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ボディビル世界王者である鈴木雅選手が選出した究極の『腹筋』図鑑とトレーニング法を大公開~日本王者編~

いつの時代も多くの者の羨望の的になっていた部位、腹筋。それはきれいに割れた6パック。だが、その形や鍛え方は人それぞれ。ここでは美しさと逞しさを兼ね備えた腹筋を有する25人をボディビル世界王者の鈴木雅選手が厳選。現役選手を中心に、歴史に名を刻んだレジェンドたちからも選出しました。究極の腹筋がここにある! 今回は日本の王者となったレジェンドボディビルダーの4選手を紹介。

文:藤本かずまさ 写真:中島康介、北岡一浩、AP,inc.、月刊ボディビルディング

1974・1976年男子ボディビル日本選手権優勝 1975・1976年NABBAミスターユニバース優勝:須藤孝三

◆鈴木選手の印象:ウエストも整っていて、またバキュームから力を入れたときの腹筋の迫り出しがすごいです。

1987年にミスター日本でゲストポーズを務めたときは週6日、ダブルスプリッドを毎日やりました。よく腹筋を1000回やれとか2000回やれとか言うけれど、それでは最初の200回くらいまでは遊んでしまうのではないかと思います。腹筋は腹の筋肉を鍛えるためにあるので、皮下脂肪を落とすには食事面やエネルギー消費のほうが大きなウエイトを占めます。ゲストポーザーに当たってはシットアップ、チンニングバー・レッグレイズ、サイドベンドで15回の3セットが目安でした。シットアップでは1セット目はかなりの傾斜でウエイトを持って、2セット目はウエイトを持たずに、3セット目は傾斜を1ランク下げるとか、細かい変化はいろいろやりました。回数も15回きっかりというわけではなく、一応の目安です。インターバルも30秒以内です。僕の場合、このようなトレーニングであのような腹筋になったというだけです。(月刊ボディビルディング1988年3月号より)

◆当時行っていたメニュー:シットアップ、チンニングバー・レッグレイズ、サイドベンド ※各種目目安として15回×3セット。ダブルスプリッドで朝と晩行うこともある。

1981・1983年男子ボディビル日本選手権優勝:石井直方

◆鈴木選手の印象:ダブルバイなど広げるポーズでバキュームから力を入れるときに力強さを感じます。

皮下脂肪を徹底的に落とすことは当たり前の前提として、最終的にはやはり筋量がものを言うと思います。オフでのトレーニングでは強度にこだわること。当時は腹筋のためのマシンなどありませんでしたので、アブドミナルボードを80度くらいに立て、35~50kgのダンベルを胸に抱えて行うデクライン・シットアップをドロップセットで30回×5セット。コンテストへ向けての時期は同じくアブドミナルボードを80度くらいにして、500回のデクライン・シットアップ(休み休みだが、ボードから降りることはしない)を週2回、ツイスティングフロアシットアップを500回(連続30分くらいかかる:有酸素運動の代替という意味もありました)行いました。腹筋は的確に負荷を与えることが難しいので、その分「量」をこなさないと効かせ切れないと思います。仕上げ期にはドローインを併用したデクライン・シットアップも取り入れました。
1955年3月15日生まれ/175 cm/82~104kg

◆当時行っていたメニュー:オフ:デクライン・シットアップ:ドロップセットで30回×5セット オン:デクライン・シットアップ:500回、ツイスティングフロアシットアップ:500回

1985・1987〜1999年男子ボディビル日本選手権優勝:小沼敏雄

◆鈴木選手の印象:横隔膜のコントロールができ、バキュームがうまいのが印象的です。

種目はまずは20kgプレートを持ってのシットアップです。上げるときに息を吐いて、できるだけ腹筋を収縮させます。ここでは脚の前面にも効かせていました。内股ではなく、少し膝を割った状態で行います。次はレッグレイズです。最後はパッドからお尻が浮き上がったところで息を吐いて収縮させます。そこからゆっくりと下してネガティブをかけます。シットアップでは得られないストレッチ感があります。次にケーブルクランチです。息を吐いて収縮させますが、戻すときには呼吸を止めたまま胸郭を広げて、お腹を引っ込めます。これでバキュームがどんどんとできるようになります。次のサイドベンドは、サイド(横)ではなく斜め前に捻りをかけます。クランチで捻るのを立って行うイメージです。外腹斜筋と腹直筋の片側に収縮をかけます。腹直筋の横と外腹斜筋の境目をクッキリさせることを狙っていました。
1959年1月2日生まれ/175㎝/83~90kg

◆当時行っていたメニュー:シットアップ(アブベンチ45~50度)、レッグレイズ(アブベンチ45~50度)、ケーブルクランチ、サイドベンド、ツイスト ※各20回×5セット

2000・2006年男子ボディビル日本選手権優勝 1996・2000年アジア選手権男子ボディビル75㎏級優勝:谷野義弘

鈴木選手の印象:純粋に腹筋が強いです。腹直筋の一つひとつが立体的です。

初めて腹筋が割れたのは中学生のときですね。当時は家で毎日、シットアップ100回やっていました。今は凹凸をはっきり出すために縦溝を意識しながらエクササイズを行い、立体感を重要視します。腹筋トレーニングは週4日を行なっています。1日目はレッグレイズ(腹筋台で傾斜2段落とし)、2日目はシットアップ(傾斜1段落とし)、3日目はシットアップ自重、アブローラー、4日目はハンギングレッグレイズです。エクササイズ中は、腹筋の意識を高めること。レッグレイズの際は「凹」を、特に縦溝! シットアップの際は「凸」を意識! 腹筋をよりきれいに見せるための仕上げ方、注意点としては、おへその上の縦溝を深くえぐれてくれば迫力が増します。腹筋のすごさを即興で見せるときには、縦溝にタオルを挟んで垂らします!
1964年10月24日生まれ/169㎝/76kg~80kg

◆腹筋のメニュー:1日目:レッグレイズ(腹筋台で傾斜2段落とし)15回×3セット、2日目:シットアップ(傾斜1段落とし)5kg×15回、10kg×15回、15kg×15回、3日目:シットアップ(自重)15回×2セット、アブローラー15回×2セット、4日目:ハンギングレッグレイズ15回×3セット


執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。

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