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【筋トレ1分コラム】知っておきたいラットプルダウンのグリップの違い

ボディビル世界チャンピオンの鈴木雅選手(撮影:舟橋賢)ゴールドジムアドバンストレーナーでボディビル世界チャンピオンの鈴木雅選手がトレーニングをひも解いていくIRONMAN誌の人気連載『トレーニングアップデート術』から、1分で読めるトレーニングワンポイント解説を紹介するこのコーナー。今回はラットプルダウンとロウイングの違いから、ラットプルダウンのグリップの違いまでを解説する。

【写真解説】知っておきたいラットプルダウンのグリップの違い

今回は「大まかなトレーニング種目や手法」というより、「体の動かし方の根本的な部分」を噛み砕いてトレーニングにアプローチしています。

解剖学を勉強してトレーニングを行っているのに効きがいまいち、という方には少なからずお役に立てるのではないでしょうか。よく「ファンクショナル」という言葉を耳にしますが、正しく体の機能を理解してウエイトトレーニングを行えばビッグ3でもファンクショナル(機能的)になります。

さて、今回のテーマは「グリップ」になります。さまざまなトレーニング種目は「立つ」「座る」から「握る」「持つ」という形に入っていきます。そういった点から見ても骨盤、股関節などと同じくグリップは重要な要素になってきます。

特に手関節(手首)の動きにより肘関節、肩関節、肩甲骨の動きに違いが出てきます。そこはテクニックの部分になるのですが、まずここでは簡単に、背中のトレーニングにおけるアタッチメントの使い分けから見てみましょう。

アタッチメントは解剖学から効率的に選ぶことができます。背中の筋肉の広背筋と大円筋、僧帽筋の動きとメカニズムを見てみます。肩関節が屈曲(腕を上げた状態)、上腕が外旋(小指が内側の状態)すると広背筋・大円筋は伸展(ストレッチ)します。これはラットプルダウンのアンダーグリップのスタートの姿勢です。収縮のときは逆に肩関節が伸展(腕を下げた状態)し、上腕は内旋(小指が外側の状態)します。

僧帽筋(特に下部)は肩甲骨が外転(開いた状態)し上腕が内旋すると伸展し、肩甲骨が内転(寄った状態)し上腕が外旋すると収縮します。

以上のことから考えると、広背筋・大円筋にはラットプルダウン、僧帽筋にはロウイングが適していると言えます。

ラットプルダウンでは腕を上げて行うことで、広背筋・大円筋が伸展しやすくなります。オーバーグリップ(上腕の内旋)では肩甲骨が下制、内転しづらくなり、肩甲骨ではなく肘で引くため広背筋上部・大円筋といったあたりが刺激を受けやすくなります。

一方で、アンダーグリップは肩甲骨の下制(下げた状態)がしやすくなるので、広背筋上部から下部への刺激が容易になります。

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鈴木 雅(すずき・まさし)
1980年12月4日生まれ。福島県出身。身長167cm、体重80kg ~83kg。株式会社THINKフィットネス勤務。ゴールドジム事業部、トレーニング研究所所長。2004年にボディビルコンテストに初出場。翌2005年、デビュー2年目にして東京選手権大会で優勝。2010年からJBBF日本選手権で優勝を重ね、2018年に9連覇を達成。2016年にはアーノルドクラシック・アマチュア選手権80㎏級、世界選手権80㎏級と2つの世界大会でも優勝を果たした。

取材:藤本かずまさ 撮影:舟橋賢

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