中トレーニングは終了となるが、今回は以前行っていたというプーリーロウイングもついでに行った。現在、第三種目の最後の回数が30回であるのは、この種目をくっつけたからであるという。この種目のレップ数は30回であり、ストライブのロウイングは本来であれば片手6回、片手6回、両手6回、両手6回、両手9回であるそうだが、時間の都合や井上選手自身の集中できる範囲を考え、ストライブのロウイングにくっつけたそうだ。

背中の最後に、現在はあまり行っていないというプーリー・ローイングを行う。肘を外側に張り出して、背中にしっかりとストレッチをかけるようにする

ここではリボルビングカールバーを用いて種目を行っていく。少しばかり曲がっているリボルビングカールバーを、自分から見てW字になるように握る。こうすることにより肘を外側に張り出すことができ、しっかりと背中にストレッチがかかるようになる。その状態を保ちながらバーを引く。収縮時の負荷はそこまで強くないが、収縮してからストレッチにかけてしっかりと背中を伸ばせる感覚があった。この種目のイメージは、ドリアン・イエーツのラットスプレッドだそうだ。
回数が30回であるのに加え、胸パットがない為非常に1回のストロークが長くなる。その可動域で30回を行うと回数を数えるのも困難になる。30回終わったと思ったら、実は27回くらいであった。集中力が不足しているのであろう。

背中のトレーニングのはずなのに、胸までパンプしそうな勢いだ

そして井上選手はしっかりと30回を行い、ベテランの凄さを目の当たりにした。

次回は▶IH式超激しい脚のトレーニング


井上 浩(いのうえ・ひろし)
1962年11月13日(59歳)、トレーニング歴40年という超ベテラントップビルダーの一人。主に関西エリアのゴールドジムにてアドバンストレーナーとして活動中。大きな身長と骨格、長い腕脚から「和製アーノルド」とまで評される、日本屈指の大型ボディビルダーとして一時代を築き上げた。
主な戦績:
1999年~2005年日本クラス別選手権90kg以下級優勝、2006・2007年日本クラス別選手権90kg超級優勝、2008~2015年日本クラス別選手権90kg以下級優勝、2001年日本選手権8位、2000年アジア選手権3位


相澤隼人(あいざわ・はやと)1999年10月21日生まれ、神奈川県相模原市出身。身長164㎝、体重75㎏(オン)85㎏(オフ)
トレーニングを先にしていた双子の兄の影響から12歳でトレーニングをはじめ、非常に向上心があり、勉強熱心な性格と成長期が重なったこともあり、すさまじいスピードで成長が進行している若手No.1選手。若手と言いながらも、ボディビル歴8年というから驚きだ。2021年日本選手権優勝の快挙達成。
主な戦績:
2015~2017年 全国高校生選手権優勝、2017年 日本ジュニア選手権優勝 世界ジュニア選手権75㎏級5位、2018年 全日本学生選手権優勝、2019年 東京選手権優勝 日本クラス別選手権70㎏級4位、全日本学生選手権優勝、日本選手権9位、2021年日本クラス別選手権80㎏以下級優勝、日本選手権優勝

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