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悲願のトップ3入りで加藤直之が語ったものとは?その裏にあった病気と家族への愛

2013年に9位という成績で初めて日本選手権ファイナリストになった加藤直之選手。その後は順位が伸び悩み、2017年には12位まで転落した。しかし、上昇気流を掴んだか、昨年はかねてから目標としていたトップ3に大躍進。その裏にあったのは2017年に負った病気と、家族への愛だった。

――このたびは3位という過去最高の成績を収められました。2013年に初めてファイナリストになったものの、2017年には12位と崖っぷちのところまで順位が下がりました。
加藤 そこで「健康」というものを考えるようになりました。健康であってこそのボディビルと痛感しました。
――2017年は体調を崩した年でもありました。
加藤 はい、上室性頻拍と診断を受けました。そのときは手術をするかもしれないという状況だったのですが、検査の結果、手術はせずに経過を観察するということになりました。今でも年に1、2回ほど発作が起こることがありますが、そういったときの対処法をお医者さんに教えてもらい、最近は症状も治まっています。
――予兆のようなものはあったのですか。
加藤 今思えば、私はもともと心臓があまりよくなかったのかもしれません。健康診断では問題ないのですが、不整脈を持っています。確か、具合が悪くなったのは2017年のアジア選手権(5月)が終わってすぐの時期だったと思います。自覚はなかったのですが、肉体的に無理していた部分もあったのかもしれません。
――そうした経験は、それまでの生活やトレーニングを見直すきっかけになったのでしょうか。
加藤 はい、特に生活の面を見直しました。現在私は三児の父でもあるため、元気に働かなくてはいけません。考え方はさまざまかと思いますが、私は仕事を行い、家庭があり、その上でボディビルがあると考えています。このバランスは大切です。「仕事」「家庭」「ボディビル」、この3つのバランスを崩さないように、どれもしっかりやっていく。これは永遠のテーマです(苦笑)。そのためには、第一に自分が健康でいなければいけません。健康だから仕事をさせていただけるし、家庭での子育て家事も多少なりとも手伝える。健康であれば、筋肉もつけられる。全てにおいてベースとなるのが「健康であること」なんです。
――その健康面で気を付けていることは何でしょうか。
加藤 疲労を溜めないこと、睡眠と栄養です。仕事をされている方は皆さんそうだと思いますが、睡眠時間をあまり取れないこともあります。時間が取れないなら、いかにして質を高めていくか。そういうことを考えるようになりました。ごくごく一般的なことですが、寝る前にスマホは見ないとか、要は興奮状態を作らず、すぐに眠りに入れるようにすることです。栄養面では上手にサプリメントを活用することです。
――どういったものを摂られているのでしょう。
加藤 朝晩のグルタミンは欠かせません。グルタミンは私の必須アイテムです。寝る前に5g 、起床後に5g 摂取することで効果を実感しています。風邪をひきにくくなります。また、小腸の調子がよくなり、栄養の循環がよくなっているような感覚があります。
――腸内環境は見落とされがちな要素かもしれません。
加藤 いくら栄養を摂っても腸内環境が悪ければ吸収が悪くなるので、とても大事だと思います。腸内環境を整える上で自分が気を付けているのは、グルタミンの摂取、野菜をしっかりと食べること、あとは胃腸の蠕動運動を活発にしてくれるオリーブオイルを適量取ることです。私は一生、競技者でいたいのです。それが叶うかどうかは分かりませんが、私はどのような形であれ、生涯ボディビルダーでいたいのです。そのためには、健康でなければなりません。
――ボディビルは「生涯スポーツ」と言われています。
加藤 ボディビルは「心と体を作る」ということだと私は考えていまして、生涯を通しやっていくものだと思います。私としてはトレーニングを続けていくのは当たり前で、その上で死ぬまで大会に出続けたい(笑)。また、毎年自分で体を作っていく中で、新しい発見があります。私はトレーナーという仕事をさせてもらっていますので、理論にプラスしてリアルに自分で経験したことをお客様に伝えていきたいのです。

――大会に出ることがトレーニングのモチベーションになっている?
加藤 それもありますね。トレーニングは大好きなのですが、その中で大会に出るというのも一つの楽しみです。もちろん今後、何らかの理由で出られない年もあるかと思いますが、出られなかったら出られなかったで新しい発見があるはずです。私はボディビルに引退はないと考えています。
――「3位」という成績については?
加藤 日本選手権における目標の一つとして「表彰台」がありました。ボディビルを始めたころは、正直自分がどこまでいけるのかは未知数でした。ここまできたからには、さらに上を目指していきたいのが本音です。仕事と家庭の両立をして、その中で最大限の努力をする。家族がいるから私は頑張れます。私は奥さんがいてくれないとダメな人間です(苦笑)。一人では何もできません。

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