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トップボディビルダー対談!鈴木雅と嶋田慶太が初めてバルクアップしたときのことを語る「いつのまにか1日に白米を9合」

日本選手権でV9を達成し、2016年には世界王者にもなった鈴木雅選手の減量幅は約2kg。今年、日本選手権で大躍進を見せた嶋田慶太選手は約4kg。共通しているのは、コンテストのオフシーズンの間も大幅に体重を増加させないことだ。2人が見出したバルクアップの方法論と、そこに至るまでの過程を探った。

【写真】鈴木雅選手と嶋田慶太選手の筋肉美

──まずは最初のバルクアップの経験のお話から聞かせてください。
鈴木 私はどちらかといえば「増やさない」というよりも「増えない」タイプでした。量は食べられるのですが、増えないんです。まずは、そうした自分の「タイプ」というものは把握しておいたほうがいいと思います。私は増えないタイプだったので、いろんなものを食べるようにしていました。

──どのくらい食べたのですか。
鈴木 当時は情報が少なかったので、いわゆるボディビルダーが食べたほうがいいと言われていた食事、鶏肉であったり缶詰であったり、そういったものを食べていました。体重はすぐに増えるものだと思っていたのですが、トレーニングをしながらそのような食事を1週間続けても、全く増えなかったんです。そこでカロリー計算の必要性に気づいて、1日の消費カロリーを摂取カロリーがオーバーするような食事を取るようにしました。

──いわゆるオーバーカロリーの状態に持っていったのですね。
鈴木 そして50㎏くらいからスタートして、1年ほどでノンストップで70㎏強まで増えました。そうした食事を継続していく中で「増える時期」「増えない時期」というものがあって、「増えない時期」に一度食事量を増やすと、そこで体重は一気に増えるのですが、また「増えない時期」に入って、そこを乗り越えると今度は摂取カロリーを増やさなくても「増える時期」に入る……というリズムが把握できました。そこで、自分の体重の変動と総摂取カロリーや食事の内容などをメモに残しつつ、その記録をもとに少しずつ食事量を増やしていったら、いつのまにか1日に白米を9合食べるようになっていました(苦笑)。

──1人で9合!?
鈴木 元々はその半分以下の量しか食べていなかったんです。総カロリーにしておそらく3000キロカロリーくらいだったと思います。それが次第に5000、6000……と増えていきました。でも、無理して食べているという感覚はなかったのですが、8000キロカロリーを超えたあたりから食べるのがきつくなってきました。お腹いっぱいになるというよりも、食べることに飽きてくるんです。それで食事を休んでしまうということもありました。

──1日3食というわけではなく、食事の回数も多かったのですよね。
鈴木 そうです。1日3食に間食を取って、そこで普通の1食分の食事や、ハンバーガーを食べたりすることもありました。

──嶋田選手はいかがでしたか。
嶋田 僕の場合は食べられず、そして太れないというタイプでした。17歳でトレーニングを始めたころはガリガリで、身長167㎝で体重は47㎏ しかありませんでした。まずはトレーニングをやりながら、1日3食をしっかり食べるというところから始めました。確か、最初の1年間で7㎏ほど増えたと思います。その次の段階として、プロテインも摂るようになりました。

1食でたくさん食べてしまうと、1日2食くらいしか食べられないんです。そもそも量を食べられないので、少量を小分けにして食べて、1日の総摂取カロリーを増やしていくという感覚です。今も基本的にはそのような食事の取り方をしています。

──それ以前は1日に2食?
嶋田 いえ、1食が多かったです。これは中学生のころからそうで、まず朝ご飯を食べませんでした。起きてすぐには食べられなかったんです。そしてお昼ご飯は、食べるときもあれば食べないときもある。そして夜も食べるときもあれば、食べないときもありました。今考えると、どうやって生きていたんだろうと思います(苦笑)。

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取材:藤本かずまさ(初出:IRONMAN2023年1月号)  撮影:中島康介

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